ウェス・アンダーソンの作品には自分のスタイルに強いこだわりを持つキャラクターばかり出てきて、みんなダメでみんないいのだが、「こだわりを持つ人物」というのは監督自身の投影、共感が強いのだと思う。彼の映画を見ればそれがわかる。
今回、エンドクレジットにツヴァイクという人に捧ぐとあって、まあ事前にその話は聞いていたんだけど、見た時には正直ピンとこなかった。でもウェス氏はどういう人だっけ、と考えてみると、ああそうか、自分の強い思いだとか理想にある意味裏切られて死んでしまったこの伝記作家にシンパシーを感じたんだな、と腑に落ちた。自分自身であったかもしれない、という切実さが、映画の中にはありました。
こだわりゆえのトラブルつづき、っていうのは今までの作品と同じだけど、それは監督自身のことでもあると思えるからこそ、最後のダークな感じがちょっと淋しかったな。
それにしてもウェスさんは伝記が好きなのかな。ロイヤルとかすごい伝記風だもんね!