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お出かけ手帳

誤字脱字病。書いては直す人生。

『純と愛』 狩野家の人々

純と愛」は壮大なラブストーリーだ。
とはいえ、出会った二人がすぐに恋に落ちるかと言えば、もちろん違う。まずは純の家族である狩野家を見ていきたい。環境がすべてとは思わないが、やはり家族や子供時代からの経験で、恋愛の仕方はだいぶ違う。少なくとも「純と愛」ではそこを意識して描かれていると思う。
 
主人公の純(夏菜)は大阪出身の父・善行(武田鉄矢)、宮古島出身の母・晴海(森下愛子)の間に生まれている。兄弟は兄の正(速水もこみち)、弟の剛(渡部秀)。3人兄弟だ。
 
何よりまずは善行である。非常に屈折したキャラで、演じていた武田鉄矢もあまり乗り気でない様子が放送当時のインタビューなどで伺えた。「よその娘さんに酷いことばかり言わされている、きっと作家には作家の考えがあるのだろう。」自分には理解できないが、とでも言いたげな発言だ。
ワンマンで外面がよく男尊女卑で、本当にヒドいオヤジなのだ。商売の才能もなさそうだ。体裁を守るために家族にとっていつも最悪の選択をする。その選択にいつも反論する純には、かなり当たりが強い。
また卑怯者らしい行動をよくとり、兄の正が彼女を妊娠させた時には、なんと相手に金を渡して堕ろさせようとした。朝からぶったまげた。だけど、こんなおじさん、いそうである。
 
 
森下愛子演じる母、晴海は宮古島出身の大らかな女性である。しかし、旦那がそういう性格なものだから、逆らうこともできず我慢ばかり。その反動か、息子たちに甘く、特に末っ子の剛を溺愛している。逆に父に反抗ばかりする純に対してかなりそっけない。
善行も問題が多い人物だが、実は晴海も狩野家の問題の種を撒き散らしている。父親のホテルを継がせている負い目か、夫が好き勝手していても止めることをせず、事態はいつも悪化するのだ。晴海は人生に絶望しており、気力がない。純に善行を何故たしなめないのか、と問い詰められても、「あんたも結婚すればわかる」と泣くだけである。
また、自分の道を進もうとする娘を実は嫉妬しており、純の幸せもよく思ってないようだ。
 
これがスタート前半の両親の様子である。最初から笑っちゃうほど、ヒドいことになっていた。
 
そんなふたりの子供はどうなるか。兄はだらしないことなかれ主義。弟は家族の問題に無関心な甘ったれ。

そして純は両親とは正反対、何事にも正直に、猪突猛進な女の子になった。純は父とも母とも、気が合うはずがない。両親のためを思った行動も、感謝されることはない。書いていて、純ちゃんがかわいそうになってきた。

一方、純と善行には共通点もある。2人とも非常に意固地で、独善的な性格なのだ。人に好かれない。でも好かれたい、いや好かれるべきだ。父も娘も立場は違えど、願いは同じに見える。

そんなささくれだった人間達が、様々な試練にあい、やがて新たな自己を発見していく。製作時、今までにない朝ドラを、ということが念頭に置かれていたようだが、ストーリーの形として、「純と愛」はとても古典的なお話とも言える。

まだまだ今後掘り下げたいが、狩野家においては、特にこの2人がどうお互いを認めるか、というところが大きな山のひとつであり、一方、純の夫となる愛にも狩野家と合わせ鏡のような家族設定がされている。

 

 

純と愛 完全版 DVD-BOX1

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