お出かけ手帳

誤字脱字病。書いては直す人生。

『純と愛』 待田家の人々

今度は愛の家族である待田家の人々。

真面目文体に疲れちゃったので、普通に戻ります笑。

私は純ちゃんの一生懸命でウザいところとかが本当に可愛くて仕方ないんですが、それと同時にこの愛くんという人が大好きなんですね。暗くてキモくてヒドくて優しいの。愛は亡くなった弟のことがあってか、すごく複雑なキャラクターで色々その心情を想像させます。演じる風間俊介がすごくいいしね。

さて、そんな愛くんの家族を見ていこう。お家は神戸です。
 
まずはなんと言っても母・多恵子(若村麻由美)。善行と対になっているような待田家の独裁者。しかし多恵子は超やり手の弁護士で、キャリア的には比べものにならない程成功しています。常に満身創痍、きりきり舞いで仕事に打ち込み、冷徹でかつ不機嫌な女王様です。
とにかくめちゃくちゃ恐いお母さんで、すごい理不尽な人なんですが、後々色んなことがわかってきます。
 
で、父・謙次(堀内正美)。このお父さんは優柔不断で陰で浮気ばっかりしてるっていう、こちらもなかなかな人です。多恵子が恐くて何にも言えなくて、色んな女性に癒やしを求めているのか。頼りにならないし、存在感を自ら消してる感じ。多恵子と同じく弁護士ですが、弁護士としても多恵子のほうが能力があり、頭あがらず。
 
なんでこの二人結婚したんだろうって感じの両親です。
 
妹の誠(岡本玲)が両親と一緒に暮らしていますが、とにかく息苦しくてしょうがない。でもお母さんが恐いし、これ以上揉め事はごめんなので、言いつけ通り弁護士を目指す学生です。
 
ドラマが始まった時点で家族は完全に壊れてしまってるんですが、これにはきっかけがありました。愛の双子の弟、純(主人公と同じ名前!)の死です。
 
純くんは子供の頃から病気がちだったんですが、高校生の時に白血病で亡くなってしまいます。二卵性ということもあり、双子であっても愛くんすら移植の適合はせず、家族の誰も純くんを助けられなかったっていう深い深い悲しみを抱えてしまった。しかもこの悲しみを家族は共有できず、個々で背負ってしまった。これが待田家崩壊のきっかけです。
 
純くんと相反して、愛くんは子供の頃から勉強もスポーツも何でも人並み以上にできました。純くんのぶんまで能力を奪ってしまったみたいに。そして亡くなる間際に純くんに「なんでボクが死ななきゃいけないんだ、なんで愛ちゃんじゃないんだ」と言われます。これはかなりキツい言葉ですね。呪いの言葉です。
 
そして純くんは亡くなってしまう訳ですが、失意の中、愛は多恵子の顔を見ると恐ろしい表情をしており、母のこんな声が聞こえます。「なぜ双子のくせに愛は適合しないんだ。役立たず。でも死んだのが純でよかった。弁護士は愛に継いでもらえばいい」。これを機に愛は家出をし8年もの間、大阪の街でふらふらと無為に過ごします。またこれをきっかけに、顔を見るとその人の本性が見えてしまうようになり、誰の顔も見られなくなってしまいました。
 
そうしてある日街で人とぶつかったら、その人は見たまんまの真っ正直な女の子で、しかも名前が死んだ弟と同じ純だった!ドラマチックだね〜。
 
 
これで、だいたい家族の紹介はできたかな。あ、純のおじぃについてはまだだけど。
 
繰り返しになるんですが、「純と愛」っていうのはラブストーリーで、恋愛って何かなって考えてみるとお互いを承認していく作業だと思うんですよね。ましてや結婚となったら、どんどんお互いを掘り下げないといけない。で相手を認めるっていうことをしていくためには、自分も認めないといけない時が必ずきます。後回しにしても、自己承認もしないと自分が壁になって相手を認められなくなる。
 
で、このドラマに出てくるのは、自己承認に問題を抱えている人物ばかりです。狩野家も待田家も根本的にこれが本当にできてなくて、ここから半年かけてそれぞれの膿を出していくんですね。朝ドラで笑。しかもみんな自分の思いに強く囚われているので、それを壊せるレベルの爆弾とか劇薬が投入されまくって、凄まじいことになるっていう。そうしながら他者、ひいては自己を認めていくんですね。
 
相反する、理解しあえない、嫌なやつと関わることで、人間はどう変われるか、自分に素直になれるか、ということを時に過激に、でもその実ナイーブに描いている作品だと思ってます。
 
あとは「失う」っていうことも凄く大事なテーマかな。
 
また!
 

 

純と愛 完全版 DVD-BOX1

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