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お出かけ手帳

誤字脱字病。書いては直す人生。

『純と愛』 第2週 ほんとうのかお

テレビドラマ 純と愛

☆ネタバレします☆

 
研修も終わり、純はベルガールとして本格的に働き始めました。
先週、オオサキの最終面接で「社長になりたい」と言ったことが周り回って、純には「社長」というあだ名が付きましたが、今週このあだ名が完全に定着した模様。サザンアイランドを継がせないと言われた純は、もっとでかいホテルの社長になってやる!と父に宣戦布告していたんですね。そしてそこを「まほうのくに」にするのだと。
第2週ではそんな高い高い志をもった純が、ルールだらけのオオサキでの格闘し、心揺れる姿が描かれました。
 

純は決して悪い子じゃありません。ただ思ったことをすぐ言っちゃうし、すぐやっちゃうんだよ。

DVDに収録された出演者インタビューで武田さんが、「『坊っちゃん』のような主人公にしたいとスタッフに説明された」という趣旨のことをおっしゃっていたんですが、純は本当に「親譲りの無鉄砲で小供の頃から損ばかりしている 」んですよ。正義漢で、不器用で、困った人をほっとけない。頑張り屋さんなのに、突っ走りすぎるから全然褒められない。というか、むしろ人から疎まれる。
でもよく見てみると、ちょっとしたことですぐ喜ぶし、チカちゃんがひどいことを言ってきたこともさらっと水に流すし、気持ち悪い愛くんにも、「ありがとう」とか「ごめんね」ってきちんと伝えることができる。素直ないい子じゃないか。何より明るくて元気だし。

まぁ、すぐかーっとなるし、人の言うこと聞かないから、怒られるのは当然とも思いますが。すぐ事件になっちゃう(笑)。

 

そんな純に、コンシェルジュで先輩の水野さんは「君はサモトラケのニケみたいだね」と言います。サモトラケノのニケは、船の先頭に立って風を受ける女神なんだそうです。早速純は、ニケの彫刻をネットで見つけますが、首も腕もない女神。でも翼を広げた凛々しい姿なのです。

いつも先頭きって人のやらないことをして、その度に傷だらけになる。物事を変えようとする者は、人以上にキツい思いをしますね。でもそれに負けない強さがある。純はそういう役割を背負った子なのでしょう。

 また、先週の善行との喧嘩で、「うちのホテルは沈みかけた船なの。船を愛する人がちゃんと舵をとらなきゃ」という言葉も思い出させるエピソードでした。

 

ひとりはさびしいです

この週、純は部屋が隣あった2組のお客さんを巡って奔走します。

一方は何やら1人事情あり気な中年男性・北見さん(平泉成)。もう一方は 常連客で連れ立って部屋で飲んで大騒ぎするガラの悪い粕谷さん(近藤芳正)です。

 粕谷さんがあまりに騒ぐので、クレームを出す北見さん。会社ぐるみでホテルを使ってもらってる手前、粕谷さんに強くは出れないオオサキ。そして部屋の移動を提案しても、嫌だと言う北見さん。この堂々巡り、一体どうしたらいいんだ。

なぜこの部屋じゃなきゃいけないのか。純はしがみついて北見さんに詳しく尋ねます。

実は北見さんにとってこの部屋は、30年前に奥さんと新婚旅行で泊まった思い出の場所でした。その奥さんは1年前に亡くなった。この日は命日でした。思えば、彼女の笑顔を見たのは、オオサキに泊まった時が最初で最後だった気がする。

北見さんは言います。結婚以来、妻に感謝もせず、仕事が上手くいかないと怒鳴り散らしてばかりいた。いなくなって初めて、妻の大切さに気がついたが、今頃気付いたって遅い。1人はさびしいです…と。

なんとも善行を彷彿とさせる、かつての北見さん。しかも実際にお父ちゃんには似たような試練が待ち受けています。いえ、お父ちゃんだけではありませんね。第2週でという早い時点で、山場の伏線にもなる配偶者をなくすエピソードを入れていたとは…。

北野さんのこともあり、電話越しに「お母ちゃんにちゃんと優しくしておかないと、後で後悔するからね!」と善行に怒鳴なりつける純。あぁなんて恐ろしいドラマ。

 『純と愛』はラブストーリーであると同時に、失う物語でもあります。スタートの時点で、登場人物達は既に大事なものを喪失していますが、物語が進むにつれてどんどん色んなものをなくし続けるんです。

これはやっぱり震災の翌年の放送っていうこともあっただろうし、震災だけじゃなくても、いつ何があるかわからない世界を私達は生きているっていうことなんですよね。

全てはいつかなくなるもの、だからこそ今を大事に、目の前にいる人を大切にしよう、というテーマはこれから幾度となくドラマの中で繰り返されます。

 

愛くん、動き出す

偶然街で出会った以来、愛くんにふんわりストーカーされている純。自分を「ずーっと見ている」ことを気持ち悪がりながらも、純は愛くんに助けられます。

先週分には書かなかったけど、勝手なことをやり怒られた純は、厨房で上司とやり合うんですね。で、もう我慢ならんと「こんなホテル辞めてや…」ぐらいの時に誰かが皿がガシャンとタイミングよく割り、なんとか会話終了。辞めずに済んだという事件がありました。そうです、皿を割ったのは愛くんでした。いつか純に会えるんじゃないかと、皿洗いのバイトをしていたのです。

今週キッチンに行くと、既にクビになっていた愛くん。

しかし今度は電気設備のバイトとして彼はオオサキに潜り込んでいたのでした。なんというご執心…。

2週目の愛くんは純の奮闘を見守りながらピンチの時は助け、更に今まで避けていた人の本性をみて、純に問題解決のヒントを与えるようになります。

北見さんが悲しい思いをしてることを教えてくれたのも彼でした。

ホテルの面々の顔を見てもらったりして、完全に愛くんのことを信じてないと言いつつも、なんだかんだでお世話になり始めてた純。それほど純ちゃんは頼る人が他にいないんですね。

愛くんにとっては、純はこの世で唯一顔を見られる人物であり、好きだとかそういう以前に、とにかく気になって仕方ないんだと思います。

スタッフ鑑定をするうちに、なんとイケメン水野さんと愛くんが同級生として再会。これを機に水野さんがどんどん面倒くさい人に見えてきます(笑)。

 

困った時はトイレに行くといい

北見さん&粕谷さん問題で、心乱れまくる純。今日は北見さんの奥さんの命日。しかも、遠方に住んでいるので、オオサキ来ることはもうないという。今日しかないのです。

愛くんの後押しもあり、意を決して粕谷さんの部屋に乗り込む純。その際、人の顔を見れない愛は、一緒に付いては来てくれない(笑)。ただ、一つ助言をしてくれます。

「困った時はトイレに行くといいですよ。トイレには人生の全てがある。」

飲んだくれの集まる粕谷さんの部屋に入った純は、早々にトイレに逃げ込み、静かにしてくれないなら出て行って欲しいと説得を試みます。1番下っ端がお客さんを、しかも年間1億円の取り引きをする会社の人を、勝手に追い出しに行くって相当ヤバいと思うんですけど、純はやっちゃう。「私は全てのお客さんに笑顔になって欲しいんです。幸せになって欲しいんです。隣のお客さんには今日しかないんです。」

宿泊部長と桐野さんも駆けつけて大騒ぎ。結局、粕谷さんは「もう、おたくのホテルとの付き合いを辞める」と出て行ってしまいます。

純の願いは叶いましたが、オオサキにとって大きな痛手を負わせてしまいました。

 

さて、この「トイレに行く」というのが、純と愛の間でこれから何度も出てきます。

トイレに行くということは、1人になるということで、また人と壁を隔てるということです。

人間関係において直接人関わったりストレートに言うことも大事ですが、時には1人になって冷静に考えてみたり間接的に伝えた方がコミュニケーションが上手くいくこともある。

人間のいるところには必ずあるし、トイレってすごく面白い装置なんだなぁ。

話を聞いてくれなかった粕谷さんにも、トイレに篭ったからこそ、一応言いたいことは言えたし。まぁ結果は散々ですが…。

また、再会した水野、愛、そして純は食事に行きますが、レストランで人に囲まれ気分が悪くなった愛くんはトイレに逃げ込み、洗面台の鏡に映った自分に「なんでお前が生きているんだ」と責められます。トイレって本当にいろんなことが起こる(笑えない)。

それにしてもドラマとはいえ、北見さんは恐らく事前に部屋指定のリクエストをしていた=訳ありっぽいし、粕谷さんは常連だから騒ぐ人だってわかってたはずだろうし、これは部屋をアサインしたスタッフひいては宿泊部全体が責任を感じるべき事態だと思うんですけどね。満室でどうしようもなかったの?でもオオサキは稼働もそんなによくないし、粕谷チームを最初からアップグレードでもして、部屋をずらせなかったのかね。

純ちゃんが色々やっちゃったもんだから、結果的に全部純のせいにされたけど、粕谷さんが大事なら、宿泊部としてもっと対策は取れたと思うぞ。

  

揺れる心

北見さんと粕谷さんの問題は、純とオオサキとの対立でもあり、純は部屋に乗り込む前から随分と悩みます。

自分の信念からすると、北見さんの気持ちを大切にしたい。でも組織にとって粕谷さんは、逃してはいけないお客さん。どうにかしたいけれど、上司にも余計なことはするなと念を押されるし…。理想と現実の間で揺れるんですね。

私は文句ばっかり言って、周りに迷惑をかけてるだけなのかな。このホテルを「まほうのくに」にすることなんてできないんだよ。

その迷いを見抜いた愛は純に、「あなたは自分で決めなくちゃ」と背中を押し、結果惨事が起こるのですが(笑)、心揺れること自体は悪いことばかりじゃない。

第1週で、教育係でもある上司の桐野さんは、自分の正当性ばかり主張する純にこう言っています。

 自分が正しいと思っている人間は、成長をやめたと言っているのと同じです。
純は成長し始めているんですね。
 
桐野富士子さんは、本当に格好いいんです。この週でも、周りのスタッフと上手くやれない純にこう言い放つ。
私は決めたの。何事にも動じない、期待しない、迷わない、甘えない、それだけ。
桐野さんは厳しくて怖いけれど、頭ごなしに怒るというより、ホテルマンとしての優先順位を基準に純をしっかり叱るんです。愛くんは、純と似ている、と言うぐらいで、お客さんを大事にしたい気持ちを理解しない訳でもないようです。
桐野さんはオオサキの良心だよ。
 
 
純の孤独
 
職場で騒ぎを起こし、どんどん孤立する純は、家族からも孤立しています。
 
善行に北見さんのことを相談しても、「俺を試してるのか」とか言われちゃう。
でもその後、お母ちゃんに純がクビになってないか確認させたりするんです。世の中は寸善尺魔や!(この世には良いことは少なく、悪いことばかりの意)とかいって。なんだかんだで、実は純のことを心配してはいるんですよね。親譲りの無鉄砲は明らかに善行さんからですから。でも、お父ちゃんの愛はわかりにくいんだよ…。
 
一方お母ちゃんは、基本的に他の兄弟に気がいっています。特に弟の剛に凄く甘い。こんなにえこひいきするかねっていうぐらい。純はお母ちゃんに心配してほしいのにね。
 
挙げ句の果てに、言いよってくる水野さんを突き飛ばしたら、すご罵られるっていう。
 
夜、川を見つめながら純は思います。おじぃに会いたい、こんな時に人は衝動的に死にたくなるんだろう、と。
 
純の孤独は深いですし、自分でも自覚があるようです。私が孤独なのは、あんな家系のせいだーって心で叫んだり。
 
その流れで純は豚まんを屋台で買って食べますが、一人ぼっちでね、から元気出して美味しい!っと涙目で言うこのシーンは本当に悲しい。かつて豚まん食べてるだけで、こんなに切ない気持ちにさせるドラマってあったかね。夏菜ちゃんがすごくいい。
 
で、 その姿を遠くから愛くんが見てたんですね。気付いた純が問いただすと、「自殺とかしないか心配だったんから…」って。
そりゃ、抱きつきますよ、置いてかないでって言いますよ。
 
 
第2週はまだ物語の種を蒔いている段階だと思うんですが、かいつまんで書き出してもすごい分量に…。
 
お兄ちゃんに子供ができたとか、愛くんには亡くなった双子の弟がいたとか、第三週もたいへんだぞ。
 
 
 
 
 
 
 
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