お出かけ手帳

誤字脱字病。書いては直す人生。

『純と愛』第4週 ねむりひめ 後半

☆ネタバレしています☆ 

 

では続きです。

ちなみに今回はセリフの書き出しが特に多いですが、厳密ではありません。すみません。おおよその記録もかねて!

 

逃げるな!

オオサキ社長から保釈されたことを聞き、愛くんを見つけ出す純。

警察まで迎えに来てくれたお父さんと一緒に帰らなくていいのか、愛くんに詰め寄ります。

しかし、「もう二度と帰らないって決めたんで」と頑なに言うだけでなく「純さんも、もう僕と付き合わない方がいい 。僕にはふさわしくないから」と立ち去ろうとする愛くん。

ここでこのまま別れることもできます。でも。

 

「逃げるな!」

純は愛くんと一緒にいることに決めました。

お試し期間はまだ継続中なのです。

 

純は、純くんが亡くなって苦しんでいるのは愛くんだけでないことを伝えます。誠ちゃんです。

先週分で、純が誠に「音信不通になった愛くんを許してやってほしい。あいつは人の本性が見えるらしい。」というシーンがありました。

そうすると誠は、「兄に伝えてもらえます?あたしかて、純ちゃんが死んでから、色んな人が臭くて臭くてしょうがない」って言ってたんですね。だから大きなマスクをしていたんです。その姿がとてもしんどそうで。

愛くんはそれを聞いて驚きます。

今回の騒動は子供の本性を読めと頼んだ自分が悪いんだし、あの子を見て弟のこと思い出したんでしょ!と純。

 

2人は神戸にある大豪邸までやって来ます。そう、愛くんの実家です。何かあるなら直接話す、それが純のやり方なのです。

 

8年ぶりの我が家

2人を出迎えたのは誠でした。

「愛ちゃんにはあたしの本性がみえてるんやんな? 」「誠、俺も臭いの?」

普通の兄妹の会話じゃないと思う純(笑)。

そして、妹の前だと一人称が「俺」になる愛くん。

 

そうこうしてるうちに、待田家の父・賢次(堀内正美)が登場。誠ちゃんは割と気が強いタイプですが、愛くんパパは大人しい雰囲気です。

「愛くんとお付き合いさせてもらおうと思っている狩野です」と自己紹介すると、謙次は自分の耳を触りながら「あなた一体…何者?」

 母親の帰りを待つ間、純は愛くんの部屋を見せてもらいます。たくさんのトロフィーと難しそうな本が並ぶ本棚。家出をするまでの愛くんの活躍ぶりがわかります。

その中で、一冊だけ部屋に似つかわしくない絵本がありました。タイトルは「ねむりひめ」

 

怒る母・多恵子

遂に登場!愛くんママ・多恵子(若村麻由美)が帰ってきました。

家の空気が急にピンと張り詰め、薬を飲みながら矢継ぎ早にお手伝いさんや謙次、誠に指示を出し、愛くんと純の方を見ようともしません。気が強い、なんてもんじゃない。神経過敏で怒れる鉄の女。それが母・多恵子の姿でした。

 

謙次に懇願されて、多恵子は仕方なくソファに腰掛けます。「で、なんのご用?」8年ぶりの再会なのに全く動じない母。

 

萎縮しまくる愛くんに、多恵子は早速怒りをぶつけます。

「今まで何をやってたの。一体何故出て行ったの。 何が不満なの?あなたなら有能な弁護士になれたのに。私達にどれだけ迷惑かければ気が済むの?っていうか、ちゃんと人の顔見なさい!!」

 

余りの怖さに、一旦トイレで体勢を立て直す愛くんと純(笑)。

意を決して、愛くんは多恵子に語りかけます。手にはあの絵本を持って。

 

「お母さん、子供の頃よく読んでくれた「ねむりひめ 」を覚えていますか。 僕は死んでも忘れません。読んでくれる時のお母さんの顔が大好きだったから。でもお母さんの顔を見ることができなんです、今は。」

「人の本性が見えるんだって」と誠。

多恵子は信じようともしません。

 

愛くんは続けます。

「純のお葬式の時、初めてお母さんの心の声が聞こえてきました。「 なんで双子のくせにあなたが適合しないんだ、この役立たず」ずっと僕のことを責めてましたよね。

それだけじゃない。切り替えの早いお母さんは「でも死んだのが出来の悪い純の方でよかった。あとは愛が弁護士をなってくれたらいい。純のことは早く忘れよう」と自分のことを慰め出した。そのお母さんの顔は、それはもう正視にはたえない顔をしていて…。」

これを聞いて多恵子は大激怒。

「取り消しなさい!」

違うと否定するのではなく、発言を取り消せっていうのが、絶妙なニュアンス感です。否定することすら拒絶。

 

ここで純も愛くんに加勢します。わたしは愛くんが言っていることを信じます、と。

あなた一体何者?と聞く多恵子に、純は緊張した面持ちでこう答えました。

「愛くんとお付き合いさせてもらおうと思っている 狩野…、狩野純です」

 

純、という名前を聞いて、表情が陰る家族。

「愛はあなたのせいでおかしくなったみたいね」

しかし純も負けません。

「わたしは愛くんがおかしいとは思いません。この世には、不完全な男と不完全な女しかいないからです。」

とっさに出たのは水野さんのパクリでした(笑)。

 

多恵子はそんな純に「あなたはゴキブリみたいな人ね」と言います。

「悪い意味じゃないのよ。ゴキブリがでると人はアクションを起こさざるえない。わたしはゴキブリはすぐに叩き潰すほうなの。」

多恵子は更にこう言います。

「二度とこの家に現れないで 2人とも。これからは、いとし、あなたも死んだものとします 」

 

愛くんはそれに対して「ありがとうございます。そう思ってもらった方が僕も楽です。」と言うんですね。

「ただ、この本だけはもらって行っていいですか」

無視をしてリビングを去る多恵子。

 

8年ぶりの再会は最悪な結果に終わりました。うなだれて家を出る2人。

すると謙次が追いかけてきます。

「私もいとしの言うことを信じます 。実は私も8年前から人と話す時に耳鳴りがするようになって。でもあなたは大丈夫だから」

父は息子を純に託しました。

 

時間が止まったままの待田家

純くんが亡くなってから、愛くんは人の本性が見えるようになり、誠は臭い、謙次は耳鳴り、と純の死という傷が、わかりやすい形で残ったままだということが判明しました。すごい家族…。

そして純ちゃんだけは皆大丈夫って、それ純ちゃんもかなりすごいよ。

だから待田家の人は、純に「あなた何者?」って言うんですね。(ちなみに誠ちゃんが純をくんくんして「あんた、なにもん?」っていうくだりは、超絶可愛いかったです。) 

 

では多恵子はどうでしょうか。彼女は本当に愛くんが感じただけの冷酷な女性なんでしょうか。絵本を読んでくれた優しいお母さんはどこへ行ってしまったんでしょう。

 

病気だとか死だとかっていうのは、ものすごい理不尽なことです。誰のせいでもなくても、誰かのせいにしたくなる。恨みたくなる。辛い時、人ってキレイごとだけではいられないですよね。人に言えないような、醜くて、利己的なことも考えしまう。

愛くんの独白やオオサキで子どもビンタのエピソードで描いていたのは、理不尽さは人間にこういう残酷な感情を抱かせてしまうということ。そしてそのせいで、愛くんがいかに自分を責め、憎んでいるかということでした。

 

弟の病気や死に既に責任を感じていた彼は、周りの人が自分をどう思っているか凄く気になっていたと思うんです。特に大好きな母にどう思われているか考えるのは一番怖かったはず。多恵子には慰めて欲しかったでしょうね。

 

でも多恵子も同じだったんです。悲しみのあまり、口に出してはいけないような、色んなことが頭を駆け巡っていた。何しろ母ですから。辛かったと思います。不幸なのは、愛くんがそれに気付いてしまったということです。

 しかも、お葬式っていう、弟の死が完全に事実となってしまう場で、母のダークサイドが聞こえてしまった。最悪のタイミングです。「取り消しなさい」って怒ったのは、やっぱり多恵子は色んな思いを抱えてしまっていたということ。そしてそんな自分を認められるほど、未だに心の整理がついていないということなんです。

 

この多恵子の登場シーンを改めて見てみると、すごく泣けるんですよ。なぜなら怖い顔をしている多恵子の目が光っているから。潤んでるんです。

8年ぶりにあった息子です。顔を見たとたんに愛くんに対しても、純くんに対しても思いが溢れたはずです。でも多恵子には多恵子なりの8年があり、悲劇に負けないよう、強過ぎるほど強くなって自分を奮い立たせて生きてきた。だからここで自分を崩すことはできない。そう感じさせる表情なんです。怒りの感情しかだせない母の悲しさよ。

結局、多恵子が愛くんにあそこまでつらく当たるのは、純につらく当たる善行と同じ理由だと思います。愛情を裏返した拒絶。


多恵子演じる若村さんのインタビューで読んだんですが、このシーンは「もっと怖く」って何度も要求されていたらしいんですね。圧倒的に怖く見せることで、悲しみを隠そうとする。でも実は絶妙なさじ加減でやっぱり悲しみを表現していた。若村さんは本当にすごい女優さんですね。役者さんってすごいです。

純と愛』を作っている人たちは、登場人物の印象操作をかなりしてますからね。特に善行と多恵子は。視聴者に好感を抱かせないように、同情されないように、最初に嫌な人間として印象づけてくるんです。いじわるだよ!

 

多恵子も純に「あなた何者?」って聞きますね。彼女もまた、何かを背負っているということが後にでてきます。

待田家は純くんが亡くなり、愛くんが家出をしてから、時が止まったままなのです。

 

なんのために生きるのか

待田家からの帰り道。

愛くんは純に「別れましょう」と言うと、純を振り切り走り去ってしまいました。お試し期間は終了。

それでも純は、愛くんのことを想わずにはいられません。

愛くんの家から帰るとき、純は「おじぃ、わたしはこの人の一生を背負うことができるのかな」って思います。彼が背負うものの重さを知ったんですね。純くんが死んでからの8年、どんなに辛い思いをしてきたか。待田家に行って肌で感じたんだと思います。


一方、誠からの電話で、愛くんは聞かれます。何故あんな鬼の様な母を許せるのか、と。死んだものとしますと言われて、礼を言ったのはどういうことなのか。

すると愛くんは答えます。

「俺に怒ってる時のお母さんの顔、ボロボロに疲れてた。顔中傷だらけだったんだよ。もう壊れそうなくらい泣き叫んで  た。これ以上苦しめたくなかったんだ。誠、お母さんのことよろしくな」

愛くんはまたも多恵子の心の声を聞いてしまったんですね。

 

愛くんはもともと母に愛されたくてしかたない子でした。母に愛されたくて弁護士を目指したし、弟に悪意を向けることすらあった。

母に愛されることが、愛くんの人生の目的だったのです。

だから、純くんが亡くなって、母親の本心を感じた時のショックは計り知れない。多恵子は自分を心から愛することはないと感じたのです。

どんなに頑張っても母に愛されないのなら、もう弁護士を目指す意味がありません。何のために生きたらいいのかわからなってしまいました。

愛くんは、母に傷つけられたと感じていたんじゃないでしょうか。

でも、8年ぶりに会った多恵子は、ボロボロに傷ついていた。自分がいなくなったことが、母を苦しめていたことを悟るんです。また自分は誰かを不幸にしていた。

絶望的な状況です。

純くんの死をきっかけに、他人も自分も信じられない、完全に人間不信の愛くん。自分が生きていていいのか、責めてばかりいたけれど、純さんのおかげで少しだけ希望がもてた。だけどやっぱり自分は最低の人間だった。大事なひとをいつも傷付けてしまう。きっと純さんのことも傷つけるだろう。幸せになろうなんて思ってはいけないんだ。

 

だから純にも別れを告げたんですね。

  

ネットカフェの精算をした愛くんは、朝の大阪の街を彷徨い、橋の上にたどりつきます。手には思い出の絵本「ねむりひめ」。

手すりに座って川を見つめ、 静かに目を閉じる。逆光で上がって行く太陽が見え始めます。

「まさか死のうなんて思ってないよね」

純がいることに、驚く愛くん。

ネットカフェを片っ端からさがして、店から出てきた愛くんを追っかけてきたのです。純は愛くんに手を伸ばし、「連れてって」。

 

 2人がやって来たのは純くんのお墓 でした。純は語りかけます。

「愛くん言ったよね。自分がなんのために生きているかわからないって。それはきっとわたしと2人で生きていくためだよ。私はそう思う、ことに決めた。」

純は愛くんに新しい生きる目的を与えました。

「純くんいいよね、 愛くんは生きてていいよね。幸せになっていいよね。 許してくれるよね。」

そして、自分を責めてばかりの愛くんに笑顔になってもらいたい、幸せになってもらいたいと心から願うんですね。

 

愛くんはこう答えます。

「ぼくはあなたのことがすきです。これからぼくは自分のことよりもっとあなたをあいします」

これは「ねむりひめ」の王子様のせりふでした。自分のことよりも、ってとこがポイントですよね。愛くんは自分の過去より、純の未来を大切にしたいって思えたんだよね、きっと。

愛くんを抱きしめる純。そして墓場で念願の初キス!笑顔の純と涙の愛くん!

なんか純ちゃんが笑ってるだけで、本当に大丈夫な気がするよ。

そして晴れて結ばれた2人(結婚前に同じベッド描写あり)。ちゃんとそこを見せたのは偉いよ。おそろいの白いTシャツで、なんとか色々誤魔化そうとしてる感はあるが(笑)、朝はこれがギリギリね。

よくここまで辿りついたもんだ…。よかった、よかった…。

 

第4週では、自分も他人も信じられない、究極の人間不信となってしまった愛くんが一歩前に踏み出そうとする過程が描かれました。純ちゃんがいてよかったね!愛くんの深い事情をわかった上で、それでも純は愛くんと一緒にいることを選んだ。第1週であったように『純と愛』は自分の運命を選ぶ物語で、お墓でのシーンではそれをしみじみとまた思い出しました。

 

今週はずっと、純と愛くんがキスしそうで中々出来ないっていうくだりが何度もあって、最後にやっとキスをするんですよね。この週のタイトルは「ねむりひめ」。オープニングのアニメでは、お姫様が王子様のキスで目を覚まして、世界に二人は飛び出して行きます。純と愛くんはこれから家庭の性役割を逆転させるし、お互いで救いあう関係なので、どちらもお姫様であり、王子様。そういう意味でもこのキスは、意味深い。

愛くんはやっと再び動きだせるのかな。この先どうなるか知ってるけど、またも今だけはそう楽観的に思いたい(笑)。

 

それにしても家族、特に子どもがなくなることの辛さがあまりにも突き刺さる。待田家は立場によって悲しみの種類が違うから、悲しみを共有できないし乗り越えられない。8年も放置しちゃったし、これからもそう簡単には行きません。

 

あと、純の動物園の思い出、オオサキに泊まった幼い兄弟、愛くんの「ねむりひめ」の思い出を並べてくるのは、相変わらず上手いと思いましたね。2人のそれぞれの思い出はこれからまた何度も出てくるんですが、初期に同じ週でぶち込んでいたんですね。すごい。子どもにとって親の愛情がどれだけ大事で、どれだけ後あとまで残るのか。純も愛くんも、ささやかな思い出をバカみたいに大切にしちゃってさ、あたしゃ切ないです。

 

そうそう、愛くんの闇に迫りすぎてほったらかしたけど、正はマリアに未練があるくせに、なんとお見合いしちゃうし、マリアさんは引っ越して携帯も変えるからもう、連絡ムリって純に言うし。狩野家の火種は消えてないよ。

 

とにもかくにも、今週はいつになくヘビーでした。愛くんは色んな悲しみが複数絡まりまくってるので、言葉で整理するのが難しすぎたよ。推測を今まで以上にいれてしまいました。あらすじも入れすぎだし、長くなりすぎちゃった。反省ね。

まだ4週か…。早くこの山を越えたい…。

 

 

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