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お出かけ手帳

誤字脱字病。書いては直す人生。

『純と愛』 第6週 らぶすとーりー (後)

☆ネタバレしています☆

 
更なるつづき!
長くてかたじけない。
 
親子げんか再び
正たちを捕まえられぬまま、サザンアイランドに戻った狩野家の人々と愛くん。
取り引き先の社長でもあった花嫁の父からは、「もうおたくとは付き合わん」と言われてしまいます。そりゃそうだ。借金を返す当てはもうなくなりました。
この状況で、善行と純がやりあうのは必至です。

「お前はどんだけ俺の人生邪魔したら気が済むんや。そんなに俺が憎いんか。」
略奪劇も、そのせいで慰謝料もろもろまた金がかかるのも純のせい。家族にどれだけ迷惑かけたら気が済むのか。このホテル潰す気なのか。善行は激しく純を責めます。
 
「息子に政略結婚みたいなことさせて自分の借金返そうなんて、姑息なことするからいけないんでしょ。マリアさんのこと知ってたくせに。」と純も反撃。愛くんが(図らずも)色々と目撃していたと、言い返す。

スパイ行為に善行の怒りは更に募り、愛くんにも挙動不審な奴だと攻撃。「おまえらこのホテル乗っ取るつもりか」

「出来たらそうしたい」と純。
おじぃがやっていた頃と比べて、今のサザンアイランドは夢もロマンもない。あるのは金儲け卑しい根性だけ。おじいに恥ずかしくないのか。

お父ちゃんはおじぃと比べられるのが屈辱なんですよね。善行はおじぃみたいにはできないんだよ。娘に全く尊敬されない悲しさが、この人の偏屈に拍車をかけていたりする。
「ここは俺のホテルじゃ。二度と俺の前に現れるな!」

純は子供のころの「動物園の思い出」を話し出します。
「今でも思い出すのは、愛されてたと感じたからって愛くんは言ってくれたけど…あなたには愛情なんかひとつもないから」

言うところまで言ってしまった純。

怒りのあまり純に手をあげようとします。が、愛くんがそれを庇う。
「僕のことは何を言われてもいいですけど、純さんを傷つけることは許さない」

愛くんが動いた反動でポケットから何か落ちます。精神科からの薬です。

あぁ、もうどんどん話が…。
 
 
狩野家の本性
愛くんは病気なんかじゃない、特別な能力で人の本性がみえるんだ、と純。

「言うてみ!」と善行は強気です。まぁ信じるわけないですよね。言うてみっていう人はだいたい痛い目みるのに…。
 
「お父さんは悲痛な顔をして叫んでます。俺をもっと見ろ。大事にしろ。愛せ 。特にお母さんに」
うろたえる善行。

「剛くんは雨を舐めてる子供みたいにお母さんに甘えてます」
「すげえ!当たってる!」と喜ぶ剛…。

「お母さんは目をギラつかせて今にも飛びかかりそうな野獣みたいです。今にも破裂しそう。お父さんといるのはもう疲れた。結婚したのは間違いだったかもしれない」
晴海はうつむきます。

剛は置いといて(笑)、お父ちゃんとお母ちゃんの本性は、普段の2人からはかけ離れたものでした。純も驚く。
善行はショックが隠しきれません。自分の本性だけでなく、晴海の本性をきいて思いっきり動揺する。
これが最後のひと押しとなり、善行は最も言ってはいけないことを言ってしまいます。

「お前と一緒にいると家族が不幸になる。二度とこの家に近づくな!
お前みたいな奴はな、生まれてこへんかったほうがよかったんじゃい!!」
 
ついに純は生まれてきた事さえ、父親に否定されてしまいました。
 
 
純は「お父ちゃんのせいで家族が不幸になる。お父ちゃんみたいになりたくない」と前日のけんかで言っていて、それをある意味返された形ではあるし、「愛情なんてない」と言ってしまった直後ではあるけど、それでも「生まれてこない方がよかった」はキツすぎるよ。
 
それだけ善行は追いつめられてしまったのでしょうけれども。
 

このシーンでは、純と善行の徹底的な拒絶と、狩野家の人々の本性が明るみになる、ということが絡み合って描かれました。

妻からの愛情を求める夫、夫に愛想が付いている妻。

愛くんが見た本性であぶり出されたのは、狩野家の拒絶合戦が、実は純と善行だけの問題じゃないってことです。晴海は腹の底に夫に我慢ならない感情がある。拒絶があるんです。晴海は本性を見られるのを嫌がりますが、これは自分の気持ちに自覚があったということですよね。
 
狩野家は父と母がお互いに認め合う過程を怠ってきたからこそ、ここまで家族がバラバラになってしまったんじゃないかなぁ。
もちろん子供達はもう大人だから、このこじれを「親が悪い」だけとは言いません。
だけど、純と善行がここまで憎々しい言葉をぶつけるのは2人だけの問題じゃない。夫婦の問題であり、家族全体の問題なんです。
 
親子の不和は、実は夫婦の不和が原因なのかもしれないっていうのは、愛くんの家だってそうですよね。
 
 
それにしても、このシーンを見るのは大変ですね。朝からガチンコだもん。父と娘の完全なる分断。壮絶すぎね。

でも、目まぐるしいスピードでこれだけ濃い会話劇を進めていく、書き手の荒技というか、力技はすごい。話題ずらしの巧妙さ。ここまでやるのは、あっぱれだと思います(笑)。次の展開のためにも、ここまでやらなきゃ意味がない。
 
 
純の決意
サザンアイランドを後にした純と愛くん。ホテルの見える橋の上で2人は落ち込みます。
純はあんな家族と離れられて清々した!と言ってみるものの、ただの空元気。善行に存在自体を否定されたことが、悲しくて仕方がない。僕のせいで…と謝るいとし。「愛くんのせいじゃないよ」と純は返すけど、いつになくどん底な状況であることに変わりない。

純はけんかの途中で薬が出てきたことを思い出し、「もうそんなことしなくていい」と薬を海に投げ捨てようとします。愛くんは純のために通院していたんですね。
が、愛くんは「ダメです!」と薬を奪いどこかへ走っていき、何かと思ったら橋の先にあるゴミ箱に薬を捨てる。「純さん、ダメです自然を汚しちゃ!」。そしてまた走って戻ってくる。しかも笑顔で。(この変に手をぶらぶらさせる走り方とか、風間くん考えてやってんだろうな。憎いね。)
 
その姿を見て純は思います。
「おじぃ、あたしは今、自分の運命を決める決断をしなきゃいけないのかも」
なんですかそれ?、と心を読む愛くん。
 
 
ここもさりげないけど、すごい上手いなぁと思って。

父親に絶縁され、純はみなしご状態。味方は愛くんだけになってしまいました。
その愛くんが一瞬自分から離れ、そして戻ってくる。たった数十秒の出来事だけれど、純は愛くんが離れた時の不安と戻って来た時の安堵を強烈に感じたんだと思うんですよね。

「運命を決める決断」っていうのは、愛くんとの結婚な訳ですが、このごくごく短い彼の不在を入れることによって「この人を離しちゃいけない」という気持ちを高めさせている。ただ薬を海に投げ捨てるだけではこの効果が出ないんです。
 
しかも純は橋の上という境界の場所で、次の選択を決めようとしているし。
 
橋は深読みしすぎ?
でも上手い!短時間で心を動かせる話運び。
 
 
多恵子への電話
宮古の母校を訪れ、愛くんとハンドボール対決なんかして悲しみをごまかそうとする純ですが、ごまかすなんて無理。
 
純は泣きだします。
「何やってんだろう私。親父にあんなこと言われたけど、絶対に泣かないって決めてたのに。これから愛くんに大事なこと言わなきゃいけないのに。こんな顔で言いたくないのに…。」
 
涙が止まるまでに一本電話をかけるという愛くん。多恵子にです。
「ちゃんと伝えなきゃいけないことまだ言ってなかったから」
 
何?と冷たく電話に出る多恵子。
愛くんは純のとなりで、携帯をハンズフリーにして話始める。
 
愛:
「僕はもう病院へはいきません。純さんと一緒にいれば辛くないし」
 
多恵子:
「くだらない女のために、一生を台無しにして。自分の言っている意味がわかってるの?あなたは必ず後悔する、私の方が正しいって気づく」
 
愛:
わかってないのはお母さんのほうです。純さんは僕なんかよりたくさんの人を幸せにできる人間です。何故だかわかりますか。 純さんはたくさんの愛にあふれてるからです。どんなにつらいことがあっても理想と希望を絶対に捨てないからです。そのせいで誰からも愛されなくなってもその信念を曲げるくらいならひとりぼっちを選ぶ。そんな強い人間だからです。
 
多恵子:
「だったら今すぐ選びなさい、その女のを選ぶか私を選ぶか。その女を選ぶなら、あなたはもうあたしの息子じゃない 」
 
僕は純さんをとり… 最後まで聞かずに電話を切る多恵子。
 
 
善行に絶縁され打ちのめされた純が自分に何を言おうとしているのか、愛くんには検討がついているはずです。その彼があえて純の前で母親に電話をして、純を選ぶと宣言する。母を拒絶する。多恵子が認めないことを確信的にやっていると思うんです。
 
これは、自分も親に対してのけじめをつけるというか、これからは2人でやっていくんだっていう覚悟のための電話ですよね。
 
もちろん純を励ます、ということもあったでしょう。
これだけ自分を理解してもらえて、純ちゃんは嬉しかったと思うよ。
 
多恵子は内心悲しいし、悔しかったでしょうね。8年ぶりに息子と再会できても結局拒絶されてしまった。でも、それで黙って泣くようなお母さんじゃないけれど…。
 
 
あたしと家族になってください
とはいえ、実際に母親に絶縁され、海辺で滅茶苦茶凹む愛くん (笑)。立ち上がることさえできません。
 
純はなんとか慰めたくて、愛くんの手のひらに「I」と「J」の形をしたサンゴを乗せる。愛くんがくれたハート型の貝殻も置いて、なんかロマンチックな感じになりましたw。
 
純は意を決して、愛くんに言います。
「愛くん、結婚しよう。もうあたし達、家族はいない。だから家族になろうふたりで」
 
いいんですかぼくみたいな…という愛くんに、「もうそれ言わないって言ったでしょ!」
 
純は続けます。
 
いとしくんこの前自分の本性はひどい人間だっていったよね。でもあたしそうは思わない。例えそうでもあたしがそんな人間にさせない。あなたをわたしが思ってるような、優しくて心がきれいで誰よりも愛に溢れた男にしてみせる。
 
立ち上がる純。
「<愛>と書いて<いとし>と読む、待田愛さん!私の家族になって下さい!」
 
それを聞いて愛くんはひざまずきます。
「僕の心と体は永遠にあなたのものです」
 
純が「ありがと…」という間もなく、今のは「ねむりひめ」のパクリだからやり直したいという愛くん。そして彼も立ち上がる。
 
「これから本当に色々大変なことがあると思うんです。だけど…」
俺がついてるぜベイベー
 
一瞬目が点の純ちゃん。
なにそれ?!でも笑いあい、抱き合う二人。
おじぃ、この広い世界でふたりきりになっちゃったけど、あたしはこの人さえいれば何もいらない。
そう思いながら、純は愛くんと手をつなぎ、宮古の美しい海をいつまでも眺めるのでした。
 
純はそう決めたんだね。
最後の純のナレーションでいつもじんときてしまいます。
「この人さえいれば〜」っていうのはすごくロマンチックな響きな気もするけど、よく考えたら、こういう過酷な状況だからこそ心から思える。「この世界でふたりっきり」になったからこその言葉です。あぁ切ないよ。
 
純のプロポーズはマリアさんのものと似ていますね。
一緒にいてくればそれでいい。私が幸せにしてあげる。いい人間にしてみせる。
これは男性の脚本家さんだからこそ書けるというか、男性の夢でもあるのかもしれんなぁ(笑)。
でも、相手に何かを求めるより、何かしてあげたいって思えること自体が、すでに幸せな気がするよ。。。

あとは「俺がついてるぜベイベー」って本当何それ!?っていう問題ですが(笑)、これも案外意味深いような気がして。
最初に愛くんは「ねむりひめ」の引用をして答えようとするけど、やっぱりやめる。それはお母さんの息がかかってるからですよね。
これから2人で生きてくんだから、自分の言葉で返さなきゃって思ったのかな、と。あのお母さんはベイベーとか絶対言わないもん(笑)。愛くんなりに、新しい人生を進もうとする気持ちを表現した…んでしょう、きっと!
 
 
純と愛』はラブストーリーで、恋愛はお互いを承認していく作業だとおもうんですが、6週をかけて、純ちゃんと愛くんはお互いを認め合い、価値を見出し合う関係になりました。ここまで辿り着いたことが、何より尊いことな気がする。

愛くんが多恵子に語った言葉と、純がプロポーズの時に愛くんに言った言葉を引用として大きく囲ってみたんですが、ここはお互いを最大限に承認してるのがわかるセリフですね。
2人は一緒に生きていく準備ができた訳です。
 
とはいえ、狩野家も待田家も問題が山積みなまま。
これからは純と愛くんが夫婦として家族の問題とどう対峙していくか。また降りかかる試練を通じてどう成長していくか、というのが物語の大きな見所になっていきます。
 
これでだいたい今週のお話はまとまったかな。
 
 
第6週はいつもに増してアップダウンが激しいです。しんどいシーンも多い。
 
でも、純にしても、マリアさんにしても、諦めなければ自分の気持ちを伝えることができるんだ、と思わせてくれる大変勇気が出る週でもありました。
なにより純と愛くんがこれから共に生きていくことを決めますからね。
 
とにかく盛りだくさんです。

カップルが結婚に向かうというある種の収束と、親子の分断と、純の両親の不和という新たな問題が一気にやってくるので、途中どう書いたらいいかわかんなくなっちゃった(笑)。まとめるのが難しくて。

特に善行と晴海の関係は、最終回まで見てるぶん相当シリアスなことがこの時点で分かっているので…。とりあえず今回は問題が表面化したところなので、これからまたゆっくり考えていこうと思います。この夫婦から学ぶことは多いです。

この週で物語もひと区切り。
来週からまた新たな段階に進んでいくよ!
 
 
(第6週は本当に思い入れが強すぎるから、あらすじも書きまくってしまったな。反省。まだまだ試行錯誤は続く。) 

 

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