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お出かけ手帳

誤字脱字病。書いては直す人生。

『純と愛』 第13週  きせきのくりすます(前)

☆ネタバレしています☆

 

いやぁ先週は大変でしたね(笑)。

でも今週は素敵ですよ。いや、純ちゃんはドン底なんだけど、それなのに笑えるし、やっぱり悲しいし、じんとする週です。

ナレーションが愛くんになったり、演出もいつもと違うポップな感じで、先週の惨劇でダメージを負った視聴者のことを、制作サイドもちゃんと考えてくれてると思います(笑)。

この週は年末ということで、いつもより1日少ない5回の放送です。年末!そう、やっと折り返し地点まできたってことですね。

 

 

たましいが抜かれたみたい

サザンアイランドが完全崩壊してしまった先週のお話。

今週は、がれきに佇む2人を改めて見せるところからのスタートです。そのあと「大阪 12月」という文字が画面に映され、あれから時間が少し経過したことを知らされます。クリスマスで賑う街並み。この週はクリスマスとちょうど重なっているんですね。12月23日から5日間の放送でした。

 

夜、そんな街の華やかさとは正反対の、寂しげなボロアパートに帰る愛くん。引っ越したんだね。

ちなみに新居は4畳ぐらいの台所兼居間と、その部屋にある押入れ内の一部がぶち抜かれていて、そこを這いつくばってくぐらないと入れない寝室(布団2枚敷くのが限界)っていう狭くて変な構造の部屋です。上手く説明できないけど、寝室が隠し部屋みたいになっていて、とにかく変。家賃安いんだろうな。

古いけど工夫すればいい感じの部屋になりますよ!とか、デートしよう、とか色々愛くんは無理して元気に話しかけるんだけど、純は心ここにあらずでほとんど無反応です。あんなに元気だった子が、今じゃボソボソっと返事をするだけ。

 

先週の終わり、愛くんは純の心の声が聞こえなくなり、純のナレーションも消滅してしまいました。その代わりに今週は愛くんがナレーションをします。視聴者は愛くんの心の声を聞くんですね。

 純が心を閉ざしてしまった、ということの描写以外にも、これが色々と効果的で。

何より、純のナレーションがなくなるのと同時に愛くんが純の心の声が聞こえなくなるという事態にすることよって、私たちは愛くんの疑似体験をしていたんだということがわかる。今までも時々、純のナレーションに反応していたこともあったけど、喜んだり、怒って悪態ついたり、超賑やかだった純の心を、愛くんはあんな風に聞いていたんだと。

それが聞こえなくなることの寂しさ、心許なさよ。(そして、純だけじゃでなく、あらゆる人の心があんな風に聞こえてしまう愛くんの地獄。)

 

まぁよく考えたら、他のカップルと同じ状態になっただけでなんですけどね。どんなに親しく愛情があっても、相手の考えていることはわからないっていう。

人とわかり合うことはすごく難しいんだっていうことが、この週で考えるテーマのひとつになっています。

ここぞという時に、大切な人の気持ちがわからないっていうのは、きっと色んな人が経験していて、それを二人にも味合わせてるんですね。

 

あとは、あんな陰鬱のまま純にナレーションをさせたら、暗くなり過ぎるし話も進まないっていうのはあると思う。愛くんの心の声を出すことで、純の負ってる傷を客観的に見られるし、悲しみに引きずられすぎずにすみます。視聴者に気分転換させることができる。

ナレーションをここで交代させたのは、素晴らしいアイデアだな。

 

「おじぃ、大阪に戻ってきてから、純さんはまるで魂が抜かれたみたいです」とか「おじぃ、僕にはわかりません、どうしたらいいのか」とか、純みたいにおじぃに報告したり相談してるかと思えば、「なんかその言い方ムカつくな」「人が優しく言ってるのに!」と純に対して本音の部分も出てきて面白いです。

 

純は毎日ぼーっとしてるか、泣くか、寝てるかで、無気力になってしまいました。愛くんに「早く元気に」と励まされても、「わかってるけど、無理なの。あんなに頑張ったのに、おじぃのまほうのくにがなくなっちゃったから。身体中から力か抜けて、外に出る気にもならないし、誰にも会いたくないの。」と言ってしまう。

 

純がそんな風になるのも仕方ないですよね。自分の心の拠り所がすっかり消えてしまって、もう夢も希望もなにもなくなっちゃった。

それにおじぃのホテルがなくなっただけでなく、あんなに頑張ったのに状況を変えることができなかったことに、無力感や自己嫌悪を感じています。「自分が何をやったってだめなんだ」って。

生きていくことに絶望してるんだろうな。

 

でもその絶望感も他人から見ると、なんだかおかしみがあったりするんですよね。

 

純は寝てる時にうなされるんだけど、笑ったり、なんか空飛んでる風だったり、犬みたいにうなりだしたり、なんだかよくわからない(笑)

ご飯食べてても、急にひな祭り歌いだしたり、「うわぁー!!」と叫び出したり。

またそこに、いとしナレーションで、「も、猛獣なのか…?」とか「と、突然歌い出した!そして何故この時期にひな祭りなんだ」とか細かくツッコミをいれている。ツッコミ入れてる時点で、純の苦しみがボケになっちゃうんです。

 

「結局、私は何もしない方がいいんだよ。さっきだってさ、コオロギがね、部屋の中に入ってきて踏んじゃいそうになったから、あぶないよーってひょいって逃がしてあげたら、そのとたんにバーってカラスが来てパクって食べちゃってー」

可哀想にぃ、私のせいだぁ…ってこの世の終わりみたいに泣くんだけど、何でもない時に聞いたらむしろ笑い話じゃないか(笑)。

 

本人は本当に悲しみにくれてるのに、純ちゃんの情緒不安定に笑っちゃうんです。悲劇が喜劇にも見えてしまう。

この理不尽な笑いは、純の心が読めなくなった愛くん目線だからこそなんだよなぁ。観るものを悲しみに浸らせない。(それだけ先週は思い切った展開だったからなんだけど…。)。

 

 

善行の誤算

「今頃お父ちゃんが、おじぃのホテル売ったお金で大阪にマンション買って、おじぃのホテル買った会社で働いていると思ったら、なんか腹が立って。宮古にいたいお母ちゃん無理やり大阪に連れて来て、自分だけいい思いするなんて許せないよ…」と静かに怒る純。

 

でも善行さん、実はそんなにいい思いしてないんです。

再就職先で重役のポストが用意されている、と聞いていた善行。でも実際の仕事は、関連会社での警備室の受付でした。話が違うと怒っても、「仕事があるだけでもありがたい」と思えと言われてしまう。

10億、20億を動かす仕事で再起を果たす気でいたお父ちゃんにとっては寝耳に水です。おいしい仕事があるからこそ家族を裏切ってまで、ホテルも家も売ったのに。

たぶん向こうもわかってたんだよ、仕事の話をちらつかせば、善行がホテルも家も手放すような男だってことが。借金は返せたけれども、この人もまた、ある意味騙されていました。因果応報じゃ。

やったことが自分に返ってくるって、このドラマでは繰り返し描かれてますよね。ここでも、ホテル売却契約の時、純は愛くんのおじぃ声帯模写で善行を騙そうとし、先週は騙し返され、最終的にお父ちゃんが商社に騙されるっていう。

だからこそ、ひとつひとつの選択が、大事なんだよな…。

 

純と同じく、晴海も心ここにあらずです。善行が帰宅しても気付かず、放心状態。辛うじて「子供たちが心配で…」って言うんだけど、「勝手に出て行ったんだからほっとけ」としか善行は言いません。でも、宮古も子供も取り上げたら、晴海はどうなってしまうのか…。

 

 

まさかのクリスマスイブ

さて話は戻って、いとしに「早く元気になってほしい」と言われた純は、「わかってるけど、無理なの」と力なく、でもどこかツンケンと答えました。そして「人の心が読めるんだったら、それくらいわかってよ」と続ける。

それを言われうつむく愛くん。「純さんの声が聞こえなくなりました」と告白します。

 

純は戸惑いつつも「私にどうしろっていうわけ?」と更にツンケン返しちゃう。

 

すると愛くんはちょっと考えて、力一杯明るく元気に「わかりました!別にどうにもしなくてもいいです。純さん、何にもしなくてもいいです。そうだ!僕が働きます。そうだ、そうだ」って言い出すんですね。純さんは家のことをやればいい。他の人の本性も、もう見えなくなったかもしれないし!

純は無反応…。

それでも、元気に振る舞い続けるいとし。そして別の部屋に逃げて、ひとり潰れます。「おじぃ、なにやってるんでしょう、僕は…」

 

次の日、早速面接に行こうとする愛くん。ちなみにこの日はクリスマスイブ。放送日も12月24日です。

 

台所にさり気なくかけた小さな鏡に映る自分が、こう語りかける。

「やめた方がいいんじゃないの?外で働くのはまだ無理だよ、YOUには!」

白タキシードで、ジョーカーみたいにハミ出し気味に赤い口紅をつけた愛くん(笑)が、髪をかき上げてそう言うんです。

 

それで面接にいくつか行くんだけど、やっぱり面接官の本性が見えちゃって、案の定上手くいかない。

面接官の本性の見せ方が面白くて、人物の頭の上に「どケチ」とか「マザコン」とか、長い電球を折り曲げて文字をかたどったネオンを光らせます。クリスマスだしね。いつもと違う趣向です。

 

面接に全て失敗し、頭を抱えながら賑わう街を歩く愛くん。たくさんの楽しそうな人々。でもよく見ると、実はクリスマス限定で付き合ってたり、崩壊寸前だったり、二股だったり、よこしまなカップルが沢山いることに気付きます。

 

純を想い、ケーキを買って帰るいとし。

でもね、純は家事、愛くんは就活、ってお互い慣れないことしてるから、結局この日は変な雰囲気になっていくんですよ。

 

純の手料理で祝うクリスマス。

純は自分で作ったくせに「不味そう」って料理も食べないし、面接がダメだったと聞いても「だと思った」ってさらりと言うし、どんどん嫌な子になちゃう。酒飲んでやさぐれちゃう。

それでも、愛くんは純に優しく接しようします(純の料理を見て「ウソだろ!ある程度予想はできたが、こんなに不味そうとは」(笑)と思っても食べる)。

でも、その優しさが純にはまた辛いんです。

 

家事を一日やってみても、何一つ上手くできない。コオロギも死んじゃう。本当に自分は何をやってもダメなんだ。それが現実なんだ、って打ちのめされてる。

その上愛くんに、こんなに気を遣わせ、慰めさせて…。

 

「本当は私の顔なんて見たくないんでしょう?なんでこんな女と結婚したんだとか思ってるんでしょう?じゃあさ、その辺で浮気でもなんでもしてきたら?」と、ついに純は、愛くんを挑発するような、試すようなことを言ってしまいます。

 

「それ、本気で言ってるんですか」

今までじっと純を見守ってきた愛くんも、これには堪らず怒って家を出て行く。

ひとり残され、涙する純。

 

で、愛くんがどうするかっていうと、酒場で酔っ払った勢いで「誰でもいいから慰めて」っていう女の子を見つけて、あっという間にホテルまで行っちゃう(笑)。

あの「浮気はない」と即答してた男が!

 

バスローブ姿の女とホテルのベッドに腰掛け、その距離を徐々に詰めていく二人。こんな時に聞こえてくる、愛くんの心の声は「おじぃ!」です(笑)。

 

そして女を押し倒す愛くん。

「おじぃ、いいですよね、一度くらい。浮気は男のなんとかって言うし…」

 

クリスマスイブにこの話をやるっていうね(笑)。

愛くんが女の子を押し倒し、こりゃいよいよわからんぞ…ってところでこの日の回は終わるんだけど、このシーンのBGMがまた超ハッピーな「ジングルベル」なんだよ(笑)。

クリスマスイブの日に、街には不純なカップルがたくさんいて、純と愛くんはケンカをし、更に愛くんは女の子を引っ掛ける。なんて素直じゃない台本なんだ(笑)。

 

でもさ、実際にはクリスマスイブに寂しい思いをしてる人なんてごまんといて、そういう人にとっては結構優しい気もするんだよ。だって、クリスマスを楽しんでるやつとか、わたし超ムカつくもん(笑)。かけがえのない素敵な時間を過ごしている人もたくさんいるのに。心が狭くてごめなさい。

 

あと、あの愛くんだって、浮気をする可能性もあるんだよっていうね。愛くんにも「おじぃ、僕は所詮この程度の男です」と言わせています。絶対なんてないんだよ。この世には不完全な男と不完全な女しかいない。

でもこんな時に魔が差してどうする、いとし?いやこんな時だからなのか?

 

純は自暴自棄になってますからね。おじぃのホテルのことで頭がいっぱい。

人生の目標を失って、自分が自分でいられなくなちゃって、大事な人を傷つけてしまう。愛くんにイライラをぶつけてしまいます。

プロポーズした時には「この人さえいれば、何もいらない」と思っていたのにね。

でも、そういうことってあるんだよ。 距離が近いからこそ、他の人に見せない自分の嫌な部分もさらけ出してしまう。さらけ出せるのは、その人を心から信頼していて、大切に思っているからなのに。

 

 続く!

 

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