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お出かけ手帳

誤字脱字病。書いては直す人生。

『純と愛』 第13週  きせきのくりすます(中)

☆ネタバレしています☆

 

続き!

前半戦総決算週だから、どうしても色々書きたくなってしまう。 

 

マリアの出産

えーっと、浮気は未遂に終わります(笑)。

すんでのところで正から電話がかかって正気に戻り、逃げ帰ってきた愛くん…。

 

愛くんはかなり挙動不審になりながらも(この人も嘘がつけないんだよ)、正からの伝言を純に伝えます。マリアが産気づいたから、純に那覇に来て欲しい、産婆さん呼んで自宅で産むから、と。

 

純は最初行きたがらない。でも愛くんに言われて、行くんですね。

愛くんはというと、純とギスギスしてしまっている自分たちを見せたくないから、と一緒に行かない。

(今思うと、本当にここは一緒に行って欲しかった。純が行くよう言ってくれたのはよかったけれど)

 

那覇の正のアパートに行くと、難産のマリアさんが頑張っていて、狩野家の面々が集ってきます。マリアさんが呼んだんです。来ないと言っていた善行まで来る。

みんながバタバタやってるなか、剛が「俺は何をしたらいい?」っておろおろ聞いて、晴海に「あんたは大人しくしてなさい!」って子供みたいに怒られるのが良かったな(笑)。

で、書道の墨をすり始めるっていう(今週から剛は書道家を目指し始めました笑)。末っ子らしいよ、君は本当に…(渡部くん、進撃の巨人楽しみにしてるよ!)。

 

いよいよもうすぐっていうところで、子供の名前はどうするの?って話が出ます。

善行はいそいそと考えてきた名前を書いた紙を披露しようとしますが、マリアはもう決めていました。「勇気」です。

純ちゃん、いつも頑張ってるの見て思った。これからこの子、生きていくのに1番必要なもの、courage!

マリアさんは、純の頑張りをちゃんと見てくれていたんだな(涙)。

純と晴海の手をぎゅっとにぎり、狩野家のみんなに見守られて、マリアは元気な女の子を出産します。とても感動的なシーンでした。家族が一つになって、命の誕生を喜びます。

純と善行なんて泣き方も泣くタイミングも一緒でね(笑)。親子なんだよ。

 

純たちの結婚式で家族みんなでケンカになった時に、マリアさんが「赤ちゃんが産まれて、家族が仲直りするのをドラマで見た」って言って無理やりいきみ出すシーンがあったけど(笑)、あれを本当にマリアさんはやりたかったんですね。

 

純は愛くんにすっごい嬉しそうに、勇気ちゃんが生まれた時のことを電話で報告します。今まで萎んでたのが嘘みたいに。でも愛くんは「よかったですね」って言うのが精一杯。彼は落ち込んだ世界で留守番してるからなぁ。

「愛くんも来ればよかったのに…」純の気持ちはまたザワつき始めます。

 

そのあと、皆が満面の笑みで家族の記念写真をとるんだけど、あぁここに愛くんが入ってたらって私は思っちゃうんですよ。

 

このドラマで家族写真は重要なアイテムです。純は宮古に初めて着いた時におじぃと一緒にとった家族写真をよく見てますよね。今週もよく見つめてる。

家族の一員になれないと、家族写真には映れないんですよね。少なくとも、このドラマ世界のなかでは映れない。

愛くんは善行からも晴海からも認められてないから、ここに入れないのもわかるけれど…。でも、このチャンスを逃したのは大きい。本当に意地なんて張るもんじゃないよ。

 

久々に笑顔が戻った狩野家。

でも楽しい家族の時間は、あっという間に終わります。純と善行がまたケンカするんです。晴海がこんなに家族が笑顔になるのは久しぶり、息子達に一緒にまた住もうって言うところからどんどん転がってケンカになる。

 

善行は純に「こうなったのは純のせい。一家揃って笑うというこの幸せを台無しにしたのはお前や。お前は疫病神」って言うんです。

善行は仕事が上手くいってないことのイライラを純にぶつけてるっていうのもあると思うんですけど、純がおじぃのホテルを救おうとしたことを批判する。そこまで言わなくても、って言うくらい責めます。お前が余計なことをするから、今家族はバラバラなんだと。お前みたいなもんは、無人島で岩でも噛んでろ。

 

純自身も今、自分を責めていますからね。そんなことを言われたら、余計に落ち込んでしまいます。涙をためて出て行く純。


追いかけてきた晴海に純は言います。

お母ちゃん、私今まで、頑張れば自分の気持ちは必ず通じるし、世界を変えることだって可能だって思ってた。家族なんだから、いくらケンカしたからって、最後はお父ちゃんとだって分かり合えるって信じてた。でも違うみたい。私なんかが何やっても世界は1ミリも変わらないんだよ

純の無力感が止まらない。

今までの純とは思えないこの発言に、晴海は何も言えずに立ちすくみます。


純を責める善行って本当にヒドいと思う。自分のことは棚に上げて、嫌な親父ですよ。

でもねぇ…よく見ると、善行は純にすっごいヒドいことを言いながら、家族全員分の麦茶をコップに注いでるんですよ…。

 

私、この善行さんを見て、黒澤明の『生きものの記録』を思い出したんです。

この映画は「日本は核で危ないから、持ってる会工場も家も全て売って、家族みんなでブラジルに移住しよう」って家長である結構いい年のおじいちゃんが言い出して、家族で揉めるっていうお話です。スケールは違うけど、親父が言い出したら聞かないとか、移り住むとか、家族のエゴとか、色々共通点はあったんだけど、全然気づかなくて。でもこの麦茶を見ていきなり思い出した。

 

三船敏郎演じるおじいちゃんと息子たちは対立して、家庭裁判所で争うんですね。結構お金持ちだし、そんな馬鹿げた理由で今の生活を捨てる訳にはいかないって言って。まぁ普通に考えたらそうですよね。

で、すごい暑い日に裁判所で息子達に会った三船敏郎が、争ってる息子達の分もジュースを買って来るんです。これを飲めと。オカしいこと言って家族を困らせてるはずの人が、家族に心を配ってる。

 

善行の麦茶を見て、この風景を思い出したんですよね。先週のお父ちゃんは下衆かったし、この日も純を傷つけすぎ。だけど、善行なりにやっぱり家族を思ってたりするんだろうなと。善行が考えた孫の名前は「再」だし。家族でやり直したいって気持ちはあるんだよなぁ。あぁ、お父ちゃん…。この悩ましさは、なんなのよ…(泣)。

 

 

人として間違ってる気がした
その日の夜。純は暗い顔で大阪のアパートに帰ってきます。勇気ちゃんが生まれた時はあんなに嬉しそうだったのに、と愛くんは驚く。

 

電気もつけず、寝室でぼうっと窓の外を見つめる純。

「何かあったんですか」愛くんはその背中を見守ります。

 

純は静かに語り出す。私なんて生まれて来なけりゃよかった、何でも私のせいなんだ、と。総理大臣がころころ変わるのも、世界中から戦争がなくならないのも。

そんな被害妄想みたいなこと言わないで、と愛くんは言うんだけど、純の気持ちは動かない。

 

「愛くんがいけないんだよ。愛くんが那覇に行けなんて言うから。お前が家族の幸せを台無しにしてるとか、お前なんか岩でも食ってろとか、そういうこと言われて、もうどうしたらいいかわかんない」

「純さんは、出会った時みたいに、ずっとそのままでいてください」

純の気持ちを思いつつも、愛くんは(きっとあえて)この言葉で励まします。

 

そのままでいられる人間なんていないんだよ。私はもうあの時の私じゃないの。今ずーっと頭の中で『ひなまつり』が流れてて、女なんかに生まれてくるんじゃなかったって思ってるの。この世界には夢も希望もないって諦めてるの。

 

愛くんは黙って話を聞きます。純は涙をこらえて続ける。

「あたしはね、お父ちゃんが死んだって絶対泣かない。ううん、逆に嬉しいかも」 

その瞬間、愛くんは純を振り向かせて頬を叩きます。

「人として間違っている気がしたんで…」

 声を詰まらせ、悲しそうに言ういとし。純は愛くんを振り切って、アパートを飛び出します。

 

このシーンは本当に重いです。純は善行を今までにないほど憎むんですね。父親が死んでも嬉しいだろう、と言うくらいダークサイドに落ちてしまう。おじぃのホテルを売られて、あんなに言葉で傷つけられて。

純が善行を憎むのは愛くんにも分かる。でも、彼は弟を亡くして苦悩している人物。だから、どんなに善行が憎くても、純にそんなこと言ってほしくないんだよ。それがきっと、純を苦しめることになるから。

純も純くんのことがとんじゃうほど、心に余裕ありません。

これだけ自分をさらけ出したり、相手をたしなめたり、っていうのは、深い結びつきがあるからこそなんでしょうけど。

結局のところ1人1人背負うものが違うっていうのが、仲違いの原因なのでしょうね。どんなに想い合っていても別々の人間同士だから。

新しい命が生まれた同じ日に、父親の死を思ってしまうのがまた悲しいね…。(それにしてもクリスマスにこの伏線を入れてるってすごく残酷)

 

家出した純は他に行く先もなく、オオサキをのぞきに行ってしまいます。クリスマスで賑わう中、きびきびと働く仲間たち。桐野さんとチカは「待田さんはきっとがんばってるわよ、私たちも頑張らなくちゃね」なんて言ってる。とても今の自分を見せられません。

そーっと帰ろうとすると、誰かにドンとぶつかる。水野さんです。

 

 

あいつが何考えとるかわからへんねん

純が水野と会う瞬間に寒気がする愛くん(笑)。内職をしながら純を待ちます。(こんな時でも内職をするいとし。こんな時だからか)。

すると電話が鳴る。愛くんパパ・謙次からでした。

 

誠ちゃんが宮古で出会った自称ミュージシャンと付き合ってて、お金送ったり、なんか大変らしいです。ここにも自由な末っ子がいたね。誠が出て行ったから、謙次の相談相手は愛くんだけになってしまいました。

お正月に純さんと遊びに来たら、という謙次。「お母さんが心配やねん」

最近は薬ばかり飲んでいるようです。

 

サザンアイランドの崩壊に手を貸した多恵子。善行にその報いがあったように、多恵子にもその反動がきているのかもしれません。誰かを傷つけるって、ものすごくエネルギーがいるし、自分も傷つくんですよね。

 

多恵子の様子を聞いたいとしは、複雑な気持ちになりながら、こう聞きます。 

「お父さん一つだけ聞いてもいいですか。どうしてお母さんと結婚したんですか」

「そりゃ好きやったからに決まってるやろ」

「じゃあどうして浮気するんですか。お母さんのこと愛してないんですか」

えーと、謙次さんは今ホテルから電話しています。横にはバスローブの若い女。慌てる謙治。一体どうなってるんだよ。

「いや、そんなことないけど、あいつが何考えてるかわからへんねん。どうやったらあいつを幸せにできるんか、どうやったら昔のあいつに戻ってもらえるのか」

 

意外にも、この親子は今同じ悩みを抱えていたんですね。

  

純が愛くんに「そのままでいられる人間なんていないんだよ~」って言ったのって、多恵子の気持ちでもあるような気がする。結婚した時は輝いていても、生きていくうちに、どんどん傷ついて、気づいた時にはもうあの頃の自分じゃなくなってしまった。

 

謙次はその変化を受け止めたり、傷を癒すどころか、外の女に逃げてますからね。それで多恵子はますます孤独だし、本当に悪循環です。

 

純の心の声が聞こえなくなった愛くんは、妻のためにいま何ができるんだろう。

 

 

水野さん(トルストイ)再び!

水野さんとレストランに行き、飲んだくれる純。水野さんに愚痴ります。

「私なんか友達もいないし(←これ純は何度も言ってるね)、家族には見放されるし、もう死にたいけど、そんな勇気ないし…」

 

純ちゃんは普段から、何かって言うと「まさか自殺なんてしてないよね」って思っちゃうし、死んだおじぃに話しかけてるし、何気に死を近くに感じている人です。

前にも(第2週かな)にも死にたくなってそうな時があったけど、はっきりとは口に出さなかった。でも今回は言ってます。でも「そんな勇気ない」とも言うんですよね。生きていくのに勇気は大事だけど、その勇気はなくていいんだよ。だから純ちゃん、それでいいんだ。

「そんなこと言わずに今まで通り頑張ってほしいけどな、俺は」

「むりむり。どうせ私がやってること、ぜーんぶ間違ってるんですよ」

すると、もうないと思っていたあの格言シリーズが!

トルストイは言ってるよ。

「この世に正しいしい人間なんていない。正しくなろうとし続ける人間がいるだけだ」って。

「それにさ、おじぃの「まほうのくに」が消えた上に、今までの君が消えちゃったらさ、本当に悔しいだろうし悲しむんじゃないかな、死んだおじいが」

 

今回はトルストイだけじゃなく、水野さんオリジナルも結構いいこと言ってるじゃないのよ。それで酔っ払った純は言うんです。

「水野さんは心の声がなくても私のことちゃーんとわかってくれる。わたし水野さんと付き合えばよかったのかも」

 

 

どこいったんですか純さん!

なかなか帰ってこない純の携帯に電話をする愛くん。すると出たのは水野さんでした。なんでなんで?

「帰りたくないっていうから、あなたの妻、今シャワー浴びてますよ」と言われて、水野たちがいるというホテルにすっとんで行く愛くん。

部屋にはショートヘアのバスローブの女がいたりして。ま、純じゃないですけどね。おなじみの流れだよ(笑)。今週バスローブの女が出てき過ぎ。

さっきまで一緒に飲んでて、純が携帯忘れていったけど、普通に取りに来させるのもシャクだからって。今回はイケると思ったけど、やっぱり振られちゃったんだってさ。

電車で帰ると言って帰って行ったという純。

「ってかさ、お前たち大丈夫か?」

返事もしないうちに、青ざめて走り出す愛くん。

 

どこ行ったんですか、純さん!

 

 

と、ここまでが12月25日の様子です。イブに続きなかなかハードですね。

マリアさんの出産のとき、剛が「今日はクリスマスで、マリアさんが出産って、キリスト生まれるんじゃない?」的なことを言うんですけど、実際このシーンの放送は12月25日でした。イブもそうだけど、このへんのライブ感は放映当時とても面白かったです。

 

今週は「きせきのくりすます」っていうタイトルだけど、クリスマスの2日間で奇跡的なのは、ただひとつ。勇気ちゃんが誕生したことだけなんですよね。あいかわらずロクなことが起きないドラマだけれど(笑)、「新しい命がこの世に生まれる」ということは、すべてが吹っ飛ぶほどの奇跡なんだよ。

 

しかも名前は「勇気」。マリアさんが言う名前の由来は、このドラマからのメッセージでもあります。純のように勇気をもって生きていけっていう。

 

その純ちゃんは今、番組始まって以来最高にボロボロです。

自分のダークサイドにどうカタをつけるか。

家族とも分かり合えなくて、何をやってもムダで、好きな人が好きだと言ってくれたときの自分ではいられなくて、夢も希望もないこの世界とどう向き合うのか。

そして視聴者にこの憂鬱な気持ちを引きずらせたまま、年を越させるのか(笑)。

年内、残すはあと1話です。

 

更に続く!

 

(善行さんの麦茶のくだりで出した『生きものの記録』は、言うまでもなく傑作であります。核問題と隣り合わせになっている今だから、っていうのもありますが、家族ってそんないいもんじゃない話としても超面白い。しかも三船敏郎、30代でこのおじいちゃん役やってるからね。なんなのあの人すごすぎる。おじいちゃんにしか見えん)

 

 

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