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お出かけ手帳

誤字脱字病。書いては直す人生。

『純と愛』第15週 あかずのま (前)

☆ネタバレしています☆

 
ついに里や編が始まりますよ〜!

<第15週のあらすじ>
心機一転、里やで働き出した純だが、その並々ならぬ熱意は同僚からまたも疎まれ早々に孤立する。そんな中、2ヶ月も部屋に籠りっきりの客がいることを知った純は、なんとか外に出てくるよう説得するが…。

 
この週は、純が里やスタッフとの関係づくりをしていくと共に、かなりの直球テーマが入ってます。
それは「生きる希望ってなんだろう」。朝からね、すごいですね(笑)。っていうか、これからも直球だらけですよ。ははは…。
今まで、希望を失った人は何度も出て来てきているし、純も愛くんもそういう状況を経験しているんですけれどね。今回は緊急度が違う。
 
純たちはおじぃのホテルを失い、純くんの弔いも上手くできていないなか、再度「生きる希望」について、第三者の話ではあるんだけれども真正面に扱うっていうのは、なるほどなぁ。後半戦の出来事を考えると、まずここでコレを入れたっていうのは、確かになんとなく分かる。
 
『 純と愛』は同じメッセージを反復させることが多いですけれど(それが批判のひとつにもなってるのかな)、やっぱりね、死にたいっていう人に「生きなきゃだめだ」ってストレートにテレビで何度も伝えるのには意味があると私は思うんですよね。暑苦しかろうと、もしそこに真摯な気持ちがあるならこういう方法があってもいいんじゃないかと。
 
まぁ朝のドラマに期待されていることに対してどこまで応えるべきかとか、このドラマは最初からそれこそラストシーンまで、色々話はあるとは思うんですけれども、それは追々別エントリで考えたいと思ってます。
 
 
里やの仲間たち
先週のお話は、里やのスタッフが紹介されて、つづく、だったんですけれど、今週から本格的にこの人達が出てきます。オオサキと違い、ごく小さいホテルなので、職場のシーンにはだいたい皆います。
 
メンバーは客室係の天草蘭(映美くらら)、雑用係の宮里羽純(朝倉あき)、板前の藍田忍(田中要次)、そしておかみさんのサト(余貴美子)だけ。そこに純が入ります。
 
里やは「何もかも失った人ばかり」の場所なので、スタッフも訳ありです。それぞれの事情はこれから話が進むにつれ、少しずつ明らかになります。

里やが、というかサトが面白いのは、「普通の名前だとつまんないから、みんなをニックネームで呼ぶことにしてる」っていうこと。ま、実際にあだ名で呼んでるのはサトだけなんですけど(笑)。この人だけ本当に朗らかなんだよなぁ。
 
蘭はそもそも「天草蘭」って言う時点ですでに怪しいんですが(サトは「宝塚みたいな名前だろ?たぶん偽名だね(笑)。まぁ人生色々だから」ってサラリと流してる。っていうか演じている映美さんは本当に宝塚出身ですからねw。そして息子の名はシロウ…。)、あだ名は見た目通りの「セクシー」。確かにシュッとしててセクシーなんだけど、『ガラスの仮面』の月影先生みたいに長い髪で顔を半分隠してます。小さい子供を抱えた住み込みで、いかにも訳あり。静かだけど、怒るとヒステリック。

羽純はいつもストローでジュースをチュルチュル飲んでいるので「チュルチュル」。気が向いた時だけしか働かず、だいたい里やのカウンターでマンガを読んでます。しかも「御意」とか「笑止」とか、2文字以上のことは喋らない。武士だってもうちょと話すんじゃなかろうか(笑)。でもあだ名は飛びぬけてかわいいなぁ。
 
忍は日本人に見えないから「セニョール」。セニョールて…。板前のくせにサトより料理が下手だけど、サトの夫が生きてる時から里やにいる古株です。基本、自信なさ気。明らかにフジテレビの「HERO」で、なんでも出すバーのマスターの逆をやってますね(笑)。

で、この人たちは里やのお客さんと同様、笑顔も元気も全くありません。仕事に対してやる気もないし、必要最低限のことしかしない。
 
ちなみにおかみさんは、石原裕次郎天海祐希のファンだから「ボス」って呼ばれたいらしいんだけど、誰も呼んでくれないらしい。そりゃそうだよ、そういうのに付き合ってくれそうな人いないよ(笑)。
 
純のあだ名は、オオサキから引き続きまして「社長」になりました。ここでもそれかよ、と心中穏やかでない純…。
 
先ほどは面白いと書いたけれど、よくよく考えると、里やの従業員に名前すら失くさせているっていう設定はちょっと怖くもあるんですよね。もう『千と千尋の神隠し』の世界じゃないか、これ。里やの現実離れ感、異世界感が半端ないです。
落ち込んでいた純が元気になったのも、現実から離れた異世界でゆっくり休めたからっていうのはあるよなぁ。でもちょっと怖い。 
 
こんな感じで、里や編は今までよりファンタジー色が強いです。オオサキとサザンアイランドでの厳しい現実で受けたダメージを癒しつつ、次なる試練の緩衝にもなるし。オオサキ、宮古からの里やっていうのは考えたなぁ。
建物のボロさといい、間の抜けた沖縄音階のBGMといい、アニメみたいな側面があります。
 
 
空回りの純
宮古事変以来、久々に働くことになった純はかなり張り切っています。
愛くんも嬉しそう。出掛ける時には、純にお弁当やら何やらお母さんみたいに持たせて、ジャケットまで着させてくれる始末。なんてできた嫁なんだ。…というか過保護ですよ、これは!
純は「あたし、愛くんがいないと何にもできないなぁ」とかデレデレ不吉なこと言ったりするものの、とりあえず二人は完全に仲良しに戻りました。
 
で、里やに意気揚々純は行くんだけれども、従業員も客も全く元気がないので、完全に空回りしてしまうという。みんなに無視されます。
おかみさんはテレビドラマばっかり観てるしね。「あんた一流ホテルにいたから教えることないし。適当に仕事して」としか言わない。
 
純はやる気満々なので、これはなんとかせねば、とその日家に帰るとすぐに里やの改革案を作ります。愛くんには「焦らない方がいい。郷に入れば郷に従え」って言われるのに聞かないんです。そういうとこ、純ちゃんあるよね(笑)。
 
次の日、オオサキのプレートまで持って行って、みんなに改革しようって提案するけど、もちろんそんなの誰も聞いちゃくれないわけです。
 
セクシーさんなんか本気で怒っちゃって。
いい加減にしてよ!ここはあんたの思ってるような場所じゃないの。毎日やることもなくカップ麺ばかり食べて、人生を諦めているような人間が集まってくるところなの。あんたみたいな暑苦しい女に、みんなで頑張れば夢が叶うみたいなこと言われるのが一番迷惑なの。向いてないからさ、辞めた方がいいんじゃないの!!

もう完全否定です。純だけじゃなく、里やも否定(笑)。

 
サトにも「買い被りすぎよ〜。そんな大したホテルじゃないからさ」って、テレビ見ながら朗らかに言われちゃう。
 
純は里やが大好きだからこそ色々言っちゃうんだけど、まぁ当然の流れですよね。
純は里やをまほうのくににしたいと思ってるけど、あくまで里やは里やだもん。
 
愛くんに「今までのやり方があるから、戸惑ってるだけですよ。笑顔、笑顔!」って励まされて、3日目にして落ち込みながら出勤してみるものの、みんなとうまくやっていける気配がない。
 
純ちゃん、オオサキでも最初の浮きっぷりはすごかったもんなぁ(笑)。人ってそう簡単には変わらないものだね。
純だって、「みんなで頑張れば夢が叶う」わけじゃないって経験してるんですけどね。
 
 
家族の皆もまた色々あります
里やで1人不協和音を奏でる純は、里やの近所で剛と偶然再会。
今は書道じゃなくて、カバディやってるんだって。相変わらず、よくわからんよ(笑)。でも剛が出てくるだけで、和みます。ありがたや。
 
おねぇのところに泊めてってお願いする剛に、純は善行のマンションに行けっていうんだけど、剛は嫌がります。「お父ちゃんの顔見たくない」と。剛も善行のことそこまで思ってるんだなぁと、見ていて改めて思ってしまった。
でも純は晴海が心配なんですよね。
 
そんな話を里やでしてると、今度は誠が純にお金を借りに来たり、剛が誠に改めて軽く振られたりと、細々起こる。
 
サトは嬉しそうに純にこう言います。
「いいねぇ、あんたの家族ドラマチックだねぇ」
 
でも、もっと深刻にドラマチックな展開を迎えている家族もいて。善行と晴海です。
 
善行は、思っていた仕事でなかったうえ、若い上司に叱責されるのに我慢ならず、仕事を辞めてしまったようです。
 
そして晴海は駅前で突如「おうち、どっちだっけ」となってしまった。すごく不安そうでね。ドキドキします。
これから病気が進行していくんですが、森下さんのお芝居が本当に真に迫ってきて、認知症という病気についてもどんどん考えさせられます。
 
この日は会社を辞め早く帰って来た善行が、駅前にある地図を必死に見てる晴海を見かけて、なんとかなるんですけれどね。ただ、今自分に何が起こっているのかは言わないんですね、この夫婦は。お互い取り繕う。
 
買い物袋を取り上げ(こういうぶっきらぼうな優しさはあるんだけどなぁ)、さっさと歩いていく善行。その後ろを、キョロキョロ初めて通る道みたいについて行く晴海の姿が切ないです。
 
 
世捨て人さん
里やで働くだしてすぐ、純は2階の1室からうめき声が聞こえてくるのに気づきます。気づくっていうか、大音量で聞こえてくる。びっくりして部屋をちょと開けようとすると、耐えられないほどの悪臭が。
 
おかみさんに聞くと「あー、あの開かずの間ね」と軽く返される。もう2ケ月外に出てきていないといいます。
「一体何やってるんだろうね」と、のん気なサト。部屋を掃除させてもらった方がいいという純にも「うちは客の自由を尊重するからさ」。

でも、その部屋からのうめき声というか断末魔が止まらないんですね。
 

行くところがない剛が里やに泊まることになった夜、純は弟に何とかしてと言われて、扉ごしに声をかける。「開けてください、開けてくれたら何でもしますから」って。
 
そしたら戸が10センチくらい空いて、明らかに怖い感じのおじさんの、鬼の形相をした顔だけ出てくる。
「ほな、包丁持ってきてんか…そしたら…言うこと聞いたるわ!!」

もちろんそんな状態の人に包丁なんて、渡せるはずもなく。
 
この人は一体…と、純がおかみさんに宿泊台帳を見せてもらうと、名前のところに「世捨人」って書いてあるだけ(笑)。いや、全然笑い事じゃないんだけど、なんか笑っちゃうよ。お客さんにも名前がない。
「完全に偽名じゃないですか!」
「でも、偽名ですか?って聞けないしねぇ」

マスターキーでも何でも使って中に入るべきだって純は言うんだけど、おかみさんはそもそもマスターキーなんてないし、そういう織田信長みたいなやり方は嫌だと言います。
「ここ大阪だし、太閤さんのやり方でいかないと」
鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギス
「社長も太閤さんに負けないように頑張ってみたら?」

この人やる気あるのかな?と思いつつ、純は部屋の前にファブリーズ的なモノを振りまきつつ、外に出そうと色々声をかけるけど、全く様子は変わらず。
扉が開いたと思っても、でっかい容器に溜めたお◯っこを「ほかしとけ」って渡されるだけ…。

世捨人役は佐藤二朗さんが演じてらっしゃるんですが、いつもの面白要素は一切なしです。本当にギリギリの「怖い」人として描かれます。何か話しても急に声がデカくなったり、小さくなったり、「これはマズいことになってる」っていうのがすぐわかる。
朝のドラマのキャラじゃないし、朝じゃなくてもビビるよ。よくここまで追い詰められた人っていう演出と演技にしたなと思います(笑)。でもこういう人にしないと、純のキレイごとには対抗できない。
とにかく、世捨人さんは強烈なキャラクターです。
 

正の浮気
純が里やでバタバタとする中、正とマリアにも問題がある事がわかります。
 
正が浮気するんです。しかも相手は、マリアさんが略奪しなければ、結婚していたあの見合い相手。何やってるのよ、お兄ちゃん。
マリアは純に電話して「勇気と一緒に死にます!」と号泣。

純はすぐに正に電話してて、いつものごとく責め立てます。
馬鹿じゃないの?父親のくせに!自分が恥ずかしくないの!!

正は最初モゴモゴするんだけど、純があまりに責めるので、珍しく長々と言い返すんですね。
人の心っていうのはな、お前が思ってるより複雑で、イージーに割り切れるもんじゃないんだよ。なんでお前に説教されなきゃいけないんだよ。あ、そうだ子供の頃ケンカした時、お前何て言ったか覚えてるか?「お兄ちゃんが死んでくれたら、私がホテル継げるのに」って言ったんだぞ。あの言葉でな、俺がどれほど傷ついたかわかってるのか?お前には人の弱さがわからないんだよ!
 
まぁ逆ギレでもあるんですけども、繊細な正の性格がよくわかる。
純は昔そんなこと正に言ったのか。子供って残酷だよ。

正しく生きるって、確かに口で言うほど簡単じゃないでね。でも水野さんは「正しくあろうとする」ことが大事だ、って言ってたしな。難しいなぁ。
やっぱり、お兄ちゃんコレはダメだと思うけど…。
 
 
私には無理です
純は正から言われた「お前は人の心の弱さがわからない」という言葉が頭から離れません。純は優しいけど、まだまだ自分の気持ちを押し付けてしまう癖があるからね。それが繊細な人には辛いこともある。
 
そんなモヤモヤした気持ちを抱えたまま、純はまた世捨人さんに声をかけます。「包丁を持ってきたらどうするんですか?」

持ってきたら教えてやる、と言われて、純は持って行っちゃうんですね。居眠りしてるセニョールから包丁を盗んで。
純は色々なことで焦って、やっちゃったんだと思うけど、もちろんそんなことはしちゃいけなかった。刃物だもん。

世捨人さんは「死ぬんや!」って言い出し、純と包丁を取りあって廊下でもみ合います。しかもその近くにいたシロウに体がぶつかってしまう。子供を傷つけてしまった世捨人は絶叫して部屋に逆戻り。セクシーは怒り狂います。

純はもちろんホウボウ謝るんだけれど、落ち込みが止まらない。夜、帰り際にはおかみさんへ辞表を出します。サトはそんなに気にしなくていいって止めるんだけど、純は寂しそうに断ります。
 
「それだけじゃないんです。ここには私がやることがないっていうか…。私みたいな人間は必要ない気がして」
「そんなことないわよ」
「なんで私のこと雇ってくれたんですか?」
「決まってるじゃないの、あんたが来たら何かドラマチックなことが起こるんじゃないかなぁと思ったの。こんなつまんないホテルにも」
「すいません。私には無理です」
「そーお?私の見込み違いだったか…」
 
しゅんとしたまま里やを出ていく純。
ふと顔を上げると、愛くんが目の前にいます。
「本当にいいんですか、それで?」
 
 
さてさて。
佐藤じろうさんの漢字、次郎さんだっけ、二朗さんだっけと思って(笑)、wikipedia見たら、「自らの強迫性障害の体験を基にした映画『memo』で監督・脚本・出演を務めた」ってあって、あぁそうなんだと納得してしまった。世捨て人さんの迫真は、そういうところからもきっときているのか。あんなに楽しそうな人に見えていても、そういうことがあるんだ。
 
どんなに朗らかに見えても、生きてて何にもないということはない。
サトだって、純だって、現実に生きてる誰だって、何か抱えているわけです。
 
優柔不断な正が、心の奥に複雑な思いを抱えていることを吐露するシーンにも、そういうことを示唆する意図がありますよね。
 
第15週の前半で、里やの人間関係や純の家族問題を通じて炙り出したのは、孤独。
 
孤独だからこそ、みんな何か大切なもので心を世界につなぎとめていると思うんですが、じゃあそれすらない、「世捨人」となった人は、この生きる重さにどう耐えればいいのか、持ちこたえることができるのか、というのが後半のテーマになっていきます。
本当に重いね(笑)。
 
諦めるな、純!
 
 
続く!
 
 
(そういえば、ホテルにいた時「羽柴秀吉」さんを泊めたことあったなぁ(笑)。確かに「偽名ですか?」とは聞けなかったなぁ。)
 
 
 

 

純と愛 完全版 DVD-BOX2

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