お出かけ手帳

誤字脱字病。書いては直す人生。

『純と愛』第15週 あかずのま (中)

☆ネタバレしています☆

 
続き!
後半戦はあらすじ減らそうと思ったのに、すごい書いてる(汗)。

 
間一髪
辞表を出し、里やを去る純。すると建物のすぐ目の前にまで愛くんが来ていました。

「本当にいいんですか、それで?僕は純さんに合ってると思いますけど、ここのホテル」
「いいの…」と里やを背に歩いていこうと行こうとする純。「止めても無駄だよ」

「純さん…違います純さん!!」

里やの2階の窓には、世捨人さんが今にも首を吊ろうとしている影が!
 
二人は慌てて里やに引き返し、世捨人の部屋に体当たりで押し入り、間一髪のところでなんとか助けることができました。世捨人の背中をさする純と愛
 
部屋に入った時に、世捨人の足がぶらぶらしてる描写があって、「あ、これは向こう(作り手)も本気だな」と思いました。っていうか、本気じゃなきゃ怒りますよ。一瞬なんだけど、それぐらい本当にヒヤヒヤする。

我に返り、純と愛の手を振り払う世捨人。
サトも駆けつけたところで、純は世捨人に力一杯問いかけます。
世捨人さん!どうして?一体何があったんですか?訳を教えてください!世捨人さん!!

「天野や。俺の名前。天野巌(いわお)」
「天野さんどうして死のうなんて思うんですか」
「決まってるやろ、生きる希望がないからや!!」

どうして?と聞いても「言う必要がない」としか言わない天野。
純は愛くんに天野さんを見てもらう。

小さな頃から貧しく、でも頑張って勉強し一流企業に入った天野。憧れの女性と結婚し、一人娘もできたけど、人生でよかったのはそこまで。
信頼していた上司に裏切られ、妻は親友に奪われ、暴れて刑務所送りに。
外に出た後は酒浸りで、何度も死のうと思った。
しかし娘が結婚することを機に、立ち直ろうとする天野。だが、そう簡単にはいかず、結局自分に負けてまた酒浸り。娘にも「もう二度とあなたと会うことはない」と言われた。だから生きていても仕方ない。

愛くんの言うことがあまりに当たっているので、怯えだす天野さん。サトも驚く。
しかし今回は、近くに残していた遺書の内容をそのまま言葉にしただけなのでした。ご丁寧に娘とのツーショット写真も添えられてる。

「死ぬなんて、やっぱりダメですよ!」と純。
「なんでや!!」と天野。

それは…と上手く答えられない純。
おかみさんに、何か言ってくださいってふっても、「ドラマチックな人生だねぇ」とある意味ブレない返事(苦笑)。
「励ますとか、慰めるとかないんですか!」って純に怒られても、「あたしそういうキャラじゃないから」って自分で言っちゃう。こういう人、大事だよ。
 
 
お前は嘘くさい
純は天野さんへの説得を続けます。
天野さんはとっても頑張り屋さんだし、ここに籠ってるのも、お酒やめて娘さんに会いたいからでしょう?だったら私、応援しますから、と。
「諦めないで頑張れば、きっといいことありますよ!」

その言葉が天野の逆鱗に触れます。
お前みたいな奴がいっちゃん腹立つ。頑張ったらええことあるとか、嘘くさい言葉並べおって、そんなんは愛されてヌクヌクと育った人間の戯言や!
「あたしはただ、天野さんのために…」
「人の為と書いてなんて読むか知ってるか?」
すっと出てこない純…(苦笑)。
「偽りです」と愛くん。
 
お前みたいな嘘くさい人間は、見てるだけで不愉快や!
「出てけ!出てけ!!もうこっから一歩も出ず、一生誰とも会わへんのや!!」
 

天野さんの人生は、大変ですよ。
どっかで聞いたことあるような不幸話っていうのが、また切ないわ。おかみさんのドライな反応とかね、本当に上手いなと。
 
でも本人は死ぬほど辛い。よくある話だろうが、なんだろうが、今、死ぬほど辛いんだっていうのもわかる。それに辛すぎて、自分が一番辛いんだって思っちゃうのも。
 
純だってまぁ色々あってここまで来てることを、視聴者は知ってる(はずだ)し、天野さんは想像力がないんだけど、今にも死にたっていう人にはそんなの言ってもしょうがない。
 
もう希望がない、という気持ちは誰とも比べちゃいけないんだ。他人から見たらもっともっと些細な理由であっても、本気で死のうとしている人がそう言うのなら、まずその気持ちを受け止めなきゃいけない。
 
特に天野さんはかなり頑張って努力を重ねてきた時代があるからこそ、頑張ることにもう意義を見出せなくなっているし。そういう人に「頑張れ」って言うのは、よほど責任と勇気がある人か、何も考えてない人だけですよね。
 
天野さん問題は、今まで出てきたお客さんのトラブルの中でもかなり重いです。
書いてても整理がつかん。
 
「もう一歩も外に出ない」と宣言する天野の姿が悲しくて切なくて、泣いてしまった。
 

逃げないでください
天野の部屋を追い出され、食堂に戻るとセクシーが息子を抱きかかえて待機していました。
「大丈夫ですか、またこの子に何かあったら大変だから」
住み込みだから、心配なんですね。セクシーがなぜここまで神経質に息子を守ろうとするのか。それにも、もちろん理由があります。
セクシーさんは純に対して天野さんと近いこと言ってるし、この回で絡ませるのはやっぱり意味があると思う。

セクシーが部屋に戻ると、純は改めて「じゃあ、あたしもこれで。お世話になりました」って辞めて帰ろうとする。

すると今度は、愛くんが純を説得し始めます。
「天野さん、どうするんですか?逃げないでください」
「そんなこと言われても…だって偽りって言われちゃったんだよ」

純が振り返ると、そこには愛くんではなく、超間近で純をじっと見るサトがいる(笑)。
こういうところで笑いをいれないと、本当に重すぎちゃうね。ごめん、ごめんと定位置のテレビ近くにはけるサト。

愛くんは純をまっすぐに見つめます。
でも純は、嘘くさいと言われたし、もうここ辞めたし、と力なく言う。

愛くんはサトにも「おかみさんはいいんですか、このままで」って聞きます。でも、宿泊費もらってるから出てけとはねぇ、と何かする気はないようです。

だんだんいとしは、説得に力が入っていきます。
「なんで簡単に諦めるんですか?助けたい人がいるのに!」
「だって、また私が何かしたら、多分後悔するし、また…」
「何もしない方が絶対に後悔します!」
「無理だよ、私にあの人を救うのは無理」

するといとしは、純の肩を掴み訴えます。
待田純の辞書に無理って言葉はありません。どうしてダメだ助けられない、じゃなくて、よし助けてあげようって思ってくれないんですか?
いつだって無理なんて言わない人が歴史を変えてきたんです。マザーテレサはこう言っています。『愛の反対は憎しみではなく、無関心だ』って。

なんでそんなに今日はムキになってるの?と戸惑う純。
 
「水野君に負けないように、色々名言集を読み漁ったのと、それと…」
「それと?」
純さんに出会ってなかったら、僕も天野さんと同じように、生きる希望を持つことができなかったからです。純さんと出会ってなかったら、僕も天野さんみたいになってたかもしれないからです。
 
これを言われたら、純はもう無理とは言えないですよ。
 
 
「あのぉ、お邪魔して悪いけど、これは破っていいのかな?」と辞表を差し出すサト。
お願いします、という純を嬉しそうに見ながら、おかみさんは笑顔で辞表を破ります。
 
 
教えてくれ、生きる希望っちゅうやつを
再び天野の部屋の前に立つ、純と愛
 
「私、やっぱり諦めないことにしました。嘘くさいとか、偽りだとか言われても構いません。私、やっぱり間違ってると思います。そこに閉じこもって誰にも会わないなんて。私は天野さんにそこから出てきてもらって、それから…生きる希望を持ってほしいんです!」
 
すると天野はまた部屋から家を少しだけ見せる。
 「わかった。…ほな、教えてくれ、生きる希望っちゅうやつを。それが湧いてきたら、出てきたるわ…」
そして戸は閉められます。
 
純は愛くんの顔を見ます。うなずくいとし。
 
「わかりました!教えてあげます、生きる希望ってやつを!」
おじぃ、こうなったら受けて立ってやろうじゃないの。
 
 
これで丸々15分の放送。
第83話、木曜日分でした。
 
 
説得の応酬といとしのブレイクスルー 
この回は、はっきり言って、いつも以上にあらすじ読むより映像で見た方がいい(笑)。
出てくる登場人物が少なくて、たまにしかない対話全面回なので、役者さん達のお芝居が落ち着いてみられます。アップのカットも多く、細かい表情とか視線なんかもすごく印象的。
 
それでもわざわざエントリを分けてまで書くのは、やっぱり第一には命の問題をここまで重く扱ってる回をはしょる気になれなかったから。里やシーンだけで地味なんだけど、私には切れなかったよ。
それに大事な見所もあると思うんです。
 
 
この日にやってるのって説得合戦なんですよね。説得につぐ説得。
 
純が世捨て人に「死ぬな」と説得→愛くんが純に「世捨て人を救え」と説得→純が世捨て人に「外の世界に出ろ」と説得。大きく分けて3つのパートに分かれてる。
 
純と愛』では、「説得」って要所で必ず出てきますよね。純は主要登場人物には何かしら説得してるはずだし、お客さん達にもかなり言いたいことを言ってる(笑)。それは純が、正しい道を進みたい、人とは分かりあえるはずだっていう信念があったからだと思うんです。それが暑苦しくて、嫌われることも多々あるけれど。
 
だけどここでは、純が逆に説得される側にもなる。
 
このワンクッションっていったい何だろう、この回の一番の核はなんだろうって考えると、実は愛くんのために用意されたブレイクスルーなんですよね。
 
もちろん、純はオオサキ、宮古での説得失敗や、正に「お前は人の弱さがわからない」発言もろもろのせいで、自分を信じきれない部分を持ち始めた中、世捨人の命も救わなくてはいけない。純に問題解決のための強いドライブが必要だというのはあったと思います。
天野さんレベルまでいっちゃうと、純の気持ちだけでは限界があるし。
 
だけどそれとは別に、愛くんが全くの他人のために純を説得したことで、これから物語の流れが変わっていく。おじぃのホテルを守るために、純のために、善行を説得した時とは意味が違います。ここから、いとしの社会性がどんどん開いていくんです。
 
世捨人さんのエピソードは、色んな作用はあるけれど、愛くんが変わっていくためのきっかけでもある。かつての自分を投影できる人物と出会うことで、少しずつ共感の気持ちが広がり始め、心の回復がまた進んでくっていうのはあると思うんですよね。
 
 
言葉で命は救えるか
テレビドラマというのは映像作品なので、ここまで直接的なセリフにしなくてもいいのかもしれないです(朝ドラはある程度わかりやすさが求められるにしても)。
 
でも『純と愛』は、ずっと言葉にこだわっています。格言も随所に出てくる。言葉の力を信じてるんですね。
 
今まで自殺思慮を持った人物がやたらでてきてたけど、今回はもうその行為にまで足を突っ込んだ人です。そこまで陥ってしまった人にも、言葉は力を発揮することができるのでしょうか。
 
この回では、とりあえず保留にするのが精一杯でした。
純が放った言葉の「嘘くささ」を、切実な訴えに変えることはできるのか。
生きる希望なんて人に教えることはできるのか。
 
 
更に続きます。
 
12月に入ったし、今って世捨人さん的気分に襲われる人も増える時期だったりするんですよね。誰だって世捨人になりえるし、本当に考えちゃうよ。
でも愛くんが純に救われたように、「嘘くさい」言葉にもやっぱり力があるんじゃないかな…と信じたい。
 

 

純と愛 完全版 DVD-BOX2

純と愛 完全版 DVD-BOX2