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お出かけ手帳

誤字脱字病。書いては直す人生。

『純と愛』第15週 あかずのま (後)

☆ネタバレしています☆

 

更に続き!

今さらだけど、天野いわおってすごい名前だ(笑)。

 

まずはやってみる

生きる希望を教えたる!と受けて立った純ですが、家ではさっそく「どうしたらいいわけ!?」と途方にくれます。そりゃそうだよ。

「外に出たら楽しいことが待ってる、って思わせたらいいですけど…」と愛くん。

純はそれを聞いてピンとくる。へらへらしながら「あたし、いいこと思いついた」。

へらへらしてる時点で、見てる方はこりゃダメだなっていうのが分かるんだけど(笑)、まぁとにかくやってみる。

天野さんの部屋の外で、愛くんにモノマネさせたり(有名人がいたら会いたいはずという理論らしい笑)、カレーの匂いで食欲に訴えたり、火事を偽装したり。

もちろん天野さんはビクともしません。

愛くんの田中邦衛のモノマネのクオリティが高いの!「こいつ純って言うんだよ」って(笑)。これ風間くんが田中邦衛のモノマネできる上でなのか、「こいつ純〜」のくだりやりたいだけのムチャぶりなのか。なんか後者な気がする(笑)。あとやったのは雑な北島康介…。純はAKBも更にさせようとしていたし。バカな子だよw

あまりの作戦の酷さに、自分でも落ち込む純。おかみさんは「あんたのチャレンジ精神嫌いじゃないよ」って言ってくれるんだけど(笑)。

 

どんな時に生きる希望を持ちますか?

作戦失敗で、残ったカレーを食べる里やの面々。そこに剛も師匠もいるんだけど、愛くんもみんなと馴染んでる。本当にこの週は愛くんのためでもあるよ(田中邦衛やった時にも革命起こってるw)。

 

落ち込む純は、皆に「どんな時に生きる希望を持つか」って聞きます。

サトは、いいドラマ見た時(『おしん』で泉ピン子が貧乏のあまり冷たい川に入って、宿った子供を…のシーンを再現するサト。昔の朝ドラも結構ハードね)。師匠は男に目覚めた時。セニョールはサト(とは言ってないけど、おかみさんチラ見)。チュルチュルは「皆無」…。

皆の意見が参考にならないと行き詰まる純に、愛くんは「純さんのお父さんに聞いたらどうですか?」と提案します。「心を閉ざしてる感じが似てるんです、2人とも」こういうこと言うんだよねぇこの人は。

でも善行はそれどころじゃない。仕事を辞めたことを誰にも言えず、背広着て会社行くふりして公園で時間を潰してるんです。

こんな時に「お父ちゃんはいつ人生が素晴らしいと思った?」っていうのはキツい質問だね。善行は、はぐらかして電話を切ります。

晴海もそれどころではありません。「家庭の医学」的な辞典で「アルツハイマー認知症」の項を読んでいます。自分の身の上に何が起こっているのか、自分でも核心に迫りつつある。

純が話す前に「うちに引っ越してこんね。愛さんと一緒でもいいから」と言い出す晴海。

「何かあったの?体の具合悪いの?」と娘に聞き返されると、「そんなんじゃない。娘に一緒に住もうと言って何が悪い」と怒ってしまう。

愛くんも家族に連絡するも、謙次が家政婦さんに手を出してる現場を多恵子が目撃して大激怒。離婚問題に発展中なんだって。誠は男に二股かけられて、でも別れたくないと泣きついている。

みんな、生きる希望どころじゃない…。

 

風が吹けば桶屋が儲かる作戦

「あのさ、アタシいい方法思いついたんだけどさ」と、どん詰まりの二人に、サトが口を開きます。「天野さんがこの世にいなかったら、この世界には困る人がたくさんいるって説明してあげるの」

さっそく天野さんの部屋に向かう、純と愛、そしておかみさん。

純は部屋の前で声をかけます。

「天野さん大変です!天野さんがその部屋から出てこないと、地球が滅亡するんです!」

「言ってる意味わからん!」と天野。そうだね。。。

「天野さんがもしその部屋から出てきて、外を歩いていて信号待ちをしてるとします。すると、隣りにいた男の人がコロコロと転がったボールを拾おうとトラックに轢かれそうになるんです。で、それに気がついた天野さんは、間一髪その子の手を引っ張って、その子は助かった!」

「それのどこが地球を救うんじゃ!」

「えーと…(いとしに聞く)、天野さんに助けられた男の子は大きくなったら『自分も人を救うような人間になりたい』と思い、地球防衛軍に入って、侵略してきた宇宙人たちを見事にやっつけて、地球を滅亡から救うんです」

もうええから帰れ!と怒る天野に、愛くんも語りかけます。

「天野さん、別に地球防衛軍じゃなくてもいいんです。もしかしたら、その子は地球温暖化を防ぐ偉大な科学者になるかもしれない。もしかしたら、その子はガンの治療法を発見する偉大な名医になるかもしれない。いや、僕たちみたいな、ただの平凡な男になるかもしれません。でもその子が大切な人と出会って、平凡な家庭を築くかもしれない」

「その可能性を潰していいんですか!」と純。

サトも部屋の脇にある階段に座って、じっと二人の説得を聞きます。

しかし、天野の答えは「ほかしとけ」。また、お◯っこ…。

「俺は他人がどうなろうと知らん!!」

生きる希望になるかはわからないけど、私はこの考え方好きですけどね。じゃなきゃ色々ツラい(笑)。


そんなの決まってるでしょ

食堂。「ドラマだったらさ、主人公があれほど言ったら普通心開くんだけどねぇ」とおかみさん。

居合わせたセクシーは「所詮、この人は主人公になんかなれないってことなんじゃないですか?」と冷たく言い放ちます。

藁にもすがる思いで、純はセクシーにも質問します。セクシーさんの生きる希望は何ですか?

「そんなの決まってるでしょ」と息子を見るセクシー。


そうか!それだ!天野さんには娘がいる!しかも結婚するよね?大阪中の式場に電話して探そう!

電話帳をめくりだす純と愛に、サトが水を差す。こんなこともあろうかと、娘さんの勤め先は調べてある、と。サトは謎のネットワークを持っています(笑)。


純と愛はすっ飛んで娘さんに会いに行く。そしてその夜、天野に報告をする。

娘さんに会いに行って、「お父さんに会って」と頼んできたこと。そして、断られたこと。

「このままでいいんですか!?」

「もう余計なことすな!!」

部屋から出てきた天野は、電車に飛び込むと言いだし、純と廊下で揉み合いに。突き飛ばされる純。天野は発狂寸前です。

「一体何なんや」

「じゃあ明日の朝まで待ってください。それまでに生きる希望が湧かなかったら、電車にに飛び込もうが何をしようが、構いませんから!」

 

アラビアンナイトみたいだね

天野は部屋にこもり、食堂に皆が集まります。ああは言ったものの、純にあては全くありません。

すると愛くんが「童話関係の本をかたっぱしから」買って、里やに戻ってきます。

「天野さんの娘さんの目を見た時、見えてきたんです。お父さんにたくさん本を読んでもらったことだけが、いい思い出として残ってる。天野さんにとってもきっといい思い出だと思うし、きっと本をかたっぱしから読んだら、娘さんに会いたくなって、出てきてくれると思うんです」

読むのはもちろん、純ですね。

「天野さん、私もう何を言ったらいいか分からないので、本を読みます」

天野の部屋の前に純は正座。山積みの絵本を脇に、1冊ずつ読んでいく。

『きたかぜとたいよう』『一寸法師』『花咲じいさん』…。

寒い廊下で、純の朗読する声だけが響きます。そんな純が気になって、愛くんだけでなく1人また1人と里やのメンバーが近くの階段に座り見守る。師匠や剛も。

「何かアラビアンナイトみたいだねぇ」と呟くおかみさんに、「何すか?」と剛。「知らないの?バカねぇ」

 

アラビアンナイトって確か、お姫様が王様に殺されないために毎夜面白い話を1話ずつするっていうやつだよね。って思って大好きなWikipediaでまた調べたところ、かなり厳しい状況で毎夜話してた(苦)。

妻の不貞を見て女性不信となったシャフリヤール王が、国の若い女性と一夜を過ごしては殺していたのを止めさせるため、大臣の娘シェヘラザードが自ら王の元に嫁ぐ。シェヘラザードは毎夜、王に興味深い物語を語る。(…中略…)話が佳境に入った所で「続きはまた明日」とシェヘラザードが打ち切るため、王は次の話が聞きたくてシェヘラザードを殺すのを思いとどまり、それが二百数十夜続いた。

王様、激ヤバ。

喉も体も限界に近づく中、読む絵本はどんどんなくなり、最後に愛くんに『ねむりひめ』を差し出される純。そしてそれも読み終わってしまう。気づけばもう空は明るくなっています。

「これで本当に終わりです。やっぱり無理です」泣き出す純。そして「トイレ限界です」とトイレに駆け込みます。

 

天の岩戸だよ!

トイレから戻ると、天野さんの部屋の前に、見守ってたみんなが集まっています。愛くんは絵本を純に渡します。

「天の岩戸だよ!」とおかみさん。

サトの三線にあわせて皆が踊る(!)中、天の岩戸の神話を読む純。剛と師匠以外は全員踊らなそうな皆が踊っています。もちろん愛くんも。剛はこのために今週登場したのか。

スサノオノミコトが人々を苦しめるので、怒ったアマテラスオオミカミは天の岩戸にこもってしまい、この世は真っ暗になってしまいました。困った他の神々は、なんとか出てきてもらおうと、歌い踊りこの世界がいかに楽しいところか訴えました。すると、その様子が気になったアマテラスオオミカミは岩戸を開けて出てきたので、世界は再び明るくなったそうな」

 踊りながら、師匠は天野に言います。

あんた!沖縄の人ってのは、何もかも失ってゼロになった人間を助けずにはいられないのよ!

三線を弾くサトの優しい微笑みが映る。

師匠はつづけます。

「あんたの為なんかじゃないんだから!喉からして、膀胱破裂しそうになっても諦めないバカなおねえちゃんの為なんだから!早く出てらっしゃいよ!!」

 

止まらないお囃子の中、涙を流し純は祈る。

 

すると、開かずの間の引き戸が大きく開く。部屋から出てくる天野さん。背中越しに、窓の外の朝日が見えます。

「どかんかい…」

「どこ行くんですか」と恐る恐る聞く純。

「風呂に!…入るんや!!…娘に会いに行くのに、こんな格好やったら会いに行かれへんやろ」

涙を流す天野さん。

 

こうして小綺麗になった天野さんは、背広を着て、清々しい顔で里やを去って行きました。見送る純とサトに微笑み、一礼。真っ直ぐ前を向き、商店街を歩いていく。

 

「おじぃ、あの人がこれからどんな人生を歩んでいくかはわからないけど、太陽の光を浴びて、うつむかずに胸を張り、大切な人を思い続ければ、生きる希望は必ず見つかる…と私は信じることに決めた」

 

そして、娘の花嫁姿を影でひっそりと見守る天野さんの姿が映し出されます。

これで娘と和解までしたら、それこそ嘘くさいですよね。今は遠くから見るしかできない。

天野さんは、生きる希望が見つかった訳ではないと思います。でも、純がおじぃに言うように、前を向くこと、大事な人を思うことは、希望を見つける原動力になる。希望を失ったとしても、ひとまず生きていくことはできるのです。そうしていくうちに、また希望が見つかるかもしれない。

純だって、サザンアイランドという生きる希望を失ったけど、愛くんという大事な人がいたからこそ、また前を向くことができたんだしね。

 

大義!

天野さんを無事に送り出した純。

するとセニョールは純に定食を差し出し、チュルチュルは「大義」という言葉と共にジュースをドンっとご飯をパクつく純のテーブルに置く。

天野さんの部屋の掃除はセクシーがとっくに終わらせています。「ティッシュの山で大変だったわよ。多分一晩中泣いてたんじゃないの?あんたの話聞いて」

おかみさんは「やっぱりあんたがいると面白いねぇ、ドラマチックで」と嬉しそう(笑)

 

気づくと食堂にいるのは里やのメンバーだけ。剛も師匠も愛くんもいません。

世捨人問題は、純にとって里やの一員になる為の試練でもありました。そして、純は受け入れられたようです。

 

「あの皆さん。私もうお節介とかするのやめて、これからはお客さんのリクエストとか無理難題にも答えるような…24時間コンシェルジュ!になりたいと思います!」

「は?」と一同。

「キャッチフレーズは『待田純の辞書に無理はない』ってことで、ひとつ!よろしくお願いします!」

と、懲りてない感もあるけれど(笑)、笑顔の純で今週は終わりだよ!

 

物語の力

天野さんを再び外の世界に呼び戻す為に、娘さんとの思い出を呼び起こそうとした純と愛。(よく考えたら、父と娘の断絶がここでも出てくるですね。)

純が、善行と行った動物園の思い出を忘れられないように、天野さんにも娘との忘れられない思い出がある。それが絵本でした。

もちろん娘と絵本を楽しく読んだっていう思い出が、外の世界へ気持ちを向かせるんだど、絵本っていうことにも自体にも意味がある。物語がもつ力について描いているんだと思うんです。

 

「頑張ればいいことがある」「死ぬなんてだめ」「生きる希望を持て」。

メッセ―ジ自体は素晴らしい。今まさに…という人には言わなくてはいけない言葉だと思う。

けれど、率直過ぎて中身が重いだけに、このまま繰り返し言っても上滑りする可能性も大きい言葉です。純が前向きな言葉だけ言って「嘘くさい」と言われても仕方ない。だってこの世界はあまりに複雑で、理不尽と厳しさにあふれているから。前向きな言葉を裏切るようなことがたくさんある。

 

一方で、やっぱり、生きていくには前向きな気持ちが必要です。

誰かに励ましてもらったり、慰めてもらいたい時もある。「頑張ればいいことがある」という言葉を使わずに「頑張ればいいことがある」と背中を押してもらいたい時があるのです。そして物語には、それができる。

だからたくさんの絵本が出てきたのだと思います。遊川さんは、物語の力を信じているんだろうな。(「頑張ればいいことがある」という言葉が嘘くさいということまではっきりと登場人物たちに言わせながら、やっぱり視聴者を励まそうとしてるのが泣かせる。)

 

それに、お話それ自体が面白ければ、わくわくしてもっと続きが知りたくなる。

アラビアンナイト」っ単語をわざわざサトに言わせて、剛と軽くやりとりまでさせてるのは、意味があると思います。

 「話が佳境に入った所で「続きはまた明日」とシェヘラザードが打ち切るため、王は次の話が聞きたくてシェヘラザードを殺すのを思いとどまり、それが二百数十夜続いた」

これはまさに異常なまでにジェットコースター的な『純と愛』がやってることですよね。この一話一話で、視聴者になんとか毎日を過ごしてほしいっていう思いがきっとあるんだろうな。

 

最後には歌や音楽、踊り、物語だけじゃなく、あらゆるものを総動員して、皆で天野さんを励ました。そのすべての励ましの元には、誰かを思う人間の気持ちがあります。

 

人間は孤独。でも、私たちを励ましてくれるものはたくさんあります。あとはそれに気づけるか、受け入れられるか。そして取り戻した希望を持ち続けられるか。

天野さんが「これからどんな人生を歩んでいくかはわからない」っていうのは、どんなに励ましをもらうことができたとしても、結局最後は自分の意思次第なんだ、ということですね。

 

 第15週は、純が里やで仲間として承認されていく様子と、愛くんのブレイクスルー、そして物語が果たす役割を見せてくれた、地味ながらも深いお話でした。

なにより、佐藤二朗さんの世捨て演技が壮絶すぎるので、必見です。

 

後半に入ったらお話の重さがさらにずしんときて、なかなかサクサク進まないな。あまりに教訓が多すぎて、立ち止まってしまう。今年中に最終週までいきたかったけど、難しそうだこれは。

お話も積み重なってきたし、おもしろいんだけどね。やっぱオオサキ時代みたいに色んな意味で山を登ってた頃とはちがう。

特に、今週は絵本がたくさん出てきた時点で、物語ってなんだろう問題にぶつかってしまって色々考えた割にまとまらなくて、困っちゃった。私は小説もテレビドラマも映画も舞台もあらゆる物語が好きなので、物語にはどいう意味や作用があるのかとか、なぜ人間には物語が必要なのかとか、もう私の手に負えない領域に近づいてしまったよ(笑)。

生きる希望って何?問題も、個人的には咀嚼しきれなかったな。これは最終週まで考えていく問題なのかもしれない。

まぁ、それでも次に進んでみよう。

 

純と愛 完全版 DVD-BOX2

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