お出かけ手帳

誤字脱字病。書いては直す人生。

『純と愛』 第16週 あいがつたわる 後半

☆ネタバレしています☆


続き!

ひとりぼっちなんかじゃない
マリアの飛び込み未遂の連絡を聞いて、両親のマンションにかけつける純。マリアは鎮静剤を打たれて眠っていました。

「よかったよー、お父ちゃんがいてくれて。…でもさ、なんでそんなところにいたの?」
嘘で取り繕う善行。狩野家は同時進行で色んなことが起こっている…。

そうこうしていると、マリアが目を覚ます。善行、晴海、勇気は昼寝をしていて、純とマリアが静かに話します。純、渾身の説得。

「なんでこんなバカなことしたの?何があっても勇気は私のかわいい姪だよ。マリアさんのこと、たった一人の本当のお姉ちゃんのように思ってる。あたしこれからマリアさんのことお姉ちゃんって呼ぶから。
お姉ちゃんが勇気を産んでくれた時、家族みんながまた集まって、みんなが笑顔になって、全部お姉ちゃんのおかげなんだよ。お姉ちゃん、ひとりぼっちなんかじゃないんだから。女があきらめたら、世界は終わっちゃうんだから」

マリアは「もう離婚届出した」って純を拒絶しようとするんだけど、やっぱりこれだけ言われると涙してしまう。純も泣きながらマリアを抱きしめます。

先週の世捨人に続き、マリアさんまで自殺未遂をおこしてしまうって…(苦)。前半戦から数えると、このパターン本当多すぎだよ…。
しかもマリアさんはもともとしっかり者で、理性もあるから、この人が自殺しようとするっていう展開はね。純と同じように「なんでこんなバカなこと」って思ってしまう。

でもこういう責任感のある人こそ、誰も頼ることも信じることもできず…絶望して魔が刺すようなこともあるのかもしれない。正が浮気相手に「別れたら死ぬ」って言われて、どうもできずにノコノコ目の前に現れて、じゃあ私は…っていう怒りと悲しさよ。

やっぱり、誰だって死にたくなることがある。でも死なないでほしい。
これだけ何度も死にたがる人を出すっていうのは、そういう思いが作り手にあるのでしょうね。死を軽んじてるわけではないと思います(と信じたい)。

純が愛くんや世捨人を救った時、さりげなく朝日が画面に映るのですが、今回はマリアの眠っていた西日がさす薄暗い部屋に純が入っていく。マリアの心の暗い部分に入っていく。

そこでの純を見てわかるのは、純がマリアに対して、家族としていかに大切に思っているかということです。今までみたいに、正しさを押しつけたり、無理やり何かさせようという訳じゃない。だからこそマリアも、その真摯な気持ちに涙する。純の気持ちが伝わるんですね。
マリアが勇気を産んだっていう条件付きな家族の愛情ではなく、家族の一員として敬意を表している。

こうやって純が静かに落ち着いて人に気持ちを伝えるのは、たぶん初めてじゃないかね。純の成長の表れだと思います。
結構ベタな心情吐露と和解なんだけど、純はあまりも押し付けがましかったから、こういうベタができなかったのだよね。

あと純は師匠の「女があきらめたら、世界は終わっちゃう」っていう言葉を早速使ってますね。
水野さんの言葉が発した名言を、すぐパクっていたけど(笑)、周りの人が言って心に響いた言葉を素直に吸収していくのは純ちゃんのいいところだな。
人間ひとりひとりが持つ影響力を、こういうところからも感じさせられる。
 
 
正がしてこなかったこと
正はマリアのことを聞いて、里やに現れます。マリアが泊まっていることを聞いて。

「マリア大丈夫?」って正は話し掛けるけど、「呼び捨てにされる覚えないし、あなたとは関係ない」って他人行儀に接するマリア。お金ないのに泊めさせてもらうのはよくないからと、里やの手伝いをしてたんだけど、自分の部屋に戻ってしまいます。

正はね、マリアがトラックに飛び込もうとしていた時に、浮気相手と一緒にいたんです。しかも家族と住む那覇のアパートに女を入れていた(最低)。「リコン届出した」といメールを見て、その子にプロポーズまでする。そして振られたんです。そんなつもりじゃなかった、と言われて。

それで今度はマリアに「向こうの人とは別れたから」とかしゃあしゃあと。一体何なの、この男は。

正が浮気相手に振られたことを聞いたサトはこう言います。
「それは、リベンジしたかっただけだね。その人置き去りにして逃げたんだろ?自分の失ったものを奪い返したかっただけなのよ、本当は。だから手に入った瞬間、あんたみたいなどうしようもない男と付き合っても不幸になるって気が付いちゃったのよ」

ぐうの音も出ん(笑)。
今回の騒動は、正の身から出た錆。でもマリアだってきっと同じです。理由はどうであれ、見合い相手の女性を傷つけたことに変わりはない。
純と愛』には因果応報で描かれるトラブルも実は多い気がするよ。

正は純と愛の家に転がり込み、どうにかマリアに思い直してもらえないか、一緒に考えます。でも正の性格的にいいところが何も思い浮かばない(笑)。どんどん弱気になる正。

そしたら正が「そうだ、忘れてた」って急に手を合わせて祈り始める。
「お前、今日1月17日だろ」
そして皆で黙祷。
「っていうかお義兄さん、毎年震災の日はこうやって黙祷してるんですか?」という愛くんに、当たり前のように「そうだけど」という正。

それで純は思い出すんですね。阪神大震災があったあの日の朝、大きな揺れの中でお兄ちゃんが自分と剛を守ってくれたことを。
正はそう言われても全然覚えてないんだけど、純は嬉しかったって言います。

「そういうもんなんですよね。優しくされた方は覚えてるけど、優しくした方は案外忘れちゃうんですよね」と愛くん。きっと本能的に二人を守ろうとしたんですよ。

それで純も「そうよ、お兄ちゃんはさ自分で思ってるよりも本当は優しいんだよ。愛情もさ、一杯あるんだよ。だからお姉ちゃんもお兄ちゃんのこと好きになったんだよ!」と正を励ます。

こうなったら、何としても取り戻してよ、って話は進むなか、そういえば正はマリアにプロポーズさえしていないことに気づく3人。

純は正に言います。
ってかさ、今までちゃんと愛を伝えてなかったのが一番の問題じゃないの?

このエピソードは実際に1月17日に放送されました。もちろん東北での震災も大いに意識しているはずです。

この週のテーマでもある「思いを伝える」ことの大切さ。それは私たちが、一見平凡で変わりばえしない日常であっても、実はいつ何がどうなるかもわからない、そういう世界で生きている、というのもあるからですよね。
生きていくことに限りがある以上、精一杯行動しよう、思いを伝えよう。
そんなメッセージを、正というとても情けないお兄さん通じて描いているのがいいな。
 
 
そう簡単にはいかない
純と愛に励まされて、正はマリアにプロポーズをしに里やへ。純に「お前の幸せを願ったことない」発言も謝り、いざ出陣です。(純の根に持たない性格がすごすぎる笑)
 
しかし「顔も見たくない」と正に言い放ち、部屋にこもるマリア。
正はドア越しに一世一代の告白をします。(純はマリアがいる部屋に入れたけど、正は拒否されるんですね)

自分のダメな部分を認め、心から謝罪。純と愛に励まされたことも伝える。

「正直に言うとずっと怖かったんだ、自分に自信がないのを見抜かれるのがさ。でも気がついたんだ。こんなダメな男を変えられるとしたら、世界中にマリアしかいないって。マリアは俺を一人前の男にしてくれるために現れた天使なんだって」

このドラマで何度も出てくるトルストイ2大格言も織り交ぜ、かなり長い説得を続けていく。
 
今自分に出来るのはマリアのネックレスを直すことしかできないけど、頑張るから、もう他の女なんて存在しないから、そこから出てきてくれないか。

部屋から出てくるマリア。
「ごめん、まだ信じられない。今の言葉が嘘じゃないって、勇気に証明して。勇気が泣き止んだら信じてあげる」
 

遅れてきた試練
正は娘を抱くといつも泣かれてしまうので、焦ります。
「勇気がわかってるからじゃない?父親が本当は愛のない男って」
とマリア。正に父親としての試練を与えるんですね。子供がいる以上、生半可な気持ちではヨリを戻す気はない。

今まで全てマリア任せだった正は、自分の子供をあやすことすらできません。
しかも愛くんや里やの誰が抱いても泣かないのに、正が抱くと泣き出す。
勇気を一晩預かった時は泣かれていた純も、今は大丈夫。
勇気は父親だけを拒絶する。

「やっぱり勇気は俺のこと、世界一嫌いなんだよ。俺が父親になりたくないって思ったの知ってて」

自己嫌悪と後ろめたさを背負う父親。どこか善行と重なります。

里やの皆、純と愛も手伝うけれど、結局どんな手を尽くしても泣き止まず、マリアは国に帰ると言い出す。正も心が折れる

それで最後にもう一度だけってマリアにお願いする。愛くんが。
なんで正じゃないだよ、って話なんですけどね。誰もが不完全な人間だから応援しなきゃね(笑)。

で、愛くんのアイディアで正がマリアの服を着て勇気を抱く。マリアの洋服に染みついてるからって。セクシーさんが長い髪のヅラもかぶらせる。

一瞬上手くいくかと思いきや、やっぱり勇気は泣き止まない。
「お願いだからさ、泣かないでくれよ…。どっか痛いのか?おしっこか?ミルクか?」
正は今までないくらいに必死にあやすんだけど、泣く。
ネックレスの曲がったマリアは、もういい、って半ば許す気持ちを芽生えさせながら言うけれど、正は「よくない!」とすごい剣幕。
そうだよ、ここを逃したらもう次はないよ。

「なあ勇気、そんなにママの方がいいのか?そんなにパパのことが嫌いか?
パパは、パパはな、こんなにもお前のことが好きなのに…。くそ、今頃なに気づいてるんだよ、俺は。お前をずっとこうしていたい。ずっと抱いていたい。お前を何があっても守りたいんだよ、俺は!」

こんなパパでゴメンな、と女装姿で泣きながら何度も勇気に謝る正。
マリアも涙しながら見守る。里やのみんなも、純と愛も。

そうして何度も謝りながら勇気の頭を撫でていると、遂に娘は泣き止みます。初めて父親に抱かれ、笑顔を見せる。
正はそばにいたマリアの曲がったネックレスを直し、家族3人が笑顔になりました。

その一部始終を見ていた純は、おじぃに語りかけます。「私はいま、愛が伝わる瞬間を見た」と。
 
 
私たちは毎日試されてるのかもしれない
正が妻と娘に、自分をさらけ出し思いを必死に伝えたことで、なんとか収束した今回の騒動。
赤ちゃんは気持ちを伝える言葉を持っていないので、泣き止むか、笑ってくれるかっていうのが一応ジャッジの基準になったわけですが、やっぱり父親になるっていうのは夫になるのとはまた別の難しさがありますよね、きっと。
 
正はいっぺんに妻と娘との関係を築いていかなくてはならなかったのに、ずっと逃げてきて、そのツケが回ってきた。そして、周りの応援もあってなんとか一歩進むことができました。

これは、うだつの上がらない正に、マリアがNOと言ったからこそ、色々あったけど、最終的には家族としてまとまったとも言えます。正にもっといい人間になってもらいたいという期待がマリアにあったからこそ。

では妻が夫に期待をしないとどうなるか。夫が妻や家族に気持ちを伝えないとどうなるか。

勇気が泣き止んだ里やのシーンの後、純のナレーションが入ります。
「私たちは気づいてないのかもしれない。もっともっと、愛を伝える方法があることを」

そこに映し出されるのは、全く会話のない善行と晴海の食卓風景。
愛を素直に伝えられない善行は、本当に不幸です。そして夫に言いたいことを言わずにきた晴海も。
 
純は晴海に電話をし、娘として自分の気持ちを伝えます。
「お母ちゃんから見たら私は頼りない娘かもしれないけど、でも何かあったらいつでも言ってね。1人で苦しまないで私に甘えてね」
純の優しい言葉に、「ありがとう」と涙をこらえる晴海。
 
純も晴海の様子が気になってるんですね。「とりあえず今は、自分のやり方で目一杯愛を伝えよう」と行動に移す。

愛くんも誠に電話で思いを伝えます。
彼氏と別れたか?お父さんとお母さんが別れないように、お願いしてもらえないかな。

戸惑う誠に、いとしは言います。
「今更なんだけどさ、やっぱりうちがおかしくなった原因は俺にあるんだし、このまま逃げてちゃダメだなと思って」
純くんも一緒に写った家族写真を見つめる誠。

今まで逃げてばかりの正が気持ちを伝える姿を見て、愛くんも家族と向き会わなければと思い始めたんだろうな。
 
更に純のナレーション。
もしかして私たちは毎日試されてるのかもしれない。愛情を伝える勇気の量を。
そうなんですよね、愛情を伝えるのがなぜこんなに難しいのかって、それには勇気が必要だからなんですよね。
自分のダメなところと向き合わなければいけないかもしれないし、拒絶されるかもしれない。
気持ちを伝えないのは、保身であったり、甘えであったりするわけです。傷つきたくないからね。
だから、勇気がいる。耳が痛いなぁ。
 
 
いとしの変化と夫婦の未来
お兄ちゃん達も仲直りして、ひとまず一件落着。週の終わり。夜、愛くんは純に布団でくっついて寝ながら告白します。
「実は、最近見えなくなってきてるんです。人の本性みたいなものが」
え、なんで?と驚く純。

「推測するに、それはきっといま僕が幸せだからじゃないでしょうか…と思うことに決めました」

純と結婚したっていうのはもちろんあるけれど、里やに出入りするようになったっていうのも、愛くんの傷が癒えていく大きな要素だと思うんですよね。やっぱりあそこは、何もを失ってしまった人のための場所だから。世捨人との邂逅によって、心のブレイクスルーもありました。

うつむいて街をロクに歩けなかった子が、こうして少しずつ変わっていく。純も愛くんと人生を共にし、色んな人との出会いで成長している。
ここから、もっと変わりますからね。
愛くんのこの発言は、人はいい意味で変わっていけるんだっていうメッセージも込められているのかな。正もそうだし。
急には無理でも少しずつ。

純と愛の話から先週、今週と離れていたので、ここで二人に焦点を戻すのは必要な流れですね。

今週は勇気ちゃんが重要人物の一人だったということもあり、純は愛くんに「赤ちゃん作ろうか」と提案します。愛くんのお母さんも私たちのこと許してくれるかもしれないし、と。多恵子との関係が愛くんの心のひっかかりになってることを、純はわかっているんでしょうね。

「すごく嬉しいです。でも、もう少し待ちませんか」
「自分が父親になるのが怖いの?私は愛くんはいいパパになると思うけどな」
「違うんです。純さんがまほうのくにをつくるまでは待ちませんか?」
「でもいつになるかわかんないよ」
「待田純の辞書に『無理』って言葉はないんでしょ?二人の子供に早く会うために、これからも頑張りましょ」
「わかった」
そして仲良く眠る純と愛
 
人生の大きな決断を、またしてもさらりと愛くんがしている。純はそれだけ愛くんの気持ちを尊重してるからなんでしょうけれど。
本当にね、ひとつひとつの選択が人生を形作ってるのだな。最後まで話を知っているだけに、二人のこの選択は複雑な思いで見るしかない。
 
 
16週は結構色んなことが詰まっていて、後半戦の種まきをしている感じがしますね。
そして読み直したら結構なシリアス具合に感じるけど、ちゃんと笑いも入っていますからね!純、サト、師匠、剛、隣の山田さん…ちゃんとコメディリリーフがある。ただ物語の核がすんごく重いんだ(笑)。

親子であっても気持ちを伝える大切さ。
繰り返しになりますが、今週は「震災」というワードが出てきて、阪神淡路の地震だけでなく東北での大惨事をかなり意識していると思います。オオサキ時代でも「失う苦しみと悲しみ」が描かれていたので、震災を思わせるエピソードがたくさんあったけど、後半戦のストーリーでは更にその傾向は強まる。
いつ何があるか分からないのだから、今気持ちを伝える勇気を持とうっていうメッセージもそのためですね。たった一本電話をかけるだけでも、何かを変えることができるかもしれない。
今後のストーリーへの伏線にもなる、大事な布石だったと思います。

蛇足ですが、私がこの週のお話で思い出したのは、ジョナサン・サフラン・フォアの小説『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』でした。映画化もされましたね。
9.11で父親を亡くした少年の話なんですが、この小説でも、愛情を伝えよう、「ものすごくうるさくて、ありえないほど近」くで大切な人には気持ちを伝えなきゃいけないんだっていうのがテーマになってるんです。それに、父親の話っていうのがまたね。

正は父性が欠如していたのはなぜか。本人の弱い性格もあるけれど、善行の父性が上手く機能していないなかで育ったっていうのは一因としてあると思うのですよ。
正が娘に「そんなにパパが嫌いか?」って言うけれど、これって善行さんの気持ちでもあるよ。

善行は会社も辞めてしまい、もはや宮古にいた頃の威勢のよさはありません。大阪での再起という夢も破れて、どんどん弱くなってきている。マリアが離婚届を突き出して狩野家を去った時も、「俺も大変なんや」とトイレに逃げていった。
善行さんは最初から「嫌な」人物として描かれてきたけど、やっぱりそれだけじゃなくて、人間の悲しい性が詰め込まれているキャラクター。目が離せん。

あとは晴海さんもね。病気の事が気になるよ。これはもう第1週から伏線があったのでね。同じくマリアが出て行った時、晴海はパニックでした。

純と愛』はラブストーリーで、夫婦の可能性を描いているので、晴海と善行、多恵子と謙次、がどうなっていくかっていうのも大事な物語の要素です。それで今週は正とマリアの話もやった訳だし。ただ結婚するだけでは夫婦にはなれない。お互いの歩み寄りなくしてはっていう。

さて、この16週でDVDボックスの2が終わりました。物語もこれから佳境。考えるだけで大変だ(笑)。
ここまできたんだから、最後までがんばろう。
 
 
 

 
純と愛 完全版 DVD-BOX2

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ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い