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お出かけ手帳

誤字脱字病。書いては直す人生。

『純と愛』 第17週 えいえんのあい? (前)

テレビドラマ 純と愛

☆ネタバレしています☆

 
17週は色々な問題が噴出。地下で様子をうかがっていたマグマが遂に漏れてきます。里やも狩野家も待田家もたいへん!
正確にはセクシー、多恵子、晴海という母親がお話の中心に現れる。女優さんたちの演技が素晴らしく際立つ週でもあります。
そして、父親の情けなさ、愚かさも引き続き…。
今週は色々盛りだくさんなので、最初にハッキリとあらすじを申し上げます。
 
<今週のあらすじ>
  • 実はDV夫から逃げていたセクシーだったが、その夫が里やにやって来てかなり揉めたのち、純と愛に頼み込みこまれた多恵子が撃退する。
  • 多恵子と謙次が離婚を決める。
  • 善行が会社を辞めていたことが家族にバレる。
  • 晴海が病院で若年性認知症と診断される。
 
なんてこった。
 
 
あきらめないっていいことばかりじゃない
純の頑張りもあり、里やはお客さんが少しずつ増えてきます。お客さんが増えるということは、トラブルも増えるということで。
 
ある雨の日。「よく降るねぇ。こういう時はドラマだと起こるんだよね、不吉なことが…」ってサトが言ってると、飛び込みでが満田(金児憲史)という男が泊まりに来る。
 
この人、実はセクシーの夫でした。セクシーは血相変えて怯え出す。夫の暴力から逃げるために、偽名を使い、里やで息を潜めていたんです。それがお客さんが撮った里やの映像がネットに流れて、居所がバレてしまった。
愛くんは「純さんカワイイ」って何度も見ていた動画なんですけどね…。
 
「あゆみ、心を入れ替えてバカなことはしない。3人でやり直そう」と言う満田。しかしセクシーが拒絶すると、息子の士郎を人質に客室で籠城。
おい、バカなことはしないって今言ったじゃないか!
 
セクシーは「士郎を返して!」と泣いて訴えます。
満田は「俺と一緒に帰ると約束したら返してやる!警察を呼んだら、士郎と死ぬ!」と脅す。手にはライター。
あぁ毎週のように、部屋に誰かが部屋に閉じこもり、死のうとする人が出てくるよ。(先週、今週は子供まで巻き込んで…。)
 
食堂に集まる面々。動揺しながらも、セクシーは里やの皆に今までの経緯を初めて説明します。
「士郎が生まれた頃までは、一緒に理髪店やりながら、優しかったんです。でもそのうちこっちが男のお客さんと男のお客さんと話しただけで、色目使ってるって殴るようになって、すぐ反省して、二度としないって謝るから」
 
その後もズルズル関係を続けると、士郎にまで暴力を振るい出した満田。別れてくれと頼んでもどうしてもダメ。離婚するには裁判するしかないが、それには時間がかかる。逃げるしかなかった。
 
セクシーはいつも髪で覆って隠している自分の額を皆にみせます。そこには深い傷痕が。
「こんな傷を士郎につけるわけにはいかないんです」
 
夫に怯え、怒り、悲しみ、それでも息子を守るために強くあろうとする母。声は震えてるのに芯がある。映美くららさんのお芝居が素晴らしいです。
 
残念だけど、本当に多いですよね、現実でもこういう事例が。殴って、泣いて謝っての繰り返し。そのループから抜け出せない。
 
子供が生まれてからひどくなるっていうのもよく聞きます。
必死に子育てすればするほど、夫のためにしていたことが今まで通りにできない。時間にも労力にも限りはある。夫は子供にかなわないのです。そんな時こそ夫は妻を支えてくれたら、と思うけどな。上手くいかないね。
こういう粘着質の男の人にとってはそれが、妻から自分への愛情は減ったりなくなったと感じるんでしょうね。誰の子だと思ってるんだ。
父親である前に、妻を独占したい。愛されたい。ただそれだけ。だからこわい。
 
オオサキ時代にもストーカーが出てきたので(第8週)、こういう度を越した暴力的な執着については一度考えましたよね。相手の気持ちを考えられないってみんな不幸だよ。いや、他人だからわかるわけないんだけど、それでもその努力をしないと。
 
オオサキの時も、これはすごく難しい問題だなと思ったんだけど「執着を手放してもらうしかない」って私、結論出したみたい(読み直した)。でもそれが簡単にできりゃ、警察はいらんのです。
 
しかも今回は結婚して子供もいます。
前回のように夫婦の外側に狙われるんじゃなくて、共に生きるはずの相手に痛めつけられる。先週は思いを伝える大切さがテーマだったけど、ただ伝えりゃいいってもんじゃない。あんな傷が残るほど殴ることで、伝わる気持ちって何さ。
 
セクシーの素性は今まで少しずつ伏線がはられていました。顔を髪で半分隠してる時点で、ワケあり感が半端なかったけど(苦笑)。
 
普段は静かだけど、子供に危害が少しでも加わりそうになったり、父親の話題になると急に神経質に怒ったり。先週、勇気を泣き止ますために正にウィッグかぶれば?って言ったのは理容店をやっていたからだったのね。
純が里やで働き始めた時に、オオサキの精神聞いてキレてたけど、あれは純がウザいだけでなく「'あゆみ'入るものには安らぎを」って、自分の本名が急に出て動揺したっていうのもあったのかな。考えすぎ?
士郎が全然喋らないのは、父親に殴られたりしてからなんだな。言いたいことは、紙に書いてしか伝えられない。
 
『女があきらめたら、世界は終わっちゃう』っていうのが、後半戦のキーフレーズだけど、男のくだらん意地は捨てろ、手放せ、っていうのが、その裏になる大きなテーマのひとつになっている気がします。ストーカー男、DV夫、善行さん…。男のプライドのせいで、周りの人も自分も傷つくことってたくさんあるから。あきらめないって基本的にはいいことだけど、場合によっては犯罪にすらなりうるのです。
 
 
雨をやませたら助けてあげる
サトは「あんたの辞書に『無理』って言葉はないんだろ?」と純に打開策を考えさせ、セクシーにも「女があきらめたら、世界が終わっちゃう」と励ます。
 
純は速攻で愛くんを里やに呼んで、待ってる間に1人で説得します。
私が身代わりになる、トイレは?ご飯は?しかし、まるで効かない。
 
そこへやっと駆けつける愛くん。雨の日はスーパーがセールになるから、メールチェックを忘れていたらしいw
純は慌てて色々説明しようとしますが、
「大丈夫です。下でチュルチュルちゃんに事情は聞いたんで」
「(え?そんなに喋ったの?)」(笑)
 
かなり危機的状況だけど、それでも笑いがちゃんと入ってるのが凄いよ。この週はかなり意識して入れているのかな。
 
「あんたと一緒についていく」とセクシーは嘘をつき、満田に戸を開けさせた瞬間、セクシーに変装した純が士郎を奪還。
「奥さんと士郎くんを自由にしてあげてください!」
 
そしたら今度は、ガソリンを廊下にまいて、ライター片手に「このボロホテルと一緒に死んでやる!」って言い出す満田。「一緒に行くか、このホテルと俺を焼き殺すか、朝までに決めろ!」
そんなこと!と反論しようとする純に、彼はこう言い放ちます。
「関係ない奴は黙ってろよ。これは俺たち夫婦の問題なんだよ!!」
 
これは夫婦の問題、って正もマリアも言ってたよな。「夫婦の問題」っていう言葉が持つ、口を封じる力って結構大きいんですよね。私もやっぱり、二人にしかわからないことがあるし…って思ってしまうことはある。でも状況によっては、第三者が入った方がいいケースもあるし。難しいわ。これは絶対第三者が介入しないといけないパターンだけど。
 
セクシーの夫婦は、先週の正たちの悪夢バージョンですよね。正は妻にも娘にも泣いて謝って、なんとか許してもらえたけど、こういう暴力的でな夫が別れたがってる妻に同じことをしたら、事件になっちゃう。(正たちがファンタジーすぎ?)
 
「警察を呼んだらあいつは何をしでかすかわからない。もうここを辞める。迷惑はかけられない」と言うセクシー。士郎が殴られたらあいつを殺すからって。
 
純がそんなのダメってもちろん言うけど、セクシーにはもう他にどうすることもできないんです。本当に追い詰められている。
 
そこに、弁護士である謙次が登場。
接近禁止命令が出てる、いやその期間はもう切れたとか、法的な話をしつつ謙次は満田を説得。このまま出ていけば、訴えるようなことはしないというセクシーの条件も提示する。
「その気持ちを汲んで、もう自由にしてくれませんか、奥さんを本当に愛しているのなら」
 
謙次のこのセリフは、謙次自身の今の気持ちでもある。多恵子と離婚問題で揉めてますからね。自由になりたいんだ、この人は。
 
愛くんは謙次にも多恵子にも、離婚を止めてもらおうと何度も連絡をしていました。でも二人とも繋がらず。それでこの日、謙次が愛くんの頼みで里やにやって来た時、親子はギクシャクを見せたわけです。
 
で、まあそんな説得を弁護士としてするんだけど、部屋から出てきた満田が今度は急に泣き落としに入る。
「先生!暴力を振るったことは本当に反省してるんです!」
もう一度家族でやり直したい、真人間になる、二度と殴らない、信じてください!
 
「そう言われたら、引き剥がす手立てがない」と弱腰な謙次。セクシーは「そんな言葉信じたんですか」。もう自分だけでも出て行くしかない、と言い出します。このままでは親子がバラバラになってしまう。
 
もう謙次じゃダメだ、多恵子ならなんとかしてくれるかもしれない。父も息子もそう思うんだけど、問題は助けに来てくれるかどうか。愛くんが電話をしても、多恵子は出ない。
 
純は多恵子の家まで直接お願いしに行きます。さすがの行動力。
でも、もちろん多恵子は拒否。
 
なんでもします、愛くんと別れる事以外なら、と懇願する純に多恵子は条件を出す。
「じゃあ雨止ませて。こんな雨のなか出かけたくない」
「わかりました。明日の朝までに雨を止ませてみせます!」
 
明日の朝まで、もし◯◯できたら、とかこのドラマではよく出てきますね。タイムリミットや条件を設けることで、物語に推進力がつくわけですが、これって「走れメロス」も意識しているのかね。
 
剛が誠の結婚未遂事件のとき、善行さんは多恵子に「あんたはメロスに出てくる王様みたいだ」って罵ったけど、その多恵子が今回本当に理不尽な条件を突きつける。
 
「そんなこと約束しちゃったんですか!?」と電話で報告を受けて驚く愛くん。予報は明日の夜まで雨。とりあえず、てるてる坊主を作る純(笑)。
愛くんも「何も解決策が浮かびません」。そうだよね。。。
里やでは、いとし、謙次、師匠、セニョールが、満田の部屋の前で毛布にくるまって待機しています。近くには水を張ったバケツ。いとしも純に状況報告。
愛 :「こっちは、あの人がいきなり火をつけないように、男みんなで見張ってます」
師匠:「あたし男じゃないわよ!」
愛 :「今それどころじゃないですから!」
あぁ師匠がいてくれてよかった(笑)。
 
電話を切り、雨を止ませる方法を話し合う男たち。
愛くんは「北京オリンピックのときに、ミサイルを…なんでもないです」(笑)。
 
するとセニョールが、なんだかもの言いたげです。いとしは見逃さない。
「いま絶対何か言いかけましたよね?セニョールさんって何か言いかける時に、息吸う癖ありますよね?」
師匠も同意。
「あの、その…やっぱりいいです。笑われるから…」とモジモジするセニョールに、いいから教えて!と声を揃える親子と師匠。
 
妙にほのぼの…(笑)。
 
愛くんは純にまた電話します。
セニョールが言うには、雨を止ませる儀式をテレビか何かでみた、と。嵐がきた時に雨に打たれながらする儀式があるというのです。
「しかもセニョールさんが番組を見た時は、雨止んだらしいんですよ」
 
そして純の携帯に送られる、セニョールの儀式の再現動画。
「レサヨーメア!ウヨイータルデ!」
立ったりしゃがんだり、腕を上げたり下げたりしながら祈祷の言葉を言い続ける。
 
「やるん?こんなアホらしいこと?」
と誠。本当にそうだね(笑)。
しかも祈祷の言葉をよくみると「雨よ去れ、出る太陽」を逆さに読んでるだけじゃないの。
 
でもやるんですよ、純は。
待田家の豪邸の前で、冷たい雨に打たれながら。何度も何度も繰り返す。
こちらも毛布をかぶって見守る誠が「いい加減やめたら?こんなバカバカしいこと」って言っても「ごめん、あきらめたくないんだ」と聞かない純。
 
多恵子は、愛くんからは「お母さん、助けてください」って超大量のメールが来るのも、純は冬の雨のなかバカなことやってるのも見る。でも、見てるだけ。
誠が「いい加減、助けてやったら?」って言っても何もしない。
 
愛くんは純を迎えにきます。
「もう帰りましょう。セクシーさんがあの人と一緒に行くって言ったんです。これ以上迷惑かけたくないから」
 
 
あんたは他人を傷つけてなんとも思わない男よ
里やに戻る二人。もう朝です。
出て行こうとする満田とセクシー親子。
雨を止ませることができなかったことを詫びつつ、それでも純はセクシーに訴える。
「もう一度だけ考え直してください。今までの繰り返しですよ」
 
それでも出て行く3人。
 
外に出ると、雨は止んでいました。朝日。
 
そして、誠を伴ってさっそうと多恵子登場です!
 
「これが例の男?」
自分の鞄を誠に投げて預ける多恵子。かっこいい。
 
「さっさとその薄汚いてを奥さんから離し、二度と近づかないと誓ってここから出て行きなさい!」
ど迫力です。うろたえる満田。
 
知ってる?この世には2種類の人間しかないの。他人を傷つけても平気な人間と、そうでない人間。あたしにはわかる。あんたは他人を傷つけてなんとも思わない男よ
 
「俺はあゆみを愛してるんだよ」
 
「悪意には個性がないの。私はあんたみたいな男が女を苦しめてるのを散々見てきた。あんたのような人に危害を与えることしか取り柄のない男は、世の中のために即刻死刑にできればいいのにって何度思ったことか。
さっきのに付け加えるわ。さっさとその汚い手を離し、二度と奥さんに近づかないって誓って、ひとりで死になさい」
 
挑発に我慢できず、多恵子を殴る満田。
驚く一同。
 
「これでいいのよ」
満田は奥さんを殴った時の執行猶予はまだ残ってるから、これで確実に実刑にできるのだ、と。
警察に電話しつつも(フェイク?)、満田に畳み掛ける多恵子。
大人しく出て行くなら許してやってもいい。でも傷害罪の時効は10年。その間はいつでも訴えることができる。戻ってきても無駄。
「わかったらとっとと出て行きなさい、このくそ男」
 
「俺はあきらめない。何年かかってもまた会いに来る」と満田。
今度は里やの皆も、セクシーを守ろうとする。そんときは私たちが相手だ。
士郎も満田に自分の気持ちを書いた紙を見せます。
'ママはぼくがまもる'
 
しぶしぶ去っていく満田。あきらめられずに、でも今は去るしかないから去っていく。
 
多恵子さんの啖呵は、いつもどおり怖いんだけど、痛快でもあります。
 
若村さんのインタビューを読むと 、このシーンは難しかったらしい。
「人を傷つけても平気な人間」と満田を責めるけれど、多恵子も誠をビンタしてるし、そういう面があるじゃないか、と。
純のにもいとしにも、っていうかほとんど誰にでも傷つけるようなことを言ってますから。
 
多恵子は弁護士であり、善悪については人一倍考えていると思うんですよね。
純がセクシーを助けてって頼んだ時に、「弁護士はクライアントを勝たせるのが仕事。弱者を助けるためじゃない」って言うけれど、そう思わなければできない案件が山ほどある。
純がストーカー被害に遭っていた時も、「世の中には理不尽な恐怖や暴力が蔓延してる」って多恵子は言っていたし。
 
でも、たとえ自分の善悪の基準にそぐわずとも、引き受けたからには、依頼人のために力を尽くすのが弁護士の職責です。
 
多恵子の長い啖呵から想像するのは、この人は人を傷つけているけど、それに対して「平気」と感じてる訳ではないんじゃないかということ。覚悟をもって傷つけているということ。
愛くんが「お母さんがボロボロだ」っていうのは、そういうこともあるんじゃないかね。このあと出てくる優しかったころの多恵子の回想シーンなんかを見てると特にそう感じる。
 
多恵子は「メロスの王様」みたいなことをしたけど、最後は約束を守りました。
人間不信だった王様は、メロスの真っ直ぐであきらめない気持ちのおかげで、凍った心を溶かします。
あんなばかみたいなまじないすら、もし万が一でもそれで奇跡が起こるならと、純はやり続ける。どんなに返事がなくとも、愛くんは母に電話し続ける。
 
純と愛のあきらめない気持ちのおかげで、多恵子の心が少しずつ変わり始めます。
嘘はつきたくないっていうのもあっただろうけど、あれだけ頭の切れる多恵子なら拒絶し続ける理由はごまんと作れたでしょうから。
何より、息子への愛情があるからね。
 
 
さて。週の半分を使ってセクシーの夫婦問題を描いてきました。でも爆弾はこれから。
 
セクシー事件で、あきらめないことと手放すことを少し距離をもって見せてから、家族の問題にスピーディーに切り込んでいくあたり、この週はよく練られていてすごいなと思います。
 
あきらめないこと。手放すこと。じゃあ何を?
それが週のタイトルにある 、愛。
 
続く!
 
 
純と愛 完全版 DVD-BOX3<完>

純と愛 完全版 DVD-BOX3<完>