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お出かけ手帳

誤字脱字病。書いては直す人生。

『純と愛』 第19週 おもいよとどけ(1)

☆ネタバレしています☆

 
ついにこの週が来てしまいました。
第19週。本丸です。
第1週を書き始めた時から、この週がいずれくる、やだなぁやだなぁ、書けるかなぁって思っていました。
更新のペースダウンしたのは、そのせいもあるかも。特に年末年始のウカウカした雰囲気では、絶対無理よコレ。
 
さぁ、ここまできたら、やるしかない。
 
<今週のあらすじ>
晴海に自分を忘れられてしまったショックで、弱りまくる善行。
善行は自分の生き方にどう決着をつけるのか。そして晴海は。
狩野家は新たな出発を迎える。

 
兄弟における役割
先週、「世界最強の兄弟になろう」と誓った狩野家の子供たち。3兄弟、愛くん、マリアは家族会議を開きます。これからみんなで、どうお母さんをサポートしていくか。
 
正は長男としてリーダーシップをとり、話し合いを進めます。本人も「生まれ変わったつもりで頑張る」と言うし。純も正を頼もしく思う。
 
でも、やっぱり純が持つ「周りの人を引っ張っていく力」の方がうわ手なんです。正の「頑張らなくちゃ」って気持ちに嘘はないけど、実際に仕切り能力があんまりないから、純のアシストがないと話が進まない。
 
これは別にリーダーシップを取れるから偉いとかそういうことじゃないと思うんです。
どんなチームでもリーダーシップと同じくらいフォロワーシップが大事ですよね。フォローする人がちゃんとついてこなけてば、リーダーはリーダーとして機能しない。だから純は兄をアシストするわけです。
 
純と愛は妻がリーダーシップをとり、夫がフォロワーに回ってる。愛くんの活躍を見ればフォロワーシップがいかに大事かわかります。時にはリーダーの背中を押し、軌道修正もきちっとする。そういう意味ではどっちが偉いとかはない。要はそれぞれ、どの人がどの役割につけば各々の力を1番発揮できるか、っていうことになると思う。
家族会議で「役割分担をどうするか?」っていう話になるのも、そういう示唆があるんじゃないかと。
 
狩野3兄弟が力を合わせようってなった時に、まずは長男である正がリーダーになる。とりあえず世間の慣例に従います。家族のリーダーとなった正は、長男として狩野家のあり方をどう選択していくか。今週はこれが結構重要なんじゃないかと思います。
 
あとは剛ですね。家族のなかでもなかなか役割を見出せない。家族のために何かしたいのに、何をしたらいいのかわからない。
正に「お前も、もうちょっとすっかりしてくれよ」って言われて、「わかってるよ!」って初めて兄に反発心を見せる。ずっとチャラチャラしてきた子が、キッっと苛立つんです。この表情が本当によくて。今週は家族みんなの岐路なんだけど、剛の変わり方も見所です。渡部秀さんのお芝居がついにここで花開く(今までもよかったけど笑)。
 
いやもう今週は、演者は誰も彼もみなさん渾身ですけどね!
 
さて、話は家族会議に戻って、「お父ちゃんどうするよ」っていう流れに。
正と剛は、もう善行のことを見放しちゃってる。晴海に離婚届まで書かせてますからね。この二人は善行に真っ向から反抗してきませんでしたが、だからこそこういう時にスパっと切り捨てようとする気持ちが生まれるのかもしれない。
 
逆に純は、善行のことを見捨てられない。先週お父ちゃんに、すがられてますしね。離婚届は純が預かります。
 
そこに、眠っていた晴海が、リビングに出てくる。お母ちゃんは、善行に「あなたは誰?」発言をしたことを覚えてません。
「お父さんの好きな出汁巻き玉子作ろうね」
 
 
善行の夢
「晴海ショック」でまたも行方不明となってしまった善行。お父ちゃんは、どこだかよくわからない野外の階段で眠っていました。寒いのに…もう行くところがない。
 
善行は夢を見ます。
自分が純になって、里やで働いている夢。
 
食堂で純がいつも身につけてるブルーのダウンベストを着て、善行は頑張ろうとするんだけど、里やのみんなに徹底的に怒られる。セクシーなんて、手にムチ持って善行にブチ切れ。夢だからね笑。みんなグラサンかけてるし。
気弱なはずのセニョールは「いつも自分が正しいと思って、偉そうなこと言いやがってよ!」ってちょっとアッチの人みたいだし、サトも「あんたさ、いつまで親に苦労かけりゃ気がすむのさ!」。
 
「いや、私、純と違いますから!」って善行は焦りまくるなか、最後のトドメは師匠。
「あんたみたいな奴のこと、四文字熟語でなんて言うか知ってる?人間失格っていうんだよ!!」
 
うわぁ!!、と目を覚ます善行。
なんで俺がこんな夢見なあかんねん、って一人吐き捨てると、近くに太宰の『人間失格』が捨てられてるのに気づく。このゴミのせいや!
そして捨てられた文庫本がもう一冊、さり気なく画面に映されます。
 
自分の手のひらを見つめる善行。娘は「お父ちゃんの中にはこれがいっぱい詰まってるんだからね」と、あの日手のひらに「あい」と書いてくれた。
でももうその文字は、ほとんど消えてしまっています。
実際に里やへ行ってみる善行。
善行はサトから、純がいかに仕事を頑張っているか聞かされます。
食堂の外から二人、純の様子を見ていると、純は酔っ払いに「まほうのくに」を作ると宣言している。でも、酔っ払いに酒を頭からかけられてしまいます。
 
「なにがまほうのくにや!俺もなぁ昔は夢あったんや…。そんなもん#%$€"#(←酔っ払いが何言ってるか聞き取れなかった笑)」
自分にも頭から酒をかけ、泣き出す酔っ払い。
「父にも同じこと言われました。でも私は諦めるつもりありませんから」
自分の信念を貫こうとする純。
 
そこにきて、サトが純に声をかける。
「社長、お父さん来てるよ」
しかし、そこにはもう善行の姿はありませんでした。
 
ここでは善行が純の立場を見つめます。
純が自分らしく生きていくことの困難。善行は夢を通して、実際の純の日常を目にすることにより、それを実感します。
善行の夢は面白いですね。純と同化しながらも、善行自身の弱さを責められるっていう。
チュルチュルなんて「下品!無礼!勝手!迷惑!」って端的に善行の欠点を言い表している(笑)。
これが善行の夢ということは、自分でもその辺はわかっているんだろうな。
 
その後に現実に出てくる酔っ払いもまた善行の化身であり、善行はどんどん自分の弱さに目が向いていく。今まで目をそらし続けていた部分です。
 
あとは太宰治がはっきり出てきましたね。
善行は人間失格なのでしょうか。

 
晴海の葛藤
サトに善行が来ていると教えられる純。
でも善行はさっと身を隠します。
 
そこに晴海がやってくる。
「純、私、あんたのうちに置いてくれないね?」
 
晴海は勇気にミルクをあげようとして、でもそのミルクを冷ますのを忘れてしまいます。勇気にヤケドをさせてしまうんです。
ヤケド自体は大したことにはならなかったけど、もう勇気の側にいるのが怖くなってしまう。自分はもっと違うことをしてしまうんじゃないかって。
 
取り急ぎ晴海を預かることにした純。
色んなことが、次々と起こります。
「どうしよう、うち狭いし…」
夜、晴海を寝かせたあと、純は愛くんにそう漏らします。
「人生は難しい選択の連続かもしれませんね。…洗濯の繰り返しでもあります」
いとしは、ダジャレを入れつつ純を励ます。
 
「人生は難しい選択の繰り返し」っていうのは方々で聞くし、実際そうだなって思うんだけど、そうしながらも最低限のルーティーンは維持しなきゃいけない。
この同時進行もかなり大変なことだと思うし、そういう部分に救われることもあるような気がするよ。あぁ人生。
 
深夜、晴海はひとり布団から起き、日記を握りしめています。そこには「これ以上家族に迷惑をかけたくない」との文字。思い詰めた表情です。
純はとなりでスヤスヤ寝ています。
 
晴海は真っ暗な台所に向かい、流しにある包丁を手にする。手首に刃を当てようとします。
 
死にたい。でも…。震えながら、静かに葛藤する晴海。
 
最後はなんとか踏みとどまり、流しに包丁をあて、ガタと音を立てる。
 
晴海が振り返ると、いとしが毛布にくるまったままつっ立って、その様子をまっすぐに見ていました。愛くんは台所のある部屋で寝ていたんですね。張り詰める空気。
 
そこで純の携帯が鳴り、いとしは電気をつけます(遠くに救急車が過ぎ去っていく効果音を入れていて、ベタかもだけど、すごいと思った)。
里やに呼ばれ、寝ぼけまなこのまま、何も知らずに家を出る純。
残される二人。
 
いとしは「風邪ひいたらいけないから、お義母さん、もう休んでください」と、さっき見たことについては何も言いません。頷く晴海。
 
布団に戻るその前に、晴海はいとしにこう聞きます。
「もしかして、本性見てわかったの?私が死ねないって…」
いとしはその間ずっと晴海を見つめて、「すみません」とだけ言います。
また頷いて、部屋に戻っていく晴海。
泣きそうな、でも優しさから、どこか微笑みのようなものを浮かべるいとし。
 
もうここは演技合戦ですよ。森下さんはもちろん迫真なんですけれど、風間さんの受けの表情がね、なんじゃこの顔っていう(笑)。相変わらずのなんとも言えない顔力が高い。
 
晴海さんの心境っていうのは、本当に絶望的で。思い詰めたところで、自分には勇気もないんだっていう。でも思い留まったのは、いいことです。弱くていい。
逆にいとしは、そういう弱さも含めて見守って、必要以上には踏み込まない。でも辛い気持ちはわかるから、どうせことには及ばないから大丈夫っていう気持ちでは全くない。
しかも、2人ともそういう複雑な気持ちをほんの少しだけ見せ合うっていう。決して気持ちをぶつけあうわけじゃない。ものすごく繊細なシーンでした。
 
ここから二人の関係は劇的に変わります。
 
 
ちょっとした雑談
物凄い重いシーンのあと、純が里やで働くシークエンスになります。少し軽くなる。
 
相変わらず客に振り回されている純。
サトはそんな客を叱ります(笑)。純にも「社長も相手にしなくていい」って言う。
ここからは純とサトのちょっとした雑談シーンですが、ここで少し視聴者は心の整理ね。しかも軽い伏線あり。
 
食堂で「おかみさんもなんか最近ご機嫌ナナメですけど、なんかあったんですか?」って純がサトに聞く。
確かにサトはお客に急に厳しくなってるんです、今週。
 
「そんなんじゃないわよ。楽しみにしていた連ドラの最終回が、回想シーンばっかりで、あんまりつまんなかったからさ!」
 
おかみさんが機嫌が悪いことと、遊川さんが最終回に並々ならぬ思いを抱いていることを覚えておきましょうね(笑)。
 
で、サトは話題をちょっと反らして、「あんた、お母さんと旦那、家で二人にして大丈夫なの?」って聞きます。今まで不穏な二人だったからね。
で、純は「私も心配だったんだけど、案外相性がよくって」って答える。何があったかはわからないが、最近すごい仲がいいんだ、と。
 
晴海は愛くんに心を知られないよう、ここまできたわけですが、病気になり、包丁の一件もあって、愛くんだけが私の本心をわかってくれてるんだっていう認識に変わったんでしょうね。
ひどい人間だと思われたくなくて心を読まれたくなかったのに、今度は自分はひどい人間じゃないってわかってもらうために心を開くっていう。ここはすごく切実で。
単純に、晴海が愛くんに降参したってのもあるかもしれない。だってあんな心の奥底まで知られちゃったら、もう敵わないよ。
 
もともと、二人とも専業主婦(夫)だし、それぞれ蜘蛛に優しいエピソード入れたり、共通点は意識して入れてたと思うんですよね。
 
それが、やっとここにきて雪解けというか、きっかけは不幸なんだけれども、晴海といとしの関係が本当に劇的に良くなりました。晴海はここから、どんどん愛くんに信頼を寄せていきます。もう自分を脅かす存在ではない。
 
 
山田さん急にどうしちゃったの?
そしてメロちゃん
あんた良いダンナもらったねえぇ、とサトに言われ、喜ぶ純。夜、そのままほっこりとした気分で家路へ向かいます。
ダンナといえば…家の前で善行に電話するも、つながりません。こっちはどうなっちゃうのか。
 
で、家に帰ると夜ご飯が始まってるんですが、そこに隣の美女・山田さんがいるわけですよ。何故か愛くんと晴海と仲良くご飯を食べてる(笑)。まぁ晴海が誘ったっていうことなんですが、最近山田さんがジリジリ侵食してきてる。
 
純は山田さんにある種のライバル心を抱いてますので、愛くんに「はい!純さん大盛り!」とてんこ盛りのご飯茶碗渡されて、「ちょっとー!いつもこんな食べてないじゃーん!」とか、変に装い出しまします(笑)。
愛くんも「え?半分?お腹すいてないんですか?」とか聞いて、なんだかんだでじゃれる二人。
 
それを見て山田さんが言います。
「純さんと愛さんって本当、仲良いですよね…」
 
いやぁ、そんなことないよね。普通ですよね。と、二人。
 
「きっとお二人は生まれ変わってもまた結ばれて、どんなことも乗り越えていくんでしょうね」
 
私はそのつもり。もちろん僕も。
 
ここから山田さんの語気が強まります。

永遠の愛なんて、本当にあると思います?

結婚する時はみんな誓うけど、死ぬ時に愛を貫き通したって胸を張れる夫婦が、どれだけいると思います?この世に…。

山田さんの言葉にハッとしながらも、「なに?その挑みかかるような口調は!」とナレーションで反発する純。
 
本当、山田さん急過ぎるから!どうしちゃったの?っていう感じなんですが、この山田さんっていうキャラクターは「永遠の愛はあるのか」っていう問題提議を物語に持ち込むために、登場させられている。そして、その時が来たんですね。
今週のある急展開に向けて、いま最後の種まきです。種まきも急(苦笑)。
(思い返せば、多恵子と謙次が別れる時も「永遠の愛はあるか問題」あったね。長い物語だから忘れちゃう。多恵子だけでなく愛くんも「永遠の愛はない」って言ってたなぁ。「いずれどちらか先に…」って。本当にフラグ多すぎ)
 
食卓に気まずい空気が流れるなか、晴海が急に話しだします。
「純、メロちゃんは?メロちゃんどこ行ったの?」
 
こちらも突然過ぎて、キョトンとなる純。「お母ちゃん、メロちゃんって誰?」
 
「メロちゃんに会いたいんだけど」
もしかして昔の友達?映画スター?アニメのキャラクター?
「違うよ純も知ってるさぁ。なんでわからないの?あの人、名前なんだった?思い出せない…」
 
お義母さん今日はもう休みましょう、といとしに促され、寝室へさがる晴海。
 
メロちゃんっていうのが、また絶妙だな!!
 
ここまでネタバレですっときてるし、もう放送終わってかなり時間も経つので書きますけど、メロちゃんっていうのは善行さんのことです!(理由はおいおい)
つまり山田さんが、永遠の愛なんてあるんだろうか、結婚する時は皆誓うのに、っていう話を聞いて、晴海は善行さんを思い出してるんです。切ないね。
晴海の気持ちって今まであまり表に出てこなかったから、善行に対する気持ちもベールに包まれてて。結婚を後悔してたくらいですからね。
晴海は結婚した時、何を思っていたか。
メロちゃんに会いたいっていうことは、山田さんの言うように、少なくとも幸せなスタートがあったということが匂わされる。
 
この辺りから晴海と善行の物語が加速していきます。
 
山田さんを見送る純。
「私、愛さんのことが好きみたいです。本気ですから」
唐突な宣戦布告に、わけがもうわからない純…笑。
 
山田さんは物語を動かす上で、ただ課せられたミッションを遂行しているようなキャラクター。他の遊川作品はわからないけど、『純と愛』はそういうの本当多い(笑)。っていうかサブキャラは大体そう。物語ってそういうもんなんだろうけど、それがわかりやすいですね…。
 
 
俺が悪いんや
夜中、また里やから電話。
「24時間コンシェルジュに用があるっていう人がいるんだけど」とセクシー。
 
急いで純が里やに行くと、そこには善行が!
「お父ちゃんこんなところで何やってんのよ!」
 
でも、もうね、善行さんは意気消沈してるんですよ。「うん、お母ちゃん、どや?何か変わったことないか?」って弱々しく聞く。
純が一緒にうちに帰ろうって手を引っ張っても、いやだって言うんです。
「怖いんや。またなぁ、お母ちゃんに会うてな、しらーっとした顔であなただれですか?って言われたら…。俺もう…怖いんや…」
 
相当傷ついたんですね。
多分、善行は自分は晴海に愛されてないんじゃないかって不安が(かつて、いとしが言い当てたように)ずっとあって、それがやっぱりそうだったか、っていうのもあると思うんですよね。今までの夫婦関係が上手くいってれば、「あれは病気の症状だから」って思うこともできたかもしれないし、実際そうだとも思うんです。でもそういう理屈が効かないくらい、自信がない。
 
純は善行を励まします。
「お父ちゃん、情けないこと言わないでさ。この前ほら決心したでしょう?お母ちゃんと一緒に生きていくって」
「いや、あれが精一杯や。もうあれ以上のことは俺には言えん」
 
あの時の善行の気持ちは嘘じゃないと思うよ。ただその気持ちを持ち続けるのは相当な強さがないと…。気持ちは常に揺らぐ。
 
お父ちゃんには愛が詰まってるよって言っても、善行は手の平を純に見せて「もう、消えてるわ」。
 
善行は純の顔も見ずに、しみじみ言います。

みんななぁ、俺が悪いんや。

お母ちゃんも俺みたいな奴と結婚せえへんかったら、あんな病気になることもなかったんや。

だけどな、俺もなぁ、なりとおてこんな男になったんと違う。なんというか、こう方角が悪いというか、運が悪いというか…。やり直そうと一歩前へ踏み出すと、その一歩目で蹴つまずくねん

もう染みるよ、お父ちゃん。
今まで何があっても「俺が悪いんやない」って言い続けてきた善行が、遂に「俺が悪い」と言う。何もかも自分のせい。これは、来るところまで来ている。まずい。
 
サザンアイランド崩壊をとって考えても、善行はなんとか再建しようと奮起したときもありました。でも本当に、ことごとく失敗した。思えばこの人、ホテル経営に関しては素人だったんだよ。でも、プライドが邪魔して、誰かに頼ったり、教えを請うことができなかった。だから間違えた。家族を傷つけた。
ただ家族に、晴海に、褒められたかっただけなのに。
 
「お父ちゃんそんなこと言わないでさ。お父ちゃんにも、未来があるんだから。これからお父ちゃんがなりたかった男になるように、頑張ればいいじゃない」
純はそれでも励まし続ける。
それはお前…お前が若いからそんなこと言えんねん。
人間はひとりで生まれてきて、ひとりで死んでいくんや。
善行にはもう、前向きになる気力がありません。生きる希望がない。
 
ここの善行さんは、かつてないほど本心を語っている気がするよ。
あの威張り散らしていたお父ちゃんが、目の敵にしていた娘の前で、敗北宣言をするなんて。「お前は若いから…」っていうのは、自分の可能性みたいなものを信じることができないからですよね。そして、その気持ちは、なんかわかる。
 
晴海は「自分の人生っていったい何だったんだろう」と思い悩んでいたけど、善行も今同じ思いをしている。きっと誰もがそういう道を通る。人生の時間の経過が重すぎて、年を重ねれば重ねるほど、もう引き返せないという残酷な事実に打ちのめされる。
もう、自分の人生は終わってしまった。
なんでこんなことになってしまったのだろう。
 
このままでは、善行は「世捨て人さん」のようになってしまうよ。愛くんは、世捨て人と善行の心の閉ざし方が似てるって言ってましたね。
 
善行は自分の欄にサインを入れた離婚届を渡します。お母ちゃんに渡してくれ、と。純に向ける顔もない。
 
そんなお父ちゃんの姿に、純は悲しくなっちゃうんですね。悔しいし、情けない。
それが、怒りという形で表出してしまう。期待の裏返しです。
 
純も晴海が書かされた離婚届を持っていますから、それをバンっと善行に渡してしまう。好きにしろ、そのかわりもう私たちの前に現れるな、と言ってしまう。
泣きながら、怒るんですね。「こんなこと、言いたくないのに」と思いながら。
 
里やを出ていく純。
ひとり取り残される善行。
 
 
続く!
  
純と愛 完全版 DVD-BOX3<完>

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