お出かけ手帳

誤字脱字病。書いては直す人生。

『麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~』 第4話を見たよ

☆ネタバレしています☆

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<第4話のあらすじ>

真夜中、寺関係者を皆殺しにしたその足で、血みどろのまま母・皇后ユ氏のもとへ現れた第4皇子ワン・ソ。笑顔で刺客集団を始末した旨を報告したソだったが、母は「けだもの!」。養子先で虐待されてきたことを訴えても「それで?」。とにかく母は息子を全否定。怒りと悲しみで激情と化すソだったが、彼を慰めるのは他でもないへ・スなのであった。以後ふたりの距離は少しずつ縮まっていく。

正胤暗殺未遂事件は、第3皇子ワン・ヨが「そんな寺だとは知らずに施主となった」と母をかばったこと、ソが「母が疑われるのを恐れて寺に火をつけた」と証拠隠滅の許しを請うたこと、そして第8皇子ワン・ウクが「これは皇室を仲たがいさせるための企てだ」と皇帝に進言したことにより、誰にもおとがめもはなしになった。だが皇后ユ氏が黒幕だということに疑いの余地はない。

一方、体調が悪くなるばかりのヘ夫人は、ウクに第二夫人を持つか自分と離縁をするように申し出る。「なにより、あなたは私を恋慕していないから」と悲しそうな笑顔で言う夫人に、ウクは何も答えることができない。

髪飾り事件、第14皇子のケンカトラブルが起こり、へ・スとウクはその都度関わりあうものの、へ夫人のこともあり、あってはならない恋心にそれぞれ苦しむ。特にウクはかなり苦しい。

正胤の力添えもあり、ソは正式に松岳の皇宮で暮らすことが許された。皇帝の息子でもなく、正胤の弟でもなく、彼らの忠実な家臣として。

 

第4話は細々といろんなことが起こりつつ、ワン・ソの壮絶な養子生活と悲しみ、高麗の皇室で生きることの重みと責任みたいなものが描かれました。そして、そこには常に暴力が横たわっている。みんな大変ね…。ヘ・スとワン・ウクの恋は、立場と状況のせいで、これ以上進めないところまできています。

ソはヘ・スのおかげで少し心が軽くなっていきますが、ウクは自分の気持ちをどうしたらいいのかわからない感じですね。そして第14皇子ジョン(ジス)が初フィーチャーされますが、彼の発言が若干気になる。

 

あと今まで正胤っていう漢字が難しいから(正確な読み方もわからない…チョンユン…?)、皇太子って書いてきたけど、やっぱり正胤のほうがいいのかな。って思って変えてみたよ。

 

母の拒絶と息子のトラウマ

冒頭に皇后ユ氏とワン・ソが対話しまして、いきなり面白かったです。

血みどろで刀を持って「あいつら全員殺して燃やしてきました」って笑顔で言う息子は確かに怖いですが(苦)、もうね、とにかくソを全否定なんですよ、このお母さんは。

 

皇后ユ氏は「母親は自分を引き立てる子を見分ける」ってはっきり言います。つまりこの人が一番大事なのは自分なんですよね。彼女は他の息子二人をかなりひいきしますが、第3皇子ヨは皇帝になれる可能性が高いから、末っ子第14皇子ジョンはソ切りつけ事件のあと皇帝が再び自分を愛した証(言うまでもなくホントのところはどうかは別。)だからに過ぎない。ヨとジョンを溺愛してるのではなく、自分を溺愛している女性です。かつて「国か息子か(仕事か私か)」で国をとった皇帝への復讐心もあるでしょう。もう、手に負えないよ…。

特殊な立場だし、彼女にはこういう生き方しかできないんでしょうけど。罪深すぎる。

 

そんな人なので、皇后ユ氏は自分のせいで顔に傷のあるソを愛するわけがない。「お前は恥であり罪だ。だから養子に出した」って発言するあたり、結構自己分析できてるんだなって思ったりもしたけど(笑)。自分の息子にそんなひどいことをする私は私じゃないから、この子は私の息子になりえない。ちょっとわかりずらい文章ですが、そんなところでしょうか。ソが養子先での虐待の日々を切々と訴えたあとの、「それで?」の破壊力。そりゃワン・ソも怒るわ。

また傷があるのが顔っていうのがな…場所的にどうにも隠せないからなぁ。余計にこういう扱いをされてしまているんだよな…。

 

しかし。それでもまだ、ワン・ソは母を諦めない。「お前は息子じゃない」と母親に散々ボロカス言われても「今日を覚えててください。母上は私を捨てましたが、私は去りません。これからは私だけを見つめさせます」って。どれだけ母を追い求めるんだ。養母からもかなりハードに虐待されて、母親という存在から人の2倍傷つけられていますからね…。執着するな、というほうが気の毒なのかな。

ウクも孤独な人物ですが、彼の母親は良識がありますし、物理的に痛めつけられてはいないので、ワン・ソの心の傷はちょっと他の人とは比べものにならないですね。

母に罵倒されて、片顔をピクピクさせながら泣くイ・ジュンギ氏の演技に目を見張ったシーンでもありました。

 

 

ワン・ソ、ヘ・スに癒される

母のために命を懸けて殺戮したのに、罵倒と拒絶だけを受け、荒れるソ。仕方ないね。ソは松岳に到着してからは、ウクの家に泊まってるのですが、そこには石を積み上げてできた小さな塔が並ぶ場所があります。代々の母親たちが息子や娘の幸せを祈って作るのです。へ夫人がヘ・スのために石を積んだ塔もここ。

怒りと悲しみで荒れたソは、この塔を壊して泣いて激情に身を任せます。

 

そこにひとり現れたヘ・ス。

ソは血だらけで「今日俺が切った首の血だ!息子のための祈り?こんな塔で祈るより、俺のところに来て早く謝れ!お前も死にたいか!?」と、荒れに荒れる。何度も言いますが、これは仕方ない展開だ…。

 

ここで新生ヘ・スが、彼女らしい返しをする。

 「やめて!怪我してます!」

やっとワン・ソの心配をする人が現れたよ。ヒロインの仕事。

「人を殺したんだぞ!」といつも以上に脅しも止まらないソですが、ヘ・スは「なぜ殺したの?興味本位で殺したのですか?」と聞きます。

 

ヘ・スはウクから初めて人の命を奪った話を聞いて、現代とは命の扱いが全く違うこと、それでも、時代は違えど人を殺めることは相当キツいということを学んでるんですよね(第3話)。

「そういうところでしょう?とても幼いころから刀を握らねばならず、死にたくなければ相手を殺す。でも仕方ないわ。生きたいのは罪じゃない。許されないことですが、それでも私は理解します。皇子様のお気持ちがどんなにつらいかわかる気がするから」

 

ウクに続き、またも皇子が一番言ってもらいたいことを完璧に言うヘ・ス。

ワン・ソはここからヘ・スに心を開いていきます。っていうか、みんなに怖がられてるから、まともに、というか気楽に会話してくれるのはヘ・スくらいしかいないんですよね。

ソですら「俺が怖くないのか」って何度も聞いてるくらいですから(笑)。ヘ・スは心が聡い子なので、彼が純粋で孤独であることを後ろ姿から見抜いてるし、根がおせっかいで優しいかからなぁ。

4話の最後、ソは皇帝から正式に松岳にいることを許され、皇宮で暮らすことに。

その頃には、ソは壊した石を積み直し(心が少し安定。笑顔もあり)「もうあまり会うこともないな」とか言って。へ・スとは友達みたいな雰囲気ね。まぁ全然また会いますけれどもね。

 ヘ・スは「怖いことばっかり言ったりやったりしないでくださいね。よく食べて。よく寝て。悪い夢はみないでくださいね。」とソを送りだします。ヘ・スはいい子だね。

 この回で、ヘ・スはソにとって今まで以上に特別な人になっていきます。

 

 

夫人の悲しい申し出

病弱なウクの妻・へ夫人でしたが、本格的に病状が悪化していきます。床に臥せた夫人を見守るウクとヘ・ス。夫人は「ウクと二人きりにしてほしい」とへ・スに言いつけます。

 

そこで夫人がウクに頼むのは、第二夫人を迎えるか離婚してほしい、ということでした。自分は体が弱く、家の管理も子を産むこともできない。この罪を償えてこそ、死んで極楽往生できるのだ、と。

なんてことだ…泣。夫人がいつも遠慮がちなのはそういうことだったのか…(今更)。政略結婚だし、ウクの一族に利があるから結婚したはずなのにな、とは思ってたけど、夫人は妻として全うできないことを申し訳なく思っていたんだね。

 

もちろん「嫌です」と返すウク。すると、必死に泣かない様に、穏やかに、と努めて話していた夫人が、さらに涙をぐっとこらえた笑顔でこう言う。

「なりません、私は知っています。皇子様は私を…恋慕していません」

何も言い返せないウク。

 

あぁウクよ…。急にそんなこと言われて、固まってしまったんだね。大事に思ってないわけではないのに。返事がないことが返事になってしまった。

ウクを愛する夫人としては決死の覚悟で言ったはず。今までずっと聞きたかったことを、とてつもない勇気をもって尋ねたのでしょう。ウクの反応に、笑顔を保ちつつも落胆の色が隠せない。わかってはいたけれど、嘘でも否定してほしかっただろうに…。この夫人の表情は切なすぎるよ…。

 

もともとこの二人は、礼儀正しくも他人行儀なところがずっとあったはずなので、根本のところではヘ・スがどうだってことはないとも思うんですけどもね、この時点では。ただ、新生ヘ・スに対するウクのリアクションを夫人は見てたし、ウクも自分の感情が動き始めたところだったから、このタイミングでこの話はつらい。

 

ヘ・スは二人の会話の冒頭だけ聞いてしまい、呆然とします。

 

 一方、第二夫人or離婚話を聞きつけたウクの妹・ヨンファ皇女は喜ぶ。一族の将来のためには新たな婚姻をすべきだって。

ウクはもちろん「別れない」って宣言するし、母であるファンボ皇后も「へ氏のおかげで松岳に戻れた恩を忘れてはならない。っていうか夫人は病気なのよ」ってヨンファ皇女を諫めるのですが。

 

当時の皇族にとって、結婚っていうのは今とは全く意味が違う。お家の将来がかかった一大事なんですよね。第3皇子も計算で結婚をしてるという話も出ますし(あの人は絶対しそう)。

「へ氏のおかげで松岳に戻れた」っていうのは、一回追い出されたってことですよね(皇后ユ氏に?ヨンファが前に怒っていたのはこのことか)。結婚ひとつで立場が変わるっていうのは恐ろしいことです。

(ヨンファが新たな婚姻は「疑いを避ける方法です」って言ったのよね。でも、その理由がよくわからなかった。ハメられたことがあるみたいだし、家に力がないと、またハメられるということ…?)

ともあれ、 結婚が政治を動かす手段になっている。

 

あと、これに関連して、夫人の悲しい発言に悩むヘ・スに、ちょっかい出しに来た第10皇子ウンが「俺は父上のようにたくさん婚姻はせぬ。気に入った夫人を得て、100年連れ添う」と無邪気に言っていたことが、後の伏線ですね…。

 

 

最後の一手はワン・ソが打つ

第4話はヒロインのヘ・スに2回ピンチが訪れます。

ひとつはチェリョンが自分のせいで盗人扱いされてヨンファにムチ打ちされ、ヘ・スも自らムチ打ちにあう(髪飾り事件)。

もうひとつは第14皇子ジョンが過去のストリートファイト相手に恨まれ襲われたところに遭遇・加勢(ヒロインなので遭遇してしまうのだ)。

ウクはもちろん助けようと行動しますが、救出最後の一手は両方ワン・ソが打ってるんですよね…。

 

髪飾り事件の時には、もともとソが母のために買った髪飾りをヘ・スが拾う→ヘ・スが侍女チェリョンにソの部屋に髪飾りをそっと戻してとお願いする→チェリョンが戻してる現場をヨンファが目撃「この盗人!!」の流れなので、ソが最終的に止めるのはわかる。髪飾りはソの持ち物だから。

でも、14皇子のケンカトラブルまで持ってかれるとなると(ソが登場しただけでゴロツキはビビって逃げ帰ったので、実際は相手すらしていない)、これはやはり恋の対決もソに持ってかれるっていう暗示なのか…。正直わたしは今のところウクさんに頑張ってもらいたいと思ってるけど(違うらしいとわかってても笑)、ウクはやっぱり変わらなきゃいけないんだよな…。このままじゃ、ソのカリスマに負けてしまうw。

しかもソはヘ・スのこと「俺の物」とか「俺の者」とか言い出してるからな。ヘ・スは「私はあんたのもんじゃない」って毎度言い返すけど。(ウクもこの回で「ここにお前のものなどない。ヨンファもヘスも私の者だ」って言ってるんだよなー)

 

それにしても、息子をケンカで負かした相手の腕切って家も潰すとか、皇后ユ氏は本当に恐ろしいよ!

帰宅後、ソはジョンに「お前の悪ふざけのせいで腕を失い家がつぶれた。お前は皇子で、高い地位にある者は責任も大きいんだぞ。」と一喝。皇族である母親と、豪族の養子先から、ひどい目に遭わされ続けてきただけに、ソは権力者の責任の重さはわかっているんだよなぁ。不貞腐れて「兄ぶるな」とか「同腹なのが恥ずかしい」とかムカつく反応のジョンですが、母が登場するとソをかばったりしてて、まだ子供なんだよ感が出ています。

 

今回ジョンで気になったセリフは、ゴロツキを退散させたときソに向かっての「ご恩は忘れません」と、ヘ・スに対し「お前が腕を救ったと覚えておく。お前の命は俺の命も同然だ。俺が死んでも助ける」です。この子の将来は、どうなってしまうのだろうか…。

「見ててください、どんな男になるか」と本人も言ってるので、見守るしかない。ファイティン。(ジス君の下手なファイティン、かわいかったねw)

(追記訂正:ジョンの「このご恩は忘れません」はウクに対して言っていました汗)

 

 

恋は時として辛く苦しい

夫人の悲しい申し出を聞いてしまったこともあり、ウクへの気持ちをより抑えようとするヘ・ス。髪飾り事件の時も、ウクが傷を負ったヘ・スに薬を持ってきてくれて、二人きりで少し話すけれど、夫人のことを思い出しヘ・スは去っていく。夫人を傷つけたくないんですね。

 

一方ウクは、ダメだと頭ではわかってはいるんだけれど、だんだん気持ちがついていかなくなります。14皇子のトラブルにヘ・スが巻き込まれたって聞いた時の、あの先に体が動く感じ。ヘ・スが好きなのね…。

 

トラブル収束後には、ウクはちょっと怒っちゃうほど気持ちが高ぶってしまいます。思わずヘ・スの肩を抱く。

「お前を失うかと…お前に二度と会えなくなるかと…怖かったのだ」 

悲しみと、恐怖と、怒りと何より恋心をごちゃ混ぜにしてぶつけてしまう。ヘ・スは手を払おうとするけど、ウクは離さない。あれ、あのまま誰も来なければキスしてたね。

二人は橋の上でこのやりとりをしていて、画的にもどっちつかずの状態を表してます。どっちにもまだ行けない。

一族のみんなに見つかって「大丈夫?」って言われても、ウクは自分の気持ちにいら立って一人去ってしまいます。その顔を、夫人はまた見てるっていう…。

 

さらにウクは夜中に馬を走らせて湖畔?で「あー俺は一体どうしたらいいんだ」って、ひとり苦しさと戦う。手で自分の顔をたたいてね。悶えます。夫人のことや家のことがのしかかっている上、なによりこういう気持ちが初めてだろうし、本当につらそう。真面目だから余計つらいよなぁ。

 

そんな流れで、ウクもヘ・スも食欲がなくなる&気まずい雰囲気。このあたりで、夫人は二人の気持ちを確信したんじゃないだろうか…。いや、もっと前からよね…。あぁ夫人(泣)。

(夫人の「食欲がないですね」っていう指摘に、ほんのごくごくわずかにウクの苛立ちが表に出て、お互い変な空気になるっていう、この二人のお芝居のさじ加減。パク・シウンさんもハヌルさんも、本当にうまい俳優だよ。)

 

ヘ・スもなんだかんだで、ウクへの恋心が捨てきれないので、「私は皇子様(ソ)より自分が一番怖いです。自分の心なのに、どこに向かうかわかりません。いくら方向を変えようとしても、ダメなんです」と、ワン・ソに漏らしています。相変わらず、心が聡い。

 

 

 

あー結局長くなってしまったが、第4回はこんな具合に、皇族の立場、責任、そして暴力についてのお話だったと思います。

 

暴力でいえば、髪飾り事件のあと、ヘ・スはウクに暴力について訴えてますね。しかも、ムチ打ちそのものでなく「軽く扱われたことがつらい」と言っています。

「ここはそんな場所ですか?偉い親がいないと尊重されず、人を獣のように縛って叩く。高麗は以前からそうですか?」

暴力には色んな種類がある。

ウク様は「今後は誰にもスを軽く扱わせぬ。約束する」って言ってくれるけど、これヘ・スだけの問題じゃないからなぁ…。

 

色んな階層に色んな暴力があって、彼らはその中で生きている。持つもが持たざるものに対してふるう暴力はもってのほかだけど、政略結婚だってある種の暴力だし、自由が全くないのも暴力。ストレスと暴力だらけですね。

 

そういう世界に放り込まれても、星や雪を見て素直に感動できるヘ・スは、やっぱりヒロインらしいヒロイン。ほっとします。

 

そうそう、ムチで打たれたチェリョンが退場する時、一瞬だけ、第9皇子ワン・ウォンひとりだけのカットが入るんだけど、何か意味あるのかな。まさかこのふたり…って思うけど、本編を多少編集してるはずなのにそれでも残してるので気になる。

 

追記:第4話は超超重要回です!むち打ち事件の顛末とその前後の流れが秀逸すぎる。全てのエピソードが伏線です。