お出かけ手帳

誤字脱字病。書いては直す人生。

『麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~』 第8話を見たよ②

☆ネタバレしています☆

 

つづきです。

 

ウクとヘスは二人だけの夢をみる

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引き続き、ヘスとウクはいい感じです。一番幸せな時といっていいかもしれない。まだ何も決まってないけれど、希望は感じられる。そんな時。

 

立場上なかなか会えない上に、皇帝が雨乞いをしている影響で皇子たちは一時的に茶美院に入れなくなってしまいました。茶美院と外界をつなぐこの場所で、ヘスとウクは逢引します。会えただけで、二人ともすごく嬉しそう。

 

「時が来て正式に皇宮を出るまで頑張りますので…その時まで私を忘れないで下さい」って健気に言うヘスに、ウクが切り出します。

「近々、大きな雨乞い祭がある。それで雨が降れば、陛下が祝いをふるまう。罪人の赦免や皇室の婚姻、老人に宴を開いたり、それから…官女を還俗させる。雨が降ったら 陛下に頼むつもりだ。そのときは、松岳中の薬剤商で世浴剤の材料を買って、山積みにしておこう」

「チェリョンとヨンファ皇女が嫌がりますね。雨が降ってほしいです。必ず」

「ああ、必ず」

 

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見てくれよ、この幸せそうな二人を…。

 

「 なぜここができたのか」ってウクが言うんですが、本当にこの通路は謎(漢字勉強中のヘスに待ち合わせ場所を知らせる手紙に、『浴穴』とだけ書いたウクのセンス最高)。これから、この場所の謎が解けることはあるのかな。

いずれにせよ、ここは皇宮でもなく、外界でもない、どこでもない場所。だからこそ、立場が全く違う二人がこうして自由に肩寄せ合えるのだよな、と思うと切ない。

でも、この二人が一番恋愛らしい恋愛をしてると思うんですよね。若者らしい、普通のって言ったら変だけど、でも普通の恋愛。相手の身分がどうとか、命を懸けたとかそういうんじゃなく、ただお互いの人柄に惹かれてる。

 

ヘスがワン・ソに化粧をしたのは、ソが民に目茶目茶にやられて落ち込んでるのを見たことが大きいですが、「雨が降れば、ウクの家に帰れる」という思いもあったからです。化粧をしている時は、彼女の性格上、そういう利害はもはや吹っ飛んでいたでしょうけど、ヘスがソに化粧を施した理由はひとつだけではありませんでした。

 

 あとは、「ここを数歩出れば、外の世界なのに」って話から、「外に出たいけど、入官するときに第4皇子様に『逃げたところで陛下の手中だ。高麗で皇帝の目の届かぬ地はない』と聞いた」って言うヘスに、「そうだ…すべて皇帝の権力下にある」と返すウクの顔の一瞬の陰りね。皇族に絡む皆がそうなんだけど、ウクもまた権力としがらみに振り回されている人なのよね…。

 

 

「皇子様たちとは距離を置け」

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第8話は半分以上ソの覚醒に時間が割かれています。あとは細々。ウクとヘスの密会以外で言うと、茶美院の長、オ尚宮のエピソードがかなり盛り込まれています。

 

オ尚宮はヘスを厳しく(でも理不尽ではない)指導するのですが、この人が一番言うのが「皇子様たちと距離を置け」ということです。「目すら合わせるな」と。

ヘスは「皇子様たちは入官前から親しいし、媚を打ってるとかじゃない」って言うし、オ尚宮はそれもわかってる。でも、皇帝との婚姻騒動で腕を切ってるし、皇子たちと仲がいいせいで他の官女からの当たりも強い。正胤のアトピー治療をこっそり手伝ってるので、動きが怪しいヘスに気づいた皇后ユ氏と第3皇子ヨには「正胤は病なのか?教えろ」って脅される。

確かに、皇子様たちと関わるのは危険になってきたよ。

 

皇后とヨの追及から救い出したオ尚宮は、思わずヘスをビンタ。

「正胤には近づくなと言ったはず!でしゃばる出ない!お前を受け入れて後悔しておる!!」

そうなんですよね、ヘスが官女になれたのは、ジモンが「オ尚宮が茶美院で受け入れるって言ってます」と皇帝に言ったのが大きかった。

でもヘスはまだ、色々な事情が分かってないから、悔し涙で訴えます。

「私が何をしたのですか?尚宮が薬茶を作るのと、私が正胤の薬を作るのことの違いは?方法があるのになぜ止めるのか、ほかの官女と違い私だけ叱るのか理由がわかりません!」

 「お前は皇宮を知らぬ、知らなすぎる!」

「ええ、わかりません、ですから教えてください。私は悔しいです。頑張ろうとしてるのに、なぜ私を恨むのか、もどかしく悔しいです」

ヘスは初期のチャン・グレ@ミセンみたいだね。

胃の痛みを抑えている様子のオ尚宮。ここで彼女の本心が吐露されます。

 

「私と似ているから!人を信じ厚意を施し、恐れを知らぬ。お前に皇宮は合わぬ。死んで皇宮を出ることになるか不安で…」

 

涙まじりで叱り、胃の激痛で倒れるオ尚宮。

ヘスは動転しつつも、こっそり医者を呼び、尚宮を看病します。

目を覚ましたオ尚宮は他の者に倒れたことが秘密であるを確認し、ヘスにそっけなく接しますが、ヘスはもうオ尚宮になついてる。

「気難しかった理由がわかりました。私が死ぬか心配されたのですね。腕を切るのも見ましたし、私が尚宮と似てると。では私も尚宮のように気を付ければ生きていけます。ですから尚宮も、つらい時は甘えてください。私は構いません」

笑顔で自作のお粥を差し出す。それを受け入れるオ尚宮。

「これが粥だと?」

まずかったんでしょうね(笑)。思わずオ尚宮も笑みがこぼれてしまいます。 

 

オ尚宮の想いと、ヘスの屈託のない可愛さに泣きましたよ、私は。先まで見て戻ってこのシーンを見ると更に泣けます。

上司にこんなこと笑顔で言うなんて、ヘスはかなり人たらしよね。

しかも、ヘスは言われた本はちゃんと読んでるし、オ尚宮がお粥しか食べてないことにもすぐ気がつくし、自分で言ってた通り頭がいいんですよ。育てがいがある。

ヘスのお粥を食べたのは、尚宮は完全にヘスを受け入れたということですね。

 

オ尚宮は皇后ユ氏とかなり深い確執があり(8話ではどうやら皇帝がらみでバトっていることが判明)、そのつらさを皇后ファンボ氏と共有していましたが(7話)、オ尚宮は皇宮で苦労しているので、自分に似たヘスが可愛く思えば思うほど、心配なんですよね。

皇族と関わることがいかに危険か。ヘスはまだわかっていません。

 

 

天の意志か人間の意志か 

 長い間、日照りが続く高麗。第8話では雨乞いのための儀式が行われます。

雨が降らないっていうのは、人間の力ではどうにもならないこと。でも、皇帝としては雨を待っているだけ、なんてことはできません。水がない、ということは民の命にかかわることであり、国の統治にかかわる一大事。政治的な意味あいにおいても、雨を降らすために何かしているところを民にアピールする必要があります。

そこで大々的に「雨乞い祭」をするんですね。

 

儀式には祭祀は必要なのですが、体力的に皇帝は無理、正胤は遠出で不在…ということで、皇子のうちのひとりが祭祀をすることになる。祭祀はクジでワン・ソに決まるんだけど、このクジは出来レースでした。ソの札には印がついてましたものね。「皇太子が皇位を継いだ際、ワン・ソには宰相に…」と願う皇帝とジモン仕組んだのです。「ソが選ばれたのは、天の意志だ!」と言いながら。ソが祭祀をして雨が降れば、ソの周囲からの扱いは確実に変わりますからね。

 

自分があえて選ばれたことを知り怒るソでしたが、彼もまた運命よりも人間の意志を信じる人。雨が降らなければ、民に殺されるかも…と震える一部の皇子たちにも「雨が降らなければ、雨が降るまで雨乞いをすればいい。それを天の意志だと思わせればいいのだ」とサラッと言う。賢いんだよな、この人は。

また、2度目の雨乞いの際も、ジモンには拒否したけど、結局は仮面をつけたまま出ることを決めてましたね。その直後にヘスが化粧をしにくるっていう。

ソは顔の傷を負った運命を恨みながらも、自分の意志を強く持ち行動している人物です。じゃなきゃ、あんな虐待の日々を生き抜けない。

 

また皇后ユ氏は、完全に「天の意志などない、人が天を動かす」っていう人。雨乞いについては「雨が降るまですればいい」と、ソと同じことを言っています。親子ね。

祭祀がソになったのも、皇帝とジモンが仕組んだと、彼女はすぐに気が付く。皇后ユ氏は自分の意思で物事をすべて思い通りにしてきたから、他人の意志にもすぐ気が付くんでしょうね。さすが。

 

ヘスもまた、自分の意志を信じている人。

一回目の雨乞いで散々な目にあったソは、ヘスとこんな会話をしています。

「お前は自分が生まれた理由を?こんな世界でいつまで生きるのか問うたことは?」

「あります。最近もたまに考えます。 

でも答えはありません。好きで生まれてないけど、自分が決める人生だから。カッコよくも悪くも生きられるけど、引きずられるのはやめよう。そう決めました。楽に生きている人はどこにもいません。目には見えなくても、皆苦労してます」

 

ソは自分の運命を疎むような発言をしてしまいますが、ヘスは人に振り回されるのではなく、自分の人生を自分で選びたいと願っている。皇帝との婚姻騒動の際も、「どう生きようと、私には選ぶ権利がある」ってオ尚宮に話していたし、実際にそうましたね。

「好きで生まれていない」っていう部分が運命で、それに負けない意志を持とうと思ってるのがヘスです。ソは傷ついた外見自体が苦しい運命なんだけど、目には見えずとも、誰だって自分の背負ったものと戦っている、ということまでヘスはわかっている。相変わらず、心が聡い。ヘスの中の人はタイムスリップまでしてますからね。色々考えてしまうのは、当然でしょう。

 

あとは7話でワン・ウンの誕生日に「なぜ生まれたの?」ってヘスが歌ったのを、ここのシーンで受けてますね。ソが「生まれた理由とは?」と問いかけ、ヘス(ハジン)は自分の天職である化粧のことを思い出す。うまい流れ。

 

「雨が降らない」という人間がどうにもできない運命に対し、それでも人間は何ができるのかっていう問題を踏み台にして、「運命か自由意志か」というテーマにいよいよ入っていきます。タイムスリップものでは避けることができない問題です。未来を知っている人間は、歴史を変えていいのか。変えることはできるのか。

8話の最後、ヘスはワン・ソの暗い未来が見えてしまう。幻覚かもしれないし、突飛な思い込みなのかもしれないけれど、なぜかそれが確かだとヘスは感じてしまいます。

ヘスはもちろん自由意志の人ですから、歴史という運命と戦うことになるのは必至です。

 

とまぁ、歴史とかまで考えなくとも、意志をもって現状にあらがうっていうのは大変なことですよね。ヘスとウクが「浴穴」であんなに幸せそうなのは、運命とも自由意志とも戦う必要がない瞬間だからこそなのよね…。

 

 

ワン・ソが光宗だった!

ソによる2度目の雨乞いは大成功。民には皇子として認められ、無事に皇宮へ帰還します。待っていた一同は、そのカリスマ性あふれた振る舞いと、なにより傷のない顔に驚く。皇后ユ氏は慌てています(画策により2回目はヨが祭祀になると思っていた)。

儀式の仕上げに祭壇へと登り、振り返ったソ。ヘスを探しているのです。ソはヘスを官女の隊列から見つけ、二人は微笑みあう。ソは今まで見たことのないほどの、優しい微笑みをヘスに向けます。

しかし、その瞬間、ヘスはソの別の顔が見えてしまう。恐ろしい別の顔。

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ヘスは血の気が引いていきます。

そして、降ってくる雨。なんというタイミング。ソは天にも認められた気分です。

ワン・ソ、完全覚醒!

雨を喜ぶ一同。ヘスを官女から解くために雨を願ったウクも静かに喜びますが、ヘスを見ると様子がおかしい。

ヘスの目には、恐ろしい顔をしたソが見えています。そして、ふいにある名前が口からこぼれる。

「光宗…?」

 

ドラマスタート当初から、ワン・ソが光宗であることは明らかにされてますし、歴史を知ってる方であれば驚くことではないのでしょう。

しかし、ヘスは光宗が「血の君主」であることを途中で思い出すことはしましたが(6話)、どの皇子が光宗になるのかはこの時までわからなかった。この恐ろしいビジョンが何なのかは、わからないけれど、とにかくヘスはワン・ソが光宗であることを確信してしまうのです。よりによって、お互いに完全な信頼関係を結んだあとで。

 

ヘスが化粧を施したことで、ワン・ソが完全体として覚醒したことが影響しているんでしょうか。っていうか、そもそもあのビジョンってなんなのよ。ヘス、というかハジンはどうなっちゃってるの?なんで見えるわけ?

…とか、もう疑問は湧き上がる一方なのに、見るものすべてを恐怖させる、あの圧倒的な映像の力。そして、わずかな表情で、ここまで人間が違って見えてしまうのか、という驚き。理屈を飛び越えて、物語を激震させる仕掛けでした。

 

 

新たなカップル誕生…?

 

ワン・ウンは大将軍の娘・スンドクと接近。スンドクはウンが好きで、誕生日には熊のはく製(たぶん超貴重なやつよね)を渡そうとして、逆に嫌われちゃってたんですが…。花畑ルールを適用するならば、この二人もカップルに…っていうか、なります。

とりあえず、この画像貼っておく!今はそういう気分なんだ!!

 

第8話は見ててすごく面白いんだけど、ワン・ソの心の問題を言語化するのがすごく難しくて時間がかかりました。まだ理解できていないところも多いから…(全てを理解するなんて無理)。「運命か自由意志か」とかもね、私自身どっちなんだろうって思うこともあるし、それこそ意思がないと文章に起こしていけないんですよね。運命を信じるより、意思を信じる方がずっとずっと難しいのだと感じています。

 

偏見なく人と接するヘスが、ワン・ソが初めて心から信じた人間ヘスが、よりによって超ド級の偏見を抱いてしまった第8話。

どうする、ヘス。いや、ハジン。