お出かけ手帳

誤字脱字病。書いては直す人生。

『麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~』 第9話を見たよ①

☆ネタバレしています☆

 

12月3日からKNTVは韓国オリジナル版を放送するみたいですね。結果的に2パターン見られてよかった、よかった。実は8、9話のKNバージョン、結構好きです。

 

<第9話のあらすじ>

雨乞いが大成功する中、 第4皇子ワン・ソこそ、後に「血の君主」と呼ばれる皇帝・光宗であることを、何故か感覚的に確信してしまったヘス。自分が化粧をしたことでソは 皇帝になってしまうのか、またソは歴史で言われている通り兄弟、親戚、臣下を皆殺しにするのかと、大きな不安に襲われる。

雨の祝宴でヘスの出官を願うウクは、ヘスが化粧でソの顔の傷を隠したこと、そのことで大きく動揺していることに気づき、ヘスに優しい言葉をかける。が、ソの雨乞い成功により、皇子たちのパワーバランスが変わる可能性は高く、実は心がざわついている。

皇子たちの未来が気になり、いてもたってもいられないヘスは、ジモンを尋ねた。やはりジモンも時間移動の経験があり、自分と同類のヘスに「何もしてはならない」と忠告。

一方、ソは父である皇帝をはじめ、周囲から生まれて初めて受け入れられたことを実感し、自己肯定感と幸福感に包まれる。「俺を変えたのはお前だ」と笑うソを見て、ヘスは「自分には歴史をいい方向に変えられる、誰も不幸にはしない」とジモンの言葉に反し、心に誓う。

皇子たちが集まるなか現れた皇帝。雨乞いの褒美に何がいいかと聞かれたソは「ヘスが欲しい」。ヘスは上級官女に。また、雨の祝いは第10皇子ウンと大将軍の娘スンドクとの婚姻と決まり、ヘスの出官の話は完全になくなった。

先が見えなくなり不安になるヘスとウク。それでも、二人はお互いの気持ちを確かめあう。

ウンの婚姻式。婚姻を拒否し閉じこもるウンだったが、ヘスの説得によりしぶしぶ婚姻を決意。皇子たちが仲よく祝いの品を渡す様子を見ていたヘスだったが、今度はウンとその妻となったスンドクが、ソに殺されるビジョンが見えてしまう。あまりの恐怖にその場をひとり立ち去ったヘスを、追いかけるウク。震えるヘスは思わず「ソ皇子様に気を付けて。あの人をがやることを阻んだら、皆死ぬ」とウクに泣きつく。「もう皇宮を出たい」とも。

第3皇子ヨは雨乞いの祭主になることに失敗したうえ、皇帝に左遷を言い渡される。ヨのポストにはソが引き継ぐことに。

危機感を募らせた皇后ユ氏とヨは、家族での食事の席を設け、ソに「正胤を殺せ」と命令。母には未だ受け入れられていないことを知ったソは「殺してもいいが、その場合は自分が皇帝になる」と言い返す。ヨを皇帝にしたい皇后ユ氏は怒り、「顔の傷が消えたくらいでなんだ。お前は皇帝に利用されているに過ぎない」とソを傷つけ、母子は決裂。そして母と兄たちに嫌悪感を抱く、同席していたジョン。

母の態度にうちのめされたソは、ヘスに慰めを求め抱きつく。が、ヘスはウン夫妻のビジョンで恐怖がとまらず拒絶。ショックを受けながらも「お前だけは、俺を避けてはならない。お前は俺の者だ」とソは無理やりヘスにキスをするのだった。

 

 

第9話のテーマは「運命」。8話で自由意志について描かれたとしたら、9話は「運命とは何か」「人は人や物事を変えることができるのか」っていうテーマを描いていた気がします。そして、ヘスの心がかつてなく揺れる回。ソの衝撃的な未来を見てしまい、ソに恐怖する(悲鳴を上げるほど)。でも話すとやっぱり目の前のソはいい人だし、未来を変えたい。でもやっぱり怖いものは怖いっていう。

 

 ヘス激震

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かつてヘスは、亡き夫人に初めてメイクをしたときに「私のメイクで人が特別になるのが好きだった。必要な人になった気分。私が幸せにさせられるという錯覚があった」と、発言していましたが、ついに国家レベル、歴史レベルで人を特別にしてしまったかもしれません。

 

ヘスはワンソの未来を見てしまい、とてつもない不安に駆られるのですが、たぶんその不安は3つに分けられる。

①自分が化粧で傷を隠したから、ソは皇帝になるのか。

②光宗になったソは、兄弟もろとも皆殺しにしてしまうのか。

③自分は未来を変えるために行動すべきだろうか。だとしたら、どのように?

 

①に関しては「歴史に光宗が残ってるってことは、私がいなくても皇帝になってる」って自分に言い聞かせてますね。でも、仮面を取ったことで、ソは人々に受け入れられているので、何らか影響は与えてしまっているはず。

そして何より心配なのは②ですね。ヘスは皇子たちと仲がいいですから、彼らが殺されてしまうっていうことを考えるだけでもショックなのに、もし自分の化粧がワン・ソ覚醒のきっかけになったとしたら、自分のしでかした事の大きさったらない。

ヘスは自由意志の人ですので③については、未来を変えるべき=ソが人殺しにならないような人物に変えるべきだ、と思うのですが、そもそもそんなことができるのか。運命を変えることはできるのか、人を変えることはできるのか。この難しい命題にそれぞれストップをかけるのがジモンでありオ尚宮です。

 

人は天の意からは逃れられない

雨を待ち望んでいたはずのヘスは、神輿に担がれ崇められるソを見つめながら呆然。ウクに声をかけられても、会話にならないほど動揺してしまいます。

ウクはヘスがソに化粧をしたことを「お前はいいことをしたんだから問題ない。それからソが正胤の代わりに祭主をしたが、何が変わるということはない(2回目の雨乞いは正胤がするはずが、皇后ユ氏とヨの画策で阻止。ヨは祭主を狙うが、メイクをしたソが祭主を死守、の流れ)」って言ってくれるんだけど、何も変わらないってことは、ウクをはじめ皇子たちが殺されてしまうかもしれないということであり。ヘスは「変わらないのは…いいことじゃないよね」って思ってしまいます。

 

そこでヘスが急いで会いにいくのがジモンです。

ジモンはヘスの中の人であるハジンが現代で会った人と激似で、一度ヘスは「私たち千年後の世界で会いましたよね」って聞いた際には、超濁しつつ「Yes」と受け取れる返事をしています。

 

儀式中、ヘスが「光宗」と思わず口にしていたことに気づいていたジモン。彼はヘスに「4、5歳の頃に、溺れて一度死に、一日で生き返った。生き返った後は、まるで別人で、若年寄りのようだったそうだ」と告白します。飛行機、エレベーター、エスカレーターの高層ビルをどうやら見たことがある模様。

 

ジモンはそれらを「夢かうつつかわからぬ光景」と言い、ヘス「この人も現代から来たの?幼な過ぎて覚えてないの?」って思うんだけど、たぶんジモンは高麗から現代に行って帰ってきた人ですよね。子供のころに現代へ飛んで、色々学んできた方が、この人の場合、色々と納得がいく…。

 

「お嬢様も一度死んだそうですね。それで予知眼をお持ちなのかと。ご質問ください、お嬢様が本当に知りたいことを」とズバリ言われて、ヘスは色々聞きたいけれどもそれを抑え、「私はどうすれば?」と聞きます。

 

「何もしてはいけません。何を見ても放っておくのです」 

「私が変えられたら? 事故も防げますし、悪いことをいいほうに…」

「すでにソ皇子の顔を変えました」 

「それで皇子様の未来が変わりますか?」

「それはわかりません。天の意を人が悟る瞬間が運命です。変わったのか否か誰にわかりますか?人は天の意からは逃れられません。万事流れに任せるのです。スお嬢さまの安全のためです」

 

そうなんですよね。「運命が変わったのか、変わることが含まれた運命なのか(元々そうなのか)」っていうのは誰にも分らないんですよね。

未来人が歴史に介入することの影響は計り知れないし、皇宮のなかで余計な動きをするのも危険。確かに何もしないほうがいいのはわかる。

 

ただ、ジモンだってそういいながら、色々やってるんですよ。ソが光宗になるってわかってるのもあるにせよ、ソの立場回復のアシストをかなりしている。ヘスの婚姻騒動の時も、ヘスが官女になれるよう皇帝に粘ったりもしてるんですよね…。

ジモンはどのくらい未来を知っているのか。ジモンもビジョンを見たりしてるのか(「予知眼」って言ってますね)。ジモンのことがめっちゃ気になる。

 

人の力で人は変えられない

もうひとり、ヘスにストップをかけるのがオ尚宮です。

ヘスは上級官女になって、オ尚宮に直で仕事を仕込まれるようになります。8話で心通わせた上に、より関係が近くなる。

で、そのオ尚宮が言うのが「ソ皇子に気をつけて」ということなんです。

 

「情に飢えていた人が情を知った。その気がなければ突き放しなさい」

「私があの方の人生を変えられても、知らん顔を?」

オ尚宮のワンソ分析は超鋭い。でも、正胤の病とかもそうだけど、ヘスは知らん顔とかできないタイプなんだよ。オ尚宮は作業していた手を止め、ヘスを諭します。

「私が皇宮に入る前に心をささげた男は、一緒に花や薬草を採った無名の将帥だった。野心を捨て平凡に暮らすと思っていたが、手の届かないところに行ってしまった。わかる?人の力で人は変えられない。誰かを変えられるとは思うでない」

 

オ尚宮と恋仲だったのは皇帝ですね。皇后ユ氏とバトってるのも、皇帝のお茶の好みにやたら詳しいのも、そのせい。ジモンも知ってる口ぶり描写があったし、皇宮ではもはや周知の事実っぽい感じ。

ドラマの前半で、ヘスとウクの恋心を通して、「自分の心の制御のできなさ」みたいなものが描かれていたと思うんですけれど、ここで今度は「他者の心」っていう新たなテーマがやってくる。たぶん、誰もが「人が人を変えることの難しさ」を感じて生きていると思うんですが、「人を変えること」、「人の命がかかっていること」、そして「権力」が絡み、話は余計複雑になっています。

 

 

 「俺を変えたのは、ヘ・ス、お前だ」

9話ではソが「血の君主」っていうものすごいレッテルが張られるわけですが、ソ自体は一貫してイノセントな存在として描かれています。そこがまたすごく面白い。

 

ジモンに「何もするな」っていわれて、ヘスはとトボトボ歩いて戻る途中、ソと鉢合わせ。皆に受け入れられ、父にも認められたソは、ものすごい嬉しくてヘスを思わず抱きしめます。ヘスは「兄弟を殺す人」っていう偏見を持ってしまっているから、悲鳴を上げて飛び上がるほど怖がるんだけど、もうそれが気にならないほど、清々しい気持ちに持ちあふれてる。

「急に抱きつかれたので…申し訳ありません」って超距離のある態度をとるヘスにも、

「俺の方が申し訳ない」って素直に謝っちゃう。初期の頃、「俺が謝る時は、お前を殺す時だ」的なこと言ってたのに!

 

「生まれて初めて陛下を父上と呼んだ。15年ぶりに俺の顔を目を見ながら、堂々としろと。それを聞いて、今までの寂しさは消えた。仰せのとおり皇太子を助けねば。皆が俺に礼を言う。怖いとも、獣ともいわぬ。おかしいが、俺を好きになりそうだ。それから…俺を変えたのはヘス、お前だ」

 

人に認められるということは、ここまで気持ちを軽くさせるものなのか。このワン・ソの素直なセリフって、もう泣けますよ。「自分を好きになりそう」とかさ、どんだけ自分を呪っていたのよ?っていうかヘスが偏見を持つ前だったら、絶対一緒に超喜んでますよね。

偏見を持っても尚、この様子を見たヘスは「こんな人が残忍になるとは、信じられない」って感じるし。「私にはできる、放ってはおかない。誰も不幸にはしておかない」って決意するくらいですから。ジモンがなんと言おうと。

 

ドラマの流れで言うとこのあと、オ尚宮に「ソに気を付けろ」「人は人を変えられない」って言われるんですけれど、ソは「ヘスのおかげで変われた」って思ってる。そしてそれは間違いではないと思うのです。ヘスと出会ってなければ、ソは確実に荒くれたままだった。

だけど、ひとつ言うなら、ヘスはソを変えようとして変えたわけではない、っていう点ですね。

 

ファンボ家の兄妹

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ヘスがソの未来でテンパってる間に、ウクとヨンファが雨を眺めながら話すシーンがあるんですけども、ここで話すのは「これから皇子たちのパワーバランスが変わるね」ってこと。

 

「ソ兄上が雨を降らせた故陛下の信任が得られます。皇太子以外の祭主を立てるなら、兄上が務めるべきでした。皇帝の寵愛を受けたら変わります。皇宮に気を付ける相手がまた増えたのです」ってヨンファがいかにも言いそうなことを言い、ウクは諫めるんだけど、この時のウクの顔は今までの優しいウクの顔じゃない。本気で諫めてない。

それはソの雨乞い成功は、自分の進退に絡む大きな変化になるってことがウクもわかっているからですよね。しかも、ソを変えたのはヘス。絶対に心中穏やかじゃない。

雨に手をかざすウクの表情が、ソの清々しさとは対極であるのが、見るものを不安にさせる…。

 

ウクとヨンファは、なんだかんだで、家のことはよく話しているし、子供の頃に一族がハメられて大変な目にあっているから、どこかで分かり合ってるところがあるんだよな…。表面上は正反対の性格なんだけど、それぞれの役割を果たしているっていうところもあるような。

雨乞い祭主はソのための席だった、とウク。

「私にも私を必要とする座があるはずだ。それが何か…実に…気になる」

 

ウクとヘスは不安のなかへ

雨は降ったものの、ヘスの出官話は立ち消えます。

雨乞いを成功させたソが褒美として「ヘスが欲しい」と言ったこと、そして、今回の祝宴は大将軍の娘スンドクとウンの婚姻となり、女官の出官の可能性が消えたのです。

ソは欲しいものを欲しい時に欲しいと言える男なんだよな。ウクは色々背負っているし、欲しいものを欲しいと簡単には言えない。あぁ…ウク。

スンドクの婚姻は、ソを育てた大将軍への褒美ですね。

 

ヘスは出官できると思ってて、腕飾りのお礼も兼ねて出官記念に枕を渡す。オンニが亡くなる前にヘスに頼んでたことです。「お姉さんが皇子様は悩み事が多いから、ぐっすり眠れるように作ってほしいと」複雑な思いで受け取るウク。

ウクは字の苦手なヘスに直筆のパラパラ漫画をもって来ていました。喜ぶヘス。

その直後にウクは「ウンの婚姻で、今回の祝宴から官女の出官はなくなった。次の機会がいつになるかわからない」と告げます。

「皇子様が待ってくださるなら、私は待てます」

ってヘスは努めて明るく言うけれど、「不安だとは言えなくて…待ってほしいと…なぜかすれ違いになりそうで」と内心思う。先の見えなさから、すれ違いまで予見するとは…相変わらずヘスは心が聡い。

 

パラパラ漫画が、雪の上を一緒に歩いたかつての自分たちだと気づくヘス。

「今度雪が降ったら、この道をまた歩こう。ふたりで」

「待っています」

必死に笑顔を作るヘスを抱きしめ「お前を愛してる」と告げるウク。

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ふたりは夢をみられる「浴穴」にはもういない。現実の世界で厳しい状況に直面しています。自分たちの意思がまるで通用しそうにありません。

 

そして気になるのは、ヘスは夫人の言い遺した枕をウクに渡し、ウクは夫人に言えなかった「愛してる」っていう言葉をヘスに言い、ウクと夫人の想い残しが成就してしまったということ。もちろん、ウクとヘスはお互いを想ってやったことなんですけれども…。

 

 つづきます。

10話が始まるー!!