お出かけ手帳

誤字脱字病。書いては直す人生。

『麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~』 第11話を見たよ

☆ネタバレしています☆

 

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ついにKNでも11話が放送されました。

何度見てもつらいね。思い出してまた泣きそう。

 

<第11話のあらすじ>

正胤暗殺未遂の容疑をかけられたヘス。ソとウクはヘスを助けたいが、皇后ユ氏とヨンファが事件の首謀者のため、それぞれがうまく立ち回ることができない。正胤を守るため、犯人ではないと知りながらも、ヘスの絞首刑という形で事態を収拾させる皇帝の決意は固い。

ヘスを娘のように思うオ尚宮が、自ら濡れ衣をかぶり、絞首刑に処される。

 

初めてこのエピソードを見た時は、あまりに絶望的な展開で、かなり落ち込みました(苦)。キャラクター達が危機的な局面で「選択」をしていくのが、第11話なんですけれども、特にオ尚宮とウクの選択が本当にいたたまれなくて…。精神が落ち着かず、心荒ぶった一度エントリをあげてしまっています。

 

mikanmikan00.hatenablog.com

これとかぶるところも多いし、やはりこれ以上のことは言えないんですが、補足していきたいと思います。つれづれと。

 

ワン・ウク

人生で初めて欲しいものを欲しいと言ったウク。それが引き金となり、最も望まない結果を引き受けざるえなくなってしまいました。

 

ウクはヘスの牢に行った際に、既にかなり絶望的な表情をしているんですよね。彼は皇帝の恐ろしさを知っていますから、一度罪人として捕まれば、冤罪であろうとほどんど生き残れる可能性がないことがわかってる。しかも会うなりヘスは「ワン・ソは大丈夫?」って聞いてくるし(その発言を聞いてウクは握ったヘスの手を離している)。それでも、まだこの時は「スよ、耐えるのだぞ。私が必ず助けるゆえ、諦めてはならぬ」と励ましています。

 

その後ソから「事件は皇后ユ氏の仕業だ。お前が真相を明かせ」と聞かされ、ヘスの冤罪を晴らす証拠を探していくと、妹のヨンファが事件に加担していたことが判明。ウクがヨンファに「なぜ!」と叫んだ声が、わたしは耳から離れない…。あの時のウクの絶望ったらないよ。よりによって自分の妹がヘスを陥れていた。しかも正胤暗殺未遂にヨンファが仕組んだことがバレれば一族は逆賊に。

ヨンファが指摘したウクの野心は実際にあったのだと思います。だけど、それ以上に大切にしたいものが、ウクにはできてしまった。そしてヨンファはそんなウクが許せない。

何が見ていてつらいって、ウクは瞬時に家族を選んでいること。彼は家族を守ることが、子供の頃から骨の髄まで沁みついていて、結局家族を見捨てることなんでできないのです。ヨンファに手を貸していた尚宮をためらいもなく殺す。ウクは変ろうとして、変われなかった。自分は一族を守るためにしか生きられない。

「お前は知ってるだろう。俺は母上とお前を捨てられぬ。…この瞬間から。お前は可愛い妹ではなく…債務者だ。お前は俺に、俺はお前に、大きな借りを作った」

 

「必ず皇位でお返しします」と一礼する妹ですが、ウクは「結局お前の意のままに、俺を動かし…」とこの世の終わりのよう。 

牢に閉じ込められたヘスに会うこともできません。手には、殺めた弱き尚宮の血で汚れた自らのかんざし。もう、戻れない。

 

それでもウクは、どうしてもヘスを助けたくて、オ尚宮に頼みに行きます。皇帝が話を聞くとすれば、オ尚宮しかいない。

 

「なぜ私に頼むのです。あの娘を愛していると、死んでも救うと仰せになれば、私より力になります。皇后さまや一族が邪魔を?皇位継承のため、というのもあり得ますね。皇室の男が卑怯になる理由は同じです。 

いつか卑劣な自分を後悔されます。一度、顔を背けたことで一生さいなまれます。陛下に頼むのは、私がヘスを大事に思うからです。皇子様は、誰も救えません」

 

オ尚宮の指摘はあまりに正論であり、事実ウクはこれからこの時のことでさいなまれ続けます。

しかし、妹が罪を犯しているため、ヘスを助けるということは、一族を殺すということ。誰にも真実を言えないまま、裏切り者としてこれから生きていくしかもう道はない。

しかも、罪を被ったオ尚宮のため、座り込みをするヘスを助けようとすると、今度は母にまで止められる。罪人の味方をするということは命を差し出すのと同じだからです。ウクは2度、ヘスを見捨てました。チェリョンが「うちの皇子様が一番」と言うほどまでに高貴で優しかったウクは、もういません。

「人生は簡単には変らない。一度死ねば別の話だが」と、第一話の冒頭でジモンとおぼしき人物はつぶやきますが、ウクはこの事件を通して精神の死を経験し、別の人生を歩み始めます。

 

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オ尚宮

オ尚宮のとった行動っていうのは、まさに母親ですよね。ヘ夫人も姉であり母親的な存在でしたが、オ尚宮は命を懸けてヘスを守る。オ尚宮は母親になりたかった人。もともとヘスに自分を重ねて見ていましたが、最終的にヘスによって母親になった。母が子を想う気持ちは強いのです。(母親といえば、皇后ファンボ氏が、ウクに立ちふさがり、皇后ユ氏に土下座したのも、子供たちを守るため。あの気迫はすごかった)

 

それと同時に、オ尚宮は皇帝も助けています。皇帝は「俺を捨てるのか?」ってオ尚宮に言うけど、正胤の立場を守るのならば、一刻もはやくこの件を片付けなければならない。彼女にはそれがわかっている。誰かが必ず、名分として罪を背負わなければいけないことも。

重い病をかかえた、限りある命。最後にどうこの命を使うか。

 

ヘスとオ尚宮との浴穴シーンで、泣かない人はいないんじゃないですかね。

 

逢引現場を見つけたあと、すぐに浴穴の通り道を塞いでしまっていたオ尚宮。ヘスはあきらめきれず、泣きながら積まれた大きな石をどけようとする。

「故郷へ行くのでしょう?今行きましょう。尚宮が一緒なら、どこでも行きます。私もこれ以上は耐えられません。罪をかぶるのでしょう?私の代わりに死ぬのでしょう? 私はどうなるのです。私はどう生きれば。いけません。無理よ。出てやる!」

「お前のせいではない。お前のためではなく、陛下のためよ。どうせ私は長生きできぬ。私を哀れに思わず、悪いとも思うな」

 

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泣きじゃくるヘスに、涙しながらも笑顔を向け、ヘスの手首の傷をなぜるオ尚宮。

「私は大丈夫よ。私も守りたいものを守ったゆえ、代価を払わねば。悔いはない」

皇帝との婚姻を拒否した後にヘスが言った言葉(6話)をオ尚宮は覚えていました。

 ヘスを抱きしめながら、オ尚宮のモノローグ。

「全てを警戒して、誰も最後まで信用するな。どの瞬間も、1歩進むたびに氷上のように怖がらねばならぬ。お前は私のように生きるな」 

 

このドラマの原題にある「歩歩驚心」と言う言葉の意味は、まさにこの「どの瞬間も1歩進むたびに氷上のように怖がらねばならぬ」。人を信じ、優しさを持つオ尚宮の遺言は、自分の生き方とは正反対のものでした。ヘスを案ずるが故に伝えた言葉。

誰も信じずに生きることなんて、本当にできるのか。そこに幸せはあるのでしょうか。

 

 

ヘ・ス

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この一連の事件で、一番身も心もボロボロになったのはヘスですね。冤罪で拷問を受け、信じていたウクに背を向かれたことはもちろんショックですが、何よりもつらいのは、自分を助けるためにオ尚宮が死んでしまったということ。

 

オ尚宮が亡くなった合図を聞き、ヘスは思います。

「(私のせいで誰かが死ぬと知っていたら、生きようとはしませんでした。すべて夢ならいいのに。目が覚めたら、すべて忘れていたい)」

 

高麗にやってきたハジンは、怖がって一度部屋に閉じこもった後に、「もう戻れないし、この姿を変えられないなら…生きたい!なんとかして生きたい」と決意しました。

しかし、生きてみた結果、こんな悲劇が起こってしまった。

(この時ヘスを説得し、手を差し伸べたのはウクだったことが、今は皮肉過ぎる。

 「スよ。怖がるでない。私がお前をここに連れてきたから、最後まで面倒をみるつもりだ。人を避けても変わらない。元気を出さねば。私を信じて出てみないか?」) 

 

 ハジンはヘスとして生きることに格闘しましたが、この11話の最後で、まるで第1話の冒頭のセリフのような状態に戻ってしまいたした。あのホームレスは「人生は簡単に変わらない。一度死ねば話は別だが」と言ったけれど、彼女の場合は一度死んでも変わらなかった。

 

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「おじさん。百年か千年、眠りにつきたいって思ったことはある?全てがこじれて、よくなる兆しは見えなくて。そのうちよくなると思ったのに、また別の問題が起こる。どうせなら、永遠に目が覚めなければいい。全て忘れたいけど、できないの。彼氏にも友達にも裏切られた。人を信じるべきじゃなかった。私が変わらなければ、信じてる人たちは変わらないと思ってたけど、それは違ってた。どうしてこんな生き方しかできなかったのかな(泣)」

この時ハジンは、口から血が出ていてどうやら殴られたようなのですが、これは11話のラストと並べるためなのかな。どちらも、人を信じた結果、精神的にも肉体的にも傷を負っています。

 

「人を信じるべきか。信じることはできるのか」っていうのは、冒頭のハジンのセリフや、オ尚宮が残した言葉の重みから言っても、超重要なテーマですね。

あと、このドラマでは「辛いことを忘れたい」「覚えているうちは辛いまま」っていうセリフがよく出てきますが、どうなんでしょうね。辛いことをなかったことにはできないし、忘れて生きることは本当に心を楽にするものなんでしょうか。一緒に大切なものを失ってしまいそうな気もします。これは残りのエピソードで追及していくテーマの一つなのかもしれません。

 

 

ワン・ソの内面とか、チェリョンのウクへの懇願演技に涙とか、ペクアらしい優しさとか、まぁ色々あるんですが、このへんで止めときます。11話はエモーショナルすぎて、苦しいです。

 

あ、でもカン・ハンナさんの演技は最高だったことは書いておきたい。あの医者と二人っきりになったあとにムクっと起き上がる、悪魔の子感w。ヨンファがなぜあそこまで兄に、皇帝に、執着するのかも理解できるし、本当に素晴らしい女優さんだな。

 

あと、「『純粋の時代』でハヌルがハンナさんにあんなひどいことしたから、別の人生で復讐されたんだよ泣!」とも思ってしまった(笑)。あの映画のハヌル氏は鬼畜過ぎるからね(もちろん褒めてる)!

 

ともあれ。

何かを選ぶということは それ以外を選ばないということ。

そんなことを痛感させられた第11話でした。