☆13話以降の展開を含めた大きなネタバレをしています。ご注意ください☆
☆まずはネタバレなしで見たほうが、圧倒的に面白いです!本当に!!☆
つづきです。すごい長いです。
どの回にも伏線と意図があるんですが、13話も見れば見るほどよくできてるんですよね。
特にウクに関しては、今後の展開に関するヒントがものすごく散りばめられている。譲位問題が中心にあるので、初見だと派手なそっちに目が行くんだけど、結末まで知った今は、いかに細やかにウク描写をしているかがわかる。私がハヌルファンっていうのを差っ引いても、ちょっとこの回のカンハヌルはすごい芝居をしてると思います。相当彼は考えて、監督とも話して演じているはず。なぜなら、ウクの内面がしっかり意図されていないと、物語自体が崩れる可能性が高いからです。ワンソとヘスの関係を描くにも、皇位交代を描くにも、絶対に外せないのがウクの心情だから。
ウクと対峙するヘス役のIUのお芝居も、かなりいい。ヘスが少女だった頃とまた違った子になってる。ヘスの冤罪&拷問事件とオ尚宮の処刑で、ウクだけでなくヘスも変わっています。根っこは変ってないんだけど、状況が変わって、物事に対する態度が変わったことを見せなきゃいけない。
(逆にワンソは、ここでは真っすぐ変わらない姿勢が必要)
という訳で、前エントリでも結構迷ってたんですが(まだKNは最終回を迎えていないので)、せっかく時間を費やして考察するので、ここでは先のネタバレも盛り込んで書くことにします。っていうか私、『月の恋人』タイトルのエントリでは最終回まで書いているしね。
なにより、この一連の記事は自分の為に書いているし。
そう決めたのは、昨日第4話を見直したから。あまりにもよくできている。今もし第4話について書くとしたら、だいぶ別の書き方をするだろうな、と。これからも、こういうことが続くし、それならいっそ言及してしまおうと思うに至りました。4話を含め中間点までの伏線は、適宜(気づけた分は)拾っていけたら。
ソに助けを求めるヘス
ジョンがヨにうっかり「ヘスの茶で陛下の容態落ち着いてるはず」と漏らしたことにより、謀反派皇子たちにも本格的に追いかけられるヘス。唯一、皇帝の容態を知る人物なのでね。ジョンはまっすぐだから、全然謀反に気づいてない…。
ヘスは皇宮でソを探し、会った途端に「陛下が崩御されました」と伝えます。驚くソ。
「息を引き取る直前だったので、今頃…。正胤をつれてこいと言われました。明日、第3皇子様が天徳殿を討つそうです。早く正胤をお連れください」
「なぜそれを知っている?」
「今それは重要ですか?」
ヘスは、ウクから「正胤が自力では連れ戻せない場所にいること」を知らされていて、他に頼む人の余地もなく、一刻を争うので、ソを迷うことなく頼ります。これってウクが誘導したようなものなのだよね。
ウクは「皇位への道に失敗は許されない」って言ってたけど、すごく危険なことやってる。ソに伝われば、自分は殺される可能性だってあるわけだから。そこまでしても、ヘスの「本当の」気持ちを確認したいっていう…。あぁウクよ。
ヘスはウクが自分のために謀反を起こすと聞かされたので、ウクの名前をソに出さない。でも、ソは合評会の日にウクが鎧を隠し着てるのを見ているし、松岳を出る道も塞いだのはウクって知ってるから、ウクが謀反に加担してることにも気づいてる。
ペクアとウヒも動く
暗殺未遂で、ウヒの計画を知ったペクア。二人は宮のひとけのない場所で会話。
「お前がいなければ、皇帝の命を絶っていたのに!」とあえて怒るウヒ。
「陛下を討つために妓女に?本当に恐ろしい女だ。なぜなのだ!何の恨みがあったのだ!」
「…お前の父親が、私の家族を殺した。皆殺しだ。私だけが助かった」
「手首の傷もそのせいか?俺の父のせい?」
それを聞き、無理やりウヒを抱きしめるペクア。
「すまない。代わりに謝る。すまない。あの人の息子ですまない…」
ペクアはやはり一番オーソドックスな皇子っぽい気がする。
あと、ここでウヒは暗殺の話はしたけど、後百済の皇女って話まではしていません。
「お前に気づいた者はいない。全て忘れて、俺と一緒にいないか?」
とペクアは出て行こうとするウヒを止めていたら、ヘスとソが。
ヘスはウヒが後百済出身っていうことを知っていて、道が塞がれちゃったので、ウヒにほかに松岳を出る方法がないか聞く。ヘスもペクアもウヒを「この子は信じられる」というので、ソもウヒを頼ることに。ウヒは皇帝が亡くなったことに大ショックを受けつつも、ペクアと共に正胤を連れ戻すため、後百済へ向かいます。
ソはここで、ヨだけでなく、ウクも明日の謀反を起こすと明言。ヘスはソが知ってることに驚きます。
夜、後百済までの道中。正体をお互い明かせなかったペクアとウヒですが、そこは二人ともとがめない。
「俺は楽師、お前は妓女だったら、どうなっていたか。だったら俺たち今とは違う関係だったか?」ってペクアは言うんだけども、この二人の恋路は本当にそれぞれの立場が邪魔しているのだよなぁ。何度も言うが、本当に皇子様だし、お姫様なんだよ、この人たちは。「明日になれば、もう会うこともない」とかキスしたりしてさ。
「俺もウクを死なせたくない」
空いた王座を見つめるヘスとソ。ソが天徳殿に入れるのは、皇帝が「ソを頼む」とジモン、大将軍に言ったから、特別扱い…でいいのかな。
「皆、命をかける座だ。お前はいやか?」
「あの座を守ろうと陛下はオ尚宮を捨て、皇子様は兄弟と戦わねば…恐ろしい座です。明日戦うとしても、怪我はさせませんよね?」
「ウクが心配か?姻戚なのだな。なぜ私の元にきた?見ていればいいのに」
「私のためだと言われました。私が追い出されても、何もできず腹が立った、と。救えもせず放っておいたようで、力をつけたくなったのだ、と」
「そうか。俺も同じだ」
「陛下に言われました。道理にしたがって生きろと。だから正胤の味方になりますが、第8皇子様がけがをされたら、私にとっても一生傷になります」
「わかった。自信はないが努力する。俺もウクを死なせたくない」
ヘスは、オ尚宮の一件で、人が傷つくこと、命が奪われることに、とても敏感になっています。ウクにもし怪我やそれ以上のことが起これば、立ち直れない。だから、ソに頼む。正胤帰還をソに頼んだのは、ウクのためでもあり、自分のためでもある。
またソも、ウクとは関係悪化の一方だけど、もともと他の皇子よりは関係が近かったんですよね。二人は同い年で、第1話とかだとウクはソを気にかけてた。ソも松岳に戻った当初はウクの家にいたくらいだし。だから、なんだかんだでソはウクを憎んでいない。まだ。
「俺が怪我をするかもしれないが、心配はしないのか?」と聞くソですが、ヘスはソが皇帝になることを知ってるので、大丈夫だと、はっきり言う。
「絶対死なないような人も、いつかは死ぬ。だが、お前にそういわれると不死身になった気がする」
ワンソとウクが激しくぶつかる
いよいよ謀反の時。ヨとウクは皇帝のいる天徳殿へ兵を引き連れ参上します。
「妙に静かだ。まるで我々を待っているかのようだ」といぶかしがるワンヨ。
「皇軍の大半は皇太子と出た故、兵力は残ってません」と安心させようとするウク。
出撃直前、ウクはヨに話を切り出します。
ウク:「もし第4皇子ソが我々を止めたら、息の根を止めてください」
ヨ:「頼まなくともよい。あやつは必ず殺す」
あの高貴だったウクがここまで言うってびっくりしかないんだけど、ウクは本気で思ってるんだよね(ソは「ウクに死んでほしくない」って言ってるのに)。ヨもソに死んでほしいと思ってる。
ウクに「俺たちは案外合う」って言ったヨの先見の明がすごい(笑)。
門をくぐり天徳殿へ向かうと、ソ、大将軍と兵たちが待ち構えています。
ウクはヘスが遠くで見ていることに気づき、「ヘスはソに謀反のこと言ったんだな」と悟る。一回静かにうつむいたあと、前を向き直したときのウクの顔が本当に憎悪と怒りに震えてるんです。スイッチが入る。このあたりの細かい芝居もすごいです。
「謀反だ」「いや天徳殿を封じた本当の理由を教えろ」とか将軍とヨは言い合いますが、ヨが刀を抜くのをきっかけに、ウクがソに斬りかかっていく。
ドラマ初期に、こんなウクの姿を想像できただろうか。否。
Moon Lovers: Scarlet Heart Ryeo - Ep 13 [crown Prince Moo shall be king!]
もうね、このシーンは超凄いですよ。とんでもないやり合いです。
ワンソが武術に長けてるのは一目でわかるんだけど、ウクが明らかにソを殺しにいってる。気迫が半端ない。憎くて仕方ない感じ。ソはヘスから「ウクに怪我させないで」って言われてることもあり、ひたすら応戦してる感じですね。
撮り方とかも、カッコいいんだよなー。
そんな中、突如押し寄せる皇軍の波。正胤とペクアが皇宮に戻ります。
「ウク、早く天徳殿へ」と焦るヨの首に、静かに刀をあてるウク。
「今更、裏切るのか」
「味方ではないゆえ、裏切りでもありません」
「お前の計画はウクから聞いていた。連絡を受けて戻った。ウクが最大の功臣だ」と言う正胤。事情を理解したソは、「そういうことかよ」って感じでニヤっとしてますね。ヘスは遠くで事の展開に驚いている。
ウクは正胤たちが大挙してきても、全く驚いていないんだよね。ウクの裏切り人生が止まらない。
正胤が到着したところで、ジモンが登場。正式に皇帝崩御と、正胤の譲位を発表。
新皇帝が生まれます。
譲位が確定するまでは、緊張の連続ですね。
ソを殺しにかかるウクの顔もヤバいんだけど、完璧な皇帝を目指すウクがヨを裏切る顔もヤバい。そして、誰よりも早く新皇帝に挨拶してる顔もヤバい。とにかく場面を回すカンハヌルがヤバい(ファンなので許してくれ)。すんごいやつれた顔つきしてて、リアル。というか、実際このシーンは大変だったんだろうな…。
正胤は心の準備が整わない中で、譲位を受けた感じですね。「アボジ!」って言った時の戸惑いね。
皇后ユ氏は、なんだかんだで愛していた皇帝が死に、ヨは逆賊になるとソからこの前の晩に聞かされ、一夜にして白髪に。
皇帝が亡くなって純粋に悲しみを表した皇子は、ワンソ、正胤、ペクア、ジョンですかね。
ヨンファは皇帝の亡骸を見つめながら「皇位をとってやる!」って野心を燃やすナレが入るんだけど、ウクもたぶん同じこと思ってますね。ただでさえファンボ家は皇帝のせいで酷い目にあってるし、思うところありまくると思う。
ソは皇帝が亡くなったその日に直接喪に服して涙。
ジモンから、皇帝の最期の言葉「”浮生”、人生ははかなく、はかなく、あっという間に過ぎ去る」を聞く。
亡くなった皇帝に対面するウク、ウォン、ジョン、ヨンファ。
カーテン越しに見せてるのが上手い。ウクの表情をよく見せず、この人の心情的な謎を残します。裏切り者を裏切ったウクは、ここでいま何を考えているのか想像させる。他の3人はセリフかナレが入ってます。
ジョンは「アボジ!」と素直に泣く。末っ子は両親に愛されてたんだよなぁ。
ウンは妻スンドクに、「新皇帝が生まれる時には、皇位を危ぶまれないよう兄弟や甥が殺される」って言われて、皇宮には来ません。ウンはスンドクに「一緒に生きるぞ!」とか、ものすごいフラグをたててます(泣)。
何故ヘスはウクに「遠くで一緒に暮らそう」と言ったのか
ウクの言う「別の問題」とは何なのか
譲位が確定したあと、ヘスとウクは話します。このシーンは濃すぎる。会話の内容もさることながら、ヘスとウクの表情が微妙にどんどん変わるんです。心がかなり動いてる。顔のアップのカットでつないでいて、かなり見ごたえがあります。ふたりの分岐点になるシーンです。せりふを書き起こしましたが、実際映像で見ると本当にすごい。
「皇太子の味方なのに、なぜ嘘をおっしゃったのですか?わざとですね?私を試した」
「そしてお前はソについた」
「…まさか、第4皇子様を殺す気で?」
「皇帝になるのは本心だ。邪魔者は早くに消すに限る」
「私が…私のせいでオ尚宮が亡くなり、苦しんだと知りながら。私を利用して殺害を?変わりましたね。私が知る皇子様ではありません」
「お前こそなぜ真実を隠した。陛下が崩御したことだ…お前は私が死んでも平気なのか?」
「正胤を新皇帝にするよう、陛下に頼まれました。それが道理でした。私には逆らえません。それに…第4皇子様が皇子様を傷つけぬと約束をしてくださったのです」
「ソに私の命を乞うたのか」
セリフごとに二人ともどんどん表情がかわるんですが、まずヘスはウクを責めつつ、ソ殺害も考えていたウクの話に呆然、オ尚宮のくだりで涙声、それでもウクに状況を理解してもらおうと必死に説明しています。ここではまだ、ウクに気持ちがある。
一方ウクは、ソ側についたことを責め、かつ「皇帝になる気持ちは本当」とソの殺害意思を否定しない時に表情を作り直してる。覚悟の上でやってる。ヘスが嘘をついたことを責め、「私が死んでもよかったのか?」というところでは悲しくなってる。更に、ソに手加減するようにヘスが頼んだことを知った時は、驚きながら、なんとも言えない負けた顔になります。
「ソに私の命を乞うたのか」
さらに会話は続きます。
「以前、おっしゃいましたね。松岳を去って暮らそうと。今ならできます。新皇帝なら許されます」
「だとしても、別の問題が起きる。他に道はない」
「私のために皇帝になると…皇子様は自分を欺いています。もう、以前の気持ちでは皇子様には会えません。距離を置きたいです」
あとずさっていくヘス。
「ソがいるからか?」
「…一瞬でも、私の心に確信をもったことはないのですか?私を心から信じてくれたことは?」
「お前を取り戻す」
「簡単ではありません」
別々の方向に歩いていく二人。
ここの会話がさらにすごくて、まずヘスはウクが変わっちゃったのがわかってて、「遠くで一緒に暮らそう」って言ってるんです。これ最初見た時、全然意味がわからなかった。ヘスはウクに試されたことを怒ってるので、ウクを試すことはしないはず。カマかけではない。でもワンソを殺そうとまでした人に何故こんなこと言うんだろう、と。
「自分を助けられなかったからウクは変わった」っていう思いがあるにしても。
もう、これは答えがないんですけど(原作読めばわかるのかな)、色々考えるに、たぶんヘスはオ尚宮と同じことをしようとしたんじゃないかと思うんですよね。
オ尚宮は、ソとウクに挟まれたヘスの身を案じて、「一緒に故郷に帰ろう」と誘っていました。それを断ったヘスは、後にものすごく後悔する。
「以前、おっしゃいましたね。松岳を去って暮らそうと」
で、いま目の前にいるウクは、自分の為に皇位を狙い、かなり危険なことをするようになっていて、ここで引き返さないと命が危ない。だから誘ってる。ソは兄弟殺しをする皇帝・光宗になることもわかってるので、尚更心配なはず。少しウクの近くに寄りながら、外に出ることを誘う。
でもウクに速攻で断られて、「あぁもうこれ、私のためとかじゃないな」って気づいた挙句に、ソとの間をまだ疑われる。ヘスはかなりウクを想ってここまで過ごしてきたのに、全く信じてもらえてない。だから「私の気持ちを信じてくれたことは?」ってほとんど泣く、の流れです。
ヘスはここに至るまでウクを想い続けてきたのが、この会話で気持ちが変わったんですね。勝手に思い込んだり、推測でじゃなくて、きちんと直接話を聞いて、自分でちゃんと判断してウクから離れます。この心の導線づくりはすごいと思った。
ヘスは自分の命が脅かされ、宮を追い出されても、ウクを想っていた(12話で再会した時も「会いたかった」と発言)。ウクを信じていたから。ウクのことだから、何か理由があるのだろう、と思ってたはず。
それで、今回ここまでウクの為にヘスは頑張ったけど、嘘をつかれたどころか、信じてもくれない。「今までの私たちってなんだったの?」だよ。離れるしかないです。
さらにわからなかったのは、「一緒に遠くで暮らそう」と言われたウクは食い気味で、考える余地もなく断り、「別の問題が起きる」と。皇位を選んだのだな、っていうのはわかるにしても、返事が早すぎる。全く迷ってない。
確かに、ワンヨはまだ囚われの身で、ウクも皇位をねらう途中だけど、ヘスが自分を想ってくれている発言に心が一切動かないのは何故なのか。ヘスに気持ちがあるのは明らかなのに。
ウクがヘスの誘いを断る前に、表情がその直前に変化したのは「ソに私の命を乞うたのか」と言うところです。ここで気持ちが大きく揺れている。この顔のままヘスの誘いを断っています。つまり「別の問題」はワンソなんです。
以下、ずっと先に判明するネタバレです!
この時ウクは、少なくともヘスが「ソは皇帝になる」と思っていることに、気づいています。
その発端はヘスが「ワンソに気をつけて。彼のゆく手を阻んではいけない。さもないと、皆死ぬ」と警告したから(9話)。ウクはその言葉を反芻しているんだけど、彼は賢く察しがよい。そして、その言葉を警告としてではなく、ソへの嫉妬の根にしてしまう。
ウクがソへの嫉妬をあらわにしだしたのは、やはり雨乞い成功からだと思うんだけど、ヘスの警告を聞いたあとから本格化し(警告は9話で、10話から本格化。しかもウクにはできなかった「ヘスを宮から出す」ことをソは簡単にやってのけた)、ヨにソへの対抗心もすぐに気づかれている。「婚姻したい相手がいる」って言って皇帝からOKをもらった時も(11話)、なんか変な感じというか、複雑な表情をしてるんです。居心地悪い感じ。晴れ晴れしてない。
いつ、ワンソの将来にはっきり気づいたかは分からないけど、この時にはもう気づいているはず。ウクはこの1年ずっと皇宮でへスのことを思って生きてきたわけで、たぶんこの結論にかなり確信を持ってるんですよね。
(追記:改めて考えると、ヘスの警告のあとすぐに察したと言っていい気がする)
(追々記:いや、雨乞い大成功後にヘスが顔面蒼白でテンパったのを見た時点で、ウクはかなり反応してるんですよね…)
ウクにも元々野心はあったけど、それにしたって、殺したいと思うほどワンソに嫉妬するのも、「完璧な皇帝」になることに超こだわってるのも、この理由がないと納得いかないのだよ。皇帝になっても、すぐワンソに皇位を奪われるようじゃ意味がない。
「お前を取り戻す」っていうのは、ヘスが自分を能力的にソよりも下に見てるっていうことを挽回したいっていうのもあるのだと思います。ワンソを今回、本気で殺しにかかってるのも、こういう事情があるなら行動的に納得できる。
ウクは元々罪悪感を持ちやすい性格です。ヘスにプロポーズした時は「眠ることさえ罪だと思っていた」と言っています。とても真面目なのです。
そういうウクはヘスと出会ってから、自分のダメさを幾度となく痛感しています。ヘスがヨンファに叩かれた時も、ヘスに対しての恋心を自覚した時も。「愛してる」と伝えないまま夫人を亡くし、ヘスが皇帝との婚姻危機で直接は助けられなかった。罪悪感を重ねています。
その挙句に、(本意でないにしろ)ヘスを見捨てるっていうかなりひどい仕打ちをした。自分は許されないだろうとどこかで思ってる。憎まれても仕方ないし、心底申し訳ないと思ってる(「これ以上申し訳ないと思わせないで」と涙目になるほどに)。
ここでヘスの「私の気持ちを信じてくれないのか?」という問いに、Yes/Noで答えないのはそういう理由もあるはず。そのかわりに出るのが「お前を取り戻す」。
皇位獲得は、とにかく自分の頑張り次第です(とウクは思っています)。
ヘスに「距離を置きたい」と言われても、心揺らがずにヘスと別の方向を歩いていったウクの心情は、まさに「他に道はない」。
ヘスと田舎に引っ込んだところで、ヘスには罪悪感と疑いを持ち続け、ソには嫉妬し続ける。ヨンファだってまた何をやらかすかもわからない。ここまできたら、皇位を狙うしか道はないのです。せめて、ヘスが皇帝になると思っているワンソに、負けるわけにはいかない。
(ヘスに言った「大切な人を守るためには皇位が必要」という言葉も嘘ではないと思います。ウクには重層的な理由があります)
ヘスは、ウクを守りたくて、「ソに気を気を付けろ」と警告し、今回はソに助けを求めた。良かれと思ってやったことが、ウクの暗黒面に火をつける結果になっています。あぁつらい…。
Moon Lovers: Scarlet Heart Ryeo - Ep 13 [It won't be easy] Wook & Hae Soo
「お前なら、許さなくとも理解してくれそうで」
逆賊として逃げるヨを崖の上まで追い詰める、ソ、ウク、兵士たち。ジョンも駆けつけます。ウクは弓で殺そうとしますが、「獣じゃない」とソが止める。ヨの尊厳を守ろうとします。また、ジョンが「説得する」と言うと、「お前の兄貴だろ?最後まで相手ができるか?」と止める。ジョンを想ってのことですね。
ソがヨと剣でやりあいます。ここも、すごくカッコいいシーンです。
「もう諦めろ」と言うソに、「お前なら諦められるか?」ってヨが聞き返すのが印象的。ヨは皇位を得るためだけに生きてきたんですよね。
で、ヨがソに斬られて、崖から落ちてします。自分がしたこととはいえ、ショックを隠しきれないソ。
そして、兄が兄を殺す場面を見てしまうジョン…。
このシーンのワンヨ、というかホン・ジョンヒョン素晴らしいよね。
Moon Lovers: Scarlet Heart Ryeo - Ep 13 [Prince Yo falls]
ソは皇宮にもどり、ヘスを呼び出す。
「お前なら、許さなくとも、理解してくれそうで…、俺は…兄上を斬った…」
泣くソの肩を優しくたたき、そのまま抱きしめるヘス。
色々ありすぎる13話ですが…。ソ、ウク、ヘス、ヨが動く上に皇帝まで変わる回だけど、個人的にはやはり、ウクがはっきり別の道を行くことを示したウク回だと思いますね。
ヘスにとっても転換期。誰も殺さなかったものの卑怯な手を使ったウクとは別れ、兄を斬ったけれど、真っすぐなままのソを抱きしめてます。
あと特記すべきことは、皇帝が亡くなったことで、皇后ユ氏と皇后ファンボ氏のパワーバランスが変わる。
ワンソ母は皇帝が最期にオ尚宮の名前を呼び、ヨは謀反で、かなり取り乱します。ヨが崖から落ちたことを聞いて、ジョンに泣いて抱きつくんだけど、これは本当に悲しんでますね。
ウク母は、皇帝が亡くなるや否や、強気な面が出てくる。ファンボ一族はユ氏のせいで辛酸をなめてきたんだけど、それも皇帝の力があってこそなんですよね。皇后ファンボ氏もまた、違う面を見せていく。
今回は、どこまで書くか…っていうか「私どこまでウクの心情わかってるの?」っていうところで、相当時間がかかってしまったエントリでした。ここからウクは「悪人」になるのですが、その間もウクが根こそぎ変わってしまったようには見えなかったので、ウクの心情を考えるのにとても大事な回。
本当はカンハヌルとか、監督とか脚本家の詳細インタビューをやってほしいんだけど、ないのだよね(…ないよね?)。他の役者さんたちは、最終回終わった後に何かしら声をあげてるけど、カンハヌルはこのドラマに関して何の声明もないし。
まぁ色んな事情があるんだろうけど、ウクは様々な理由を抱えて人としての一線を越えていくので、その理由を表に出してしまうと、どうしても同情してしまう。
でも、ウクは同情を得てはいけない人物なのだよね。だからこその沈黙なのかな…。
まぁ私はハヌル氏の超にわかファンなので、彼のスタンス自体よくわかってないんだけど(笑)。いつも、そうなのかな…。
そういう訳でウクのことをづらづら書いたけど、結局想像でしかないです(ウクの心情が今後もハッキリ明かされることはほどんどない)。
ただ、いいお芝居をしてることは、間違いないです。
ひゃー、今日はKN第17話だよ。もう、最終回に絶対追いつきそうにない…。
早く最終回まで、振り返って、平穏な毎日を取り戻したい(笑)。
初見の感想13話までの感想。いい線いってるところと、見当違いが混在。