お出かけ手帳

誤字脱字病。書いては直す人生。

2021年8・9・10月 印象に残った作品

☆それなりにネタバレしています☆

 

こんにちは!

あっという間に時は流れ、もう11月…汗。

またもご無沙汰してしまいました汗汗。

 

季節の変わり目に合わせて体調が悪化してしまい、原因も分からぬままだったのですが、先日一念発起して新たに病院に行ったところ軽い橋本病(甲状腺)と逆流性食道炎と診断されました。今まで血液検査で甲状腺は一応見たりもしていたのですが、血液検査だけではわからないケースもあるとのこと。もっと早く分かればこんなに何年も無為に過ごすことも無かったかも…と思ったりもしますが、わかっただけでもまずはよしとしよう(いろんな思いを飲み込む)。脳の下垂体が調子悪いかもとのことで、今度MRI検査も受けることになりました。脳か…と思うとビビらずにはいられませんが、全容解明運?は上がってきた気がするので、もう少し頑張ってみようと思います。甲状腺の薬のおかげで、元気度も徐々に上昇しております。

 

そんな3か月の間、一方では、面白い韓国ドラマを複数視聴しておりました。世界規模のヒット作もありましたね。イカゲーム旋風はホントにすごかった~。

 

目次

 

『D.P.-脱走兵追跡官- 』

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とてもよかった!!

今年ベスト級!!!!!!!

 

舞台は2014年、兵役からの脱走兵を追う兵役中の憲兵(D.P.)のお話。テンポよく洗練された脚本、演出、撮影、編集、そして役者陣の演技。とても面白かったです!完成度がかなり高い!Netflixオリジナルのミニドラマシリーズで、50分×6話と、尺的にも見やすいので、あまりドラマを見ない方にもおすすめしたいですね。あらゆる要素が映画的なので、映画好きはきっと気に入る作品だと思います。

 

ただ、面白いといっても、全てが面白可笑しいわけではなく、テーマが兵役と軍での凄惨なイジメ…となっているので、見るのは結構大変でした。軍の生活は過酷きわまりなく、閉鎖的な空間で厳格な上下関係に支配されています。理不尽なしごきやいじめがとにかくキツイ。これが韓国男性の義務なのだよね…。逃げ出したくなる方が自然な人間の心理だと思います(だからこそ、「自らも兵役中である主人公がなぜ脱走兵を必死に追うのか」という動機を序盤にハッキリと描く構成が見事だった)。バディものならではのコミカルな掛け合いに助けられつつも、全編に流れる(そして後半に行けば行くほど増大する)痛烈な問いかけが圧倒的なパワーを放っていました。イジメ描写がかなり強烈なので、素晴らしい作品ではありますが、もしそういった映像を見たくない方は避けた方がいい作品でもあります。

 

俳優陣がまず本当に良くて。主人公であるジュノを演じるチョン・ヘインさんの硬派な感じがめちゃくちゃハマっていていいし、ジュノの相棒役のク・ギョファンさんもいい!とてもいい!癖ツヨな役が多い方ですが、また新境地な癖ツヨで大変魅力的でした。

チョ・ヒョンチョルさんもかなりすごいことになっているし(もう一人の主役といっていいと思います)、本当に皆さん最高なんですが、驚いたのはずるっこい憲兵隊長を演じていたヒョン・ボンシクさんが実際にはまだ30代であるということ。どう見ても50代でしょあれは。配信開始直後にTwitterのタイムラインに「ヒョン・ボンシクさんはキム・ソンギュンさんやソン・ソックさんよりも年下」と流れてきたのですが、あまりに信じられずに無視してしまいました笑。人ってあまりに信じられない事柄にぶち当たると無視してしまうんですね…苦笑。実年齢に囚われずに配役してるのは素晴らしい。

 

作中いろんなパターンの脱走が描かれますが、それとは別に印象に残ったのは、主人公ジュノのお母さん。彼女は夫(ジュノ父)から長年暴力を受け続けているのに、離婚せずにずっと一緒にいる人なんですよね。もう早々に子供を連れて逃げた方がよかったでは?って思うんだけど、お母さんは逃げずに耐えている。脱走兵と違って逃げても罰せられることはないのに。「逃げる」という行為にはいかにエネルギーが必要か、ということを別の形で伝えているキャラクターだと思いました。また、逃げたいという思いだけでは逃げることができなそうだ、ということも。

 

先日Netflixで『メイドの手帖』というドラマを見たんですが、これも「モラハラ暴力夫から逃げることがいかに難しいか」が描かれていました。いったん逃げるのに成功したとしても少なくとも数回は夫の元に戻ってしまうことが多いそうです。

実は私の友人もモラハラ暴力夫から逃げて、公的なものを含め色々な支援も受けていたのに、結局夫とは離婚しない選択をしていました(別居はしていますが)。かなり驚いたんですが、これは本人の意志の問題だけとも言えないんですね。何度でも周囲の人が支援をしなければ、逃亡や完全別離は達成できないようです。

 

話が少しずれてしまいましたが。

脱走兵の場合は夫から逃げることとは違うけれども、逃げている限り少なくとも社会的に生きることは難しい、ということが作中描かれます。逃亡犯なので普通に働くことも、自分名義のクレジットカードや携帯電話を使うこともできません(居所がバレてしまうので)。彼らはそれでも「逃げる」ことを選択肢するわけですが、ギリギリまで耐えているので、「逃げる」瞬間が訪れた時にはもう既に最悪の事態が起きたあとになってしまっているケースもあるんですよね…。実話をベースにしていることもあり、衝撃が大きかったです。変化を起こすには、あそこまでしないといけないのか。それを避ける道はなかったのか。

 

作中で「入隊することがなければ、脱走することもなかった」ってセリフが出てくるんですが、そもそも普通の一般男性が突然兵士にならなければならないっていうのは大変すぎる。朝鮮半島は休戦中とはいえ戦争が終わっていない状況で、そのせいで兵役制度もなくせないのでしょうが、その戦争がなぜ起きたのかっていうことに日本も関わっているので、暗澹たる気持ちになってしまいました。

 

 

『ホテルデルーナ』

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こちらも面白かったです!

最初は予想以上にコメディタッチだったので、「見る前に勝手に構えすぎていたかな」って思って思ったりしたけれど、死を描いているからにはやっぱり押さえるところはしっかり押さえていて、とても味わい深く余韻が残る素敵なドラマでした。

 

誰もが全ての気持ちを精算して死を迎えるのは到底難しく、何かしら思い残してこの世を去っているわけで、そういった「残したままの思い」を誠実に描いていましたね。特に、犯罪によって亡くなった方の無念さ、怒り、悲しみは計り知れず、印象に残るエピソードも多かったです。

 

また、様々な死者を通して、悔いなく生きる大切さを描いているだけでなく、「思い残してもいいんだよ」とも言ってくれているようで、ほっとした気持ちにもなりました。

 

あとは、IUさんが心に傷を抱えたまま千年以上生きている、という設定なんですが、物語の終盤に、彼女が「過去に起きた出来事と、今起きている出来事を、混同させずに選択することができるか」みたいな展開になっていて、これは百年も生きることがたぶんない私たちにもすごく当てはまることだなと思いました。「思い残し」というテーマ以上に、個人的には胸に響きました。トラウマを乗り越えるって本当に勇気がいるし、大変なことですよね。

 

IUさんの演技がとにかく素晴らしく、コミカルとシリアスと若さと老成を縦横無尽に表現されていました。ファッションも素敵。

『D.P.』で重要な役どころだったチョ・ヒョンチョルさんも出演されています。こちらは完全なるお坊ちゃまって感じで、生まれ育ちまでが全然違って見えるので、俳優さんって本当にすごい。順番的にはこっちを先に見ていたので、『D.P.』での素朴な佇まいには驚いたし(しかもシリーズ中に体重や顔つきまで変化していてすごい)、なんなら今まで『コインロッカーの女』とか『マルモイ』とか他の出演作も見ていたのに、同一人物とは全く気づきませんでした汗汗。

 

本当に良作なので多くの方に見て欲しいのですが、日本では配信がU-NEXTだけのようで残念。アメリカでリメイク決定だそうで、そちらも楽しみです。

 

『賢い医者生活2』

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シーズン1から地続きのスタート。今回も凄腕医師の良心がこれでもかと描かれていて、期待を裏切らない心が温まる物語でしたね~。医師役の皆さんはもちろん、患者やその家族を演じる俳優さんたちがとにかく素晴らしく、大満足の人間ドラマでした。

 

しいて…本当にしいて言うと、恋愛パートがちょっと多すぎだし(私にとっては)、恋愛関係に転ずるきっかけが必要だったとしてもイクチュンが暴漢に襲われるって無理やりすぎる展開だとは正直思いましたが(しかも本人がそのことに対してどう思っているのか描かないのがね。個人に対する恨みの犯行じゃないし、根に持たなそうな性格だけども…)、わたしゃ野暮なことはこれ以上言いません笑。みんなが幸せなら、もっと言えばミナ先生が幸せならOKです笑!

 

イカゲーム』

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いや~すごいドラマでしたね。面白かった。社会の縮図をこれでもかというほど暴力的に、デスゲームを通して描いていて、練りに練った脚本でした。テンポがいいのがまたよかったです。美術や音楽も素晴らしかったですね。俳優さんたちのお芝居も言うことなし。

 

想像以上に、あまりに人もがバタバタ死んでしまうので、「これは教育上悪い!ティーンには見せたくない!」と思ってしまいましたが笑、もし今自分がディーンだったら、とんでもなくハマっていたと思います。刺激がめちゃくちゃ強いけど、リアルがあるからこそ惹きつけられるというか。

 

イカゲーム』をきっかけにデスゲーム系の物語を欲してしまい笑、『カイジ』『ライアーゲーム』『今際の国のアリス』も見てみました。が、これらは個人の意志が問題になっている場合が多く、かといってゲームの参加自体は主体的な選択でなかったり(特にカイジと今際)、結構受け身な感じが多かったです。『イカゲーム』は自らの意志でゲームに参加しているが、その理由は(ざっくりと言えば)社会のありかたに大きく問題があったから、ということを強く打ち出している点で、2021年という時代においては真実味が増していました。きつい現実が痛いほどに織り込まれていた。世界的にヒットしているということは、それだけこういった状況が普遍的に起きてしまっているということでしょうね。

 

きっと作られるであろうシーズン2では、赤い服の人たちの詳細が知りたいです。彼らも搾取される側ですよね。

あと、あの適応力が異常に高い有能すぎる刑事さんには生きていてほしい…。

 

だいにぐるーぷ『無人島からの脱出』


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あとはドラマとかではないんですが、YouTubeで「だいにぐるーぷ」っていう若い男性たちがやっているチャンネルをたまたま見始めたら面白かったので、ちょっと書いてみます。基本的に男性たちの妙なワイワイなかんじは苦手なんですが(ごめんね)、この人達はかなり企画を練っていて面白かった。若者はこういうのを見てるのですね。そりゃテレビ見なくなるわね。

 

地元の町やアメリカでの一週間壮大な鬼ごっこをする企画とか、夕張の心霊スポットを巡りつつ市の財政破綻の真相を追う企画も面白かったけれど、無人島を脱出する企画がかなりドキリとして印象に残りました。

3人ずつ高学歴チームと中卒チームに分かれて、それぞれ無人島からの脱出を目指すっていうシンプルな企画ではあるんだけれども、何が面白いかというと、参加者の一人がタバコを持ち込んだことによって、タバコがチーム同士の通貨のようになっていくんです。で、タバコだけで搾取する側とされる側の構図がどんどん強化されてしまう。「経済をまわす」って去年今年はよく聞くフレーズですが、「経済をまわす」ことが根本的に誰にとって得なのかが、身構えさせずにバラエティという形で表現されていました。タバコ経済はまじでこわい。

 

2年前の動画作品だし、かなり視聴者数も多いので、もうみんなとっくに知ってるよ…って感じなのかもしれないですが、面白かったので書きました笑。構成力と実行力の高さに驚きました。

 

 

…そんな感じで韓国ドラマをはじめ、面白いコンテンツをたくさん摂取した3か月でした。あと、普段ほとんど漫画は読まないのですが、全話無料公開されていた『ゴールデンカムイ』はめちゃくちゃハマって読んでいました。今は毎週の連載が待ち遠しい…。朝ドラ『おかえりモネ』、時々しか見られなかったけれど、とてもよかった。あの物語で救われる人は多くいると思う。

 

最近も世は色々あり、厭世的な気分になることも多いですが、色々なもので気を紛らわせながらも乗り切っていこうと思います。

また季節の変わり目っぽいので、みなさまお体ご自愛くださいませ。

もう冬か~!