お出かけ手帳

誤字脱字病。書いては直す人生。麗の最終回記事が完結しました!(2020.10.27)

2021年3月 印象に残った作品

 

☆けっこうネタバレしています☆

 

こんにちは!

3月が終わったどころか4月も半分過ぎてしまいましたね汗。こうして今年も終わっていくのか笑。

 

3月は、相変わらず健康研究を続けておりました。血液検査で亜鉛欠乏気味であることがわかり、補充治療なども始めたのですが、季節の変わり目ということもあってか、体調は下り坂に…。映画をたくさん見に行こうと目論んでいたのにな。

そして体調が下り坂すぎて色々やけくそな気分になってしまい、4月はひたすらにテレビドラマを見続けて現実逃避に勤しんでいます。前はやけくそな気分になってもドラマを見る余裕がなかったので、実は元気になってきているということなのかもしれません。自分の体がいまだ謎すぎます(苦笑)。

 

目次

 

ドラマ『SKYキャッスル』

社会派な骨太さとエンターテイメントを両立させた、大変に面白い作品でした!

見るのにエネルギーがいるけど、おすすめです!

mikanmikan00.hatenablog.com

 

ドラマ『その女、ジルバ』

f:id:mikanmikan00:20210330183537p:plain

しみました。

「シジュー」になった独身女性が、人生を変えるべく40歳以上のホステスしかいないバーで働き始める…というお話です。中年以降の女性の生き方を、後ろ向きすぎず、前向きすぎず、程よい加減で描いていて、優しさと元気をもらえるドラマでした。でまた、役者さんたちが、みんな素敵なんですよね。主演の池脇千鶴さんは、年齢ごとに、渾身のお芝居を残している方ですが、この作品もそのうちの一つになるでしょうね。特に序盤では、驚くほど元気なく地味に過ごしてきた人の空気感が出ていて、しかもわざとらしさもなく、よくやってくれたな、すごい女優さんだな、と思いました。真飛聖さんと江口のりこさんが同僚役なんですが、この3人が自分のようであり、友人のようであり…思い出しただけで涙が出そう。そして、ベテラン女優さん達の輝きがまぶしくてまた涙…。草笛さん、美しすぎるよ。

様々な年代の女性の小さな個人の物語を描きつつ、ブラジル移民、戦中戦後、東日本震災、そしてコロナ…様々な時代の苦難と交差していて、あぁ「一人の一人の人生が長い歴史を作っているんだな」「どんな人生も、自分のこんな人生も、尊いものなんだな」と胸がいっぱいになりました。

 
ドラマ『俺の家の話』

f:id:mikanmikan00:20210331004837p:plain

 面白かった~!

どの回も面白かったけれども、最終回の展開はとても興味深いものでした。話題作だし、放送が終わってだいぶ経つのでラストの展開を書きますが、長瀬智也演じる主人公・寿一が突然亡くなってしまうっていうのは、まぁわかる。悲しいけれど、なるほど、と思う。長瀬さんが表舞台を引退する、という実際の状況とも重なっているのも見事でした。ただ、幽霊となってまで出てきた寿一には、最後まで「自分がなかった」。ここが興味深いし、怖い。彼は死んでもイエの心配をしてるんですよね。長男として寿一は自分よりも役割を優先させる以上に、そもそもの自分がない。彼は家でも能でもプロレスでも役割を与えられた存在でした。

でも、役割がすべて悪いのかというと、そういうことでもない。物語のラストは「幸福な」家族の団らんでした。寿一は死してなお「いただきます」を言う役割を果たし続けます。

家父長制にメスを入れ、従来型の家庭内でケアを要求するだけだった男性側が、ケア要員になるっていうところまでは家族観をアップデートしたけれども、イエ制度自体を壊しはしなかったというか。家族は否定できないし、する必要もないんだけれど、「家長」という存在のある種の空虚さは解決しないままでした。「家族は大切、大事にしよう」という従来のホームドラマのメッセージを込めつつも、家族を背負おうとした主人公が最後はいなくなり家族がまとまる、というイエの苦さも残したのが同時代的で皮肉です。寿一の最期がトゲのように残ります。

 

また、寿一の 母親が最後まで出てこなかったことには、少し驚きました。でも、今まで家庭内で甘える対象だった母親や妻という存在に一切頼らず(写真すら出なかった)、最終回まで駆け抜けたのは一歩前進かも。『ごめんね青春』とかだと、主人公の男性は死んだ母親にめちゃくちゃ甘えてましたもんね笑。今回は、亡き母や妻を大事に思いつつも、自立をはかっているところが新しく感じました。

 

介護や家父長制や、もろもろの時代の問題を盛り盛りに入れ、感覚をアップデートさせながら、全編笑って泣かせる作品に仕上げていたのは本当にすごかったです。長瀬さん、また戻ってきて欲しいですね。

 

映画『ミナリ』

https://eiga.k-img.com/images/movie/94385/photo/da1251630e9dee17/640.jpg?1612162943

面白かったです!

 

驚いたのは、「韓国人家族がアメリカに移民する話」という遠い誰かの物語だと思って見に行ったのに、個人的にすごく親近感が湧いたこと。特に夫婦の様子を見てると、最近では思い出すこともなかった両親の若い頃(私が幼い頃)を思い出したんです。

私の両親は2人とも地方から都会に出てきていて、寄る辺もお金もない中で子育てをしていて、たぶん色々うまくいかなくて、しょっちゅう喧嘩はするし、家は狭いし、お金もないし。母方の祖母(作中と同じく母方のおばあちゃんしかいない)から地元の食材は送ってくるし。おばあちゃんの存在自体が謎だし。「この感じ知ってる」って何度も思いながら見ました。

移民の苦労話というよりも、越境者、開拓者の物語になっていて、世界的に共感を呼んでいるのも納得です。見る者に忘れていた個人的な家族の思い出を呼び起こさせる作品ってすごいな。

 

あとは、結構なネタバレに入りますが(スミマセン)、元気で面白いおばちゃんが、後半に病気になって元気がなくなると、途端に「人の役に立とう」とするんですよね。子守のために、と渡米したのに、料理はしないし、孫そっちのけでテレビでプロレスを見ていたような人だったのに。このおばあちゃんの変化が印象的で、少し謎に感じたところでもありました。

 

でも、お父さんが「役に立たなければ(オスヒヨコのように)捨てられる」と、必死に成功しようとしていたのは、彼が自分にある弱さを危機的なことだと感じていたからで、その危機感がおばあちゃんにも沸き起こったと考えたら、不思議な行動ではないんですよね。

 

戦火を生き抜いたおばあちゃんには、たぶん自分の強さに対する自負があった。体が元気でさえあれば、どうにでもなる。だから、細かいことは気にしないし、どこにいても自分らしくいられる。孫におしっこを飲まされても「面白かった」と言える余裕があった。そんなおばちゃんであっても、身体が弱り、自分のことを自分ですることがままならなくなると、不安になるんですよね。そして人の役に立とうとしてしまう。「人の役に立ちたい」という気持ちには影があるんだなと思いました。何にもできないな…と思う毎日だけども、「人の役に立とう」となんて思わずに、楽しく生きた方がよさそうね、と自分にいいように解釈しましたが笑、あながち間違いでもなさそう。

 

ただ、おばあちゃんが起こした火事があって家族の絆が復活というか、雨降って地固まるの激しいパターンが起きてもいるので、何かやろうとして失敗しても何かは得ている、とも捉えられそうですが…。

 

あと「全てのおばあちゃんに捧ぐ」っていう言葉がエンドロールで出てきて、確かに今まで家父長制の中で長く阻害されて、家族のために犠牲になってきた女性達に対する敬意は絶対的に必要だけど、変におばあちゃんを上げるのは、ともすれば「お父さんじゃなくおばあちゃん」になっちゃう危険性もあるわけで。また、病気の孫の代わりに自分が病気になる(とも取れる描き方)、というのはもう美談にはなってほしくないです。他に犠牲者がでることなく、ただ病気が治ってほしいのよ私は。

 

家族の中で誰が正しいとか偉いとかすごいとかを決める必要はなく、その時々で支え合えばいいわけで、それは作中でお母さんが言っていたことですね(ハン・イェリの演技がすごくよかった)。おばあちゃんも、何もかも背負おうとする婿に「私がミナリを植えておけばいいだけのこと」と言っていたし。お父さんだからといって責任を全て追わなくてもいいし、息子も長男だからといって家族の未来を背負わなくていいんだよってこと。成功を目指して躍起にならなくても私たちに居場所はあるし、生きようとする心さえあれば、またやり直せる。ミナリはそこにある。ラストはあっけないほどだけど、力強いメッセージを感じました。

 

画面作りがとてもきれいで、演技は主要俳優全員が素晴らしく、映画館で見られて嬉しかったです。キリスト教的な見方もできるそうですし(聖人ピーターの存在感。ああいう人はアメリカに確実にいる)、韓国やアメリカの歴史や社会事情も絡んでいるし、重層的に家族を描いた物語でした。

アカデミー賞も何かしらの部門で受賞しそう(制作者も出演者もホントに皆よい仕事をされていました)。意固地なスティーブン・ユアンもよかったし、ユン・ヨジョンも思った以上にいい意味でいつものユン・ヨジョン。彼女はこのおばあちゃん役で既に複数の賞を取っていて、英語での受賞スピーチが毎回とてもカッコいいです。

 

映画はあと、Netflixで見た『詩人の恋』が面白かった。男性が男性に恋をするからこそ発生する圧倒的な切なさ。

 

ではでは!

まだまだ肌寒いのでご自愛くださいませ!