お出かけ手帳

誤字脱字病。書いては直す人生。

2022年9月~12月 印象に残った作品

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あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いいたします!!

 

年も明けて、もはや遠い日のことのようにも感じますが、昨年9月~12月の記録です。

 

今回はここ数年では一番見ていた日本のドラマから!

 

 

日本ドラマ

『鎌倉殿の13人』

面白かった!!戦国、江戸、幕末に比べると、いまいちピンとこない鎌倉時代でしたが、こんなにもダークだったのですね。ちょうどアメリカの麻薬カルテルとかのドラマを見ていたこともあって、すごく興味深かったです。

全然憎まれていないのに、それどころか好ましい人物である場合がほとんどなのに、ただ「その立場にあるから」というだけで近しい存在を殺すしかないってなるのが毎回しんどすぎました。どの人物描写もあざやかでしたが、特に政子は今までの印象が変わるほど、魅力的だったな。実朝も好きでしたね(はっきりと同性愛の感情を描いているのもよかった)。あと井戸に落ちた平知康(でしたっけ?)を頼家が助ける回が三谷さんらしさがよく出ていて面白かったです(「縄のようなものはないが、縄はあったぞ!」みたいなセリフがすごい三谷さんだった笑)。

ここでは拾いきれないほど盛りだくさんだった1年間。素晴らしい大河ドラマでした。

 

こちらのYouTubeチャンネルも合わせて観て、歴史知識の補足をしていました。

詳しくて熱量があって面白いです。『どうする家康』でもお世話になります!

北条政子は鎌倉時代の象徴である~小池栄子さんからお手紙いただきました~ - YouTube

 

『PICU』

秋の日本ドラマで一番安心というか、信頼できる作品作りをしていたな、と個人的に感じたのが『PICU』。とにかくモヤっとするところがなく、丁寧な医療ドラマでした。セリフがとても自然なところも好きで、特に主人公の「優しくて不器用だから親しい人には暴言とも取れることも時に言うけど、やっぱりめちゃいい奴」的なセリフ回しが本当に素晴らしかった。誰にでも書けそうで書けないセリフだな、思うことが結構ありました。大竹しのぶさん(の役)はいいこと言い過ぎな気もしたけれど、彼女がこの作品の良心の柱のひとつになっていたことは間違いないですね。どの病気も怪我もつらいけれど、子どもとなるとまた独特な辛さがあります。

余談ですが、もし『賢い医師生活』を日本でリメイクするとしたら、ジョンソクさんの役は吉沢さんが案外いいのでは?と思っていたのですが、コミカルな表現がうまいし、医師役も似合っていたので、やっぱ結構いいんじゃない?と思いました(異論は認めます笑)。

 

『エルピス-希望、あるいは災い-』

真剣に観ました笑。でも、内容が内容だけに「面白かった!!!!」と両手ばなしで言えないんですよね。作品としてはもちろん素晴らしかったです。

まず、いいなと思ったのは、浅川と岸本の冤罪を追う理由が、個人のエゴから発生していたこと。松本さんの命とか、正義とかは出発点ではないんですよね。チェリーさんが涙ながらに事件をしっかり語るのは1話じゃなくて、色々動き出した後の2話にしてるところが、見てる方としてはスッキリ気持ちよくはないんだけど、納得できる。というか、もう全体的にスッキリはなかなかさせてもらえない構成で、「浅川さん、そりゃないよ…!!」って瞬間がいっぱいあったけれど、この不安定さがやりたいことなんでしょうね。最終的には社会や政治以上に浅川、岸本を通した人間を描くドラマになっていたのも、なるほどと思いました。

参考にした事件の数が多すぎたので、現実を作り物のように感じないようにしたいな、とも感じましたね。でも、浅川さんがアナウンサーとして「真実でないことを伝えてしまった」と悔恨の念を見せるあたりは(原発のこととか)、実際のアナウンサーという職業に付きまとうことなのかなとも思いました。メディアの人の迷いや葛藤はかなり込められていたように感じました。

 

あと、テンポがあまりよくはなく、普段テンポがいい作品をよく見ている自分には驚きのスローな時もありましたが、スローテンポでもこれだけ面白くできるんだな、というのが発見、というか再発見というか。カラオケ歌うだけのシーンとか、こんな流す?って感じだったけど、あの長さだから伝わる空気もある。それは俳優さんたちの力でもありますね。主演のお二人はもちろん、岡部たかしさんがどの回も輝いていました。池津祥子さんもよかったな。

 

『silent』

なんだかんだで、完走しました笑。基本的に恋愛ドラマはあまり興味がないので、全体的にはそんなにハマってないんだけど、時々ずば抜けて素晴らしくて目が離せなくなるシーンがあったんですよね。

個人的にいいなと思ったのは1話と10話だったんですが、全体というよりは、佐倉くんがマイノリティとしての心情を吐露するシーンが突出してよかったです。

 

聞こえないことと比較もできないことですが、私は全身の毛が抜けたことがあり、またいつ抜けるか分からない状況で、作中で描かれた「人と違うことで何をどう感じるか」は切実に共感しました。「人はそんなに悪いことだと思ってない」とか「自分でも結構悪くないと思ってる」とか「周囲に理解があり、ある程度は歩み寄ってくれている」とかあっても、周りの人と全然違うこと自体がどうしよもなく辛くなることがあるんですよね。「○○以外は何も変わらない」と励ましのつもりで言う人も多いですが、○○が変わるだけで本当に全てが変わりますから。コミュニケーションを支える聴力の喪失は、大変なんて言葉では言い表せないほど苦労が多いと想像します。

 

奈々さんメインの回もよかったです。

 

作中で全然共感できないことも結構あって、そのひとつが、紬とミナトが付き合っていたこと(あんなフラれ方かたしたら、私だったら元カレの友達にも会いたくない笑)。第三者が繋いでいる恋愛は大方上手くいかないし、ミナトがかなり尽くすタイプなので見てられなかったです笑。でも個人的に共感できないだけで、世間的にはそれなりにあることかとは思います。

 

それはどうなの?みたいなところがいっぱいある作品で、脚本家の例の発言もどうか思いましたが、若い書き手とスタッフとキャストがこれだけ力を尽くすことができて、視聴者もしっかり反応していたのはよいことですね。

帰還ものとしては興味深いところがあったけど、コミュニケーションについてはもう少し突っ込んでほしかったかな。最終回はかなり内向きな展開だったと思います。あれが今の空気なのでしょう。

 

あとは、『アトムの童』もけっこう面白かったけど、後半がすこし伸びなかったかな…。『梨泰院クラス』や『スタートアップ:夢の扉』を想起させつつも、日曜劇場らしさも随所にあり、かなり工夫はあったと思います。

 

韓国ドラマ

『シスターズ』

今年1番ハマったドラマ。本当に面白かった!

SNS上で仕掛けの部分はかなり議論されましたが、社会的な問題定義の部分はあまり議論されていなかった気がした(気がしました)のは少し残念。特に、最終回後が驚くほど静かだった。この現象は今作に限ったことではありませんが…。

 

mikanmikan00.hatenablog.com

 

『パチンコ』

アメリカ資本ですが、韓国ドラマのくくりに入れます。

原作履修済みで鑑賞。絵作りの細かさに驚愕!時系列の再構成も見事!(構成の上手さは本当に突出していると思う)…なんだけども、どっちかというと、私は原作の時系列がそのままの方が好きでしたね。また、内容を知っているだけに(つらいことが次々に起こる)、一気に見ることはできませんでした^^;1話見たら次に行く前に休憩が必要な感じ。

でも、素晴らしい作品。

特に原作にないシーンがどれもいいです。ただ、そのうちのひとつである関東大震災の描写は、実際にはもっと残酷なものだったと思います(当時の資料などを読むと)。

 

俳優陣の演技も素晴らしく、ユン・ヨジョンさんは何語で演技しても素晴らしいですね。こんなおばあさんに、どこかで会ったことがある気がしてしまいました(最後に出てくる実在のハルモ二たちへのインタビューもよかったです)。主人公ソンジャのお母さん役の方もすごく存在感があって印象に残っています。ソンジャのために白米を手に入れ、ご飯を炊き、食べさせる。その行為にどれほどの想いが詰まっているかが、悲しくなるほど伝わってきました。

若いソンジャ役のキム・ミンハさんも、生きる力がみなぎっていてすごくいいです。原作を読んだ時に「困難に襲われた時、立ち上がり前に進む者がいる一方で、うずくまってしまう者もいる」っていうことをこの物語は真摯に描いているのだな、と感じたのですが、ドラマ版ではそれがハッキリと強調されていて、ソンジャからはもちろん、様々なキャラクターがそのテーマを見せてくれています。イ・ミンホさん演じるハンスは原作にない部分が補完されたことで、より立体的な人物になっていると思います。南果歩さんもすごくよかった!

シーズン4までの予定とのことで、続きが楽しみ。この作品に日本が制作として関わっていないのは残念ですね。

 

ものすごく余談ですが、私は箱根駅伝が好きなんですけど、あれって外国人留学生はチームで1人しか出られないんですよね。で、だいたい、アフリカから走力のある人がスカウトされてくるんですけど、普通に日本で教育を受けて育った外国籍の足の速い学生っていますよね。そういう人は箱根に出られないのかなっていうのは、いつも気になってて、『パチンコ』を見た時にまたこのことを思い出しました。私の時代でさえ、小学校の時点で外国籍の子はクラスに数人いましたから。どのスポーツでもある問題なのかもしれないけれど、特に箱根駅伝とかは学生スポーツなので、もっと多様性があっていいと思いますね。関東の大学とかに限定するのも、やめられたらいいのにな。

 

閑話休題

 

その他は、『ナルコの神』(とあるどんでん返しに驚愕)と、『シュルプ』(時代劇で現代的なテーマを扱っているのが面白い)も印象に残っています。あ、『ペーパーハウス・コリア』も面白かった。

この2,、3か月は、韓国ドラマ界はわりと静か?な感じがするので、2023年はまた大作、傑作に出会えることを期待しています!

 

その他のドラマ

『セヴェランス』(アメリカ)

とても面白かった!事前知識が全くない状態で見たのですが、面白すぎて「なにこれ!?」ってなりました。

あまりに分業化が進んでしまい、自分が何の業務をしているのかさえわからないっていうのは、ないようでいつかある気もして、ひたすらに怖いです。ライフワークバランスは大切ですが、完全なオンオフのスイッチを設けないとバランスが取れないような仕事って一体…。続きが気になります!

 

映画

『NOPE』

とても面白かった!技術と才能と実行力があるからこそできる、変則的にも見える、でも確かな構成。

 

『すずめの戸締り』

なぜスズメちゃんはあの男の子を好きになるのかっていうのは正直よくわからないんだけど、作り手には強い思いがあるのだな、と感じた。賛否があると聞きますが、私は方向性が逆の過去作よりもいいと思いました(『天気の子』が好きだった人には今作は合わないかもしれません)。よい映画体験ができました。

 

その他、配信で観て面白かったのは、『燃ゆる女の肖像』、『聖なる証』、『13人の命』、『アテナ』、『もう終わりにしよう。』で、本当ならどれも映画館で観たかったですね。

 

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2022年は個人の転機が2つありました。

 

ひとつは、脱毛症が落ち着き、ウィッグも帽子もなく外出できるようになったこと。頭に常に何かをのせるって、様々なストレスの中では小さいストレスかもしれないけど(ここでは毛がないことに対する心理的ダメージとは分けて考えます)、小さいストレスこそ続くとすごいデカいストレスになります。この先どうなるかはわからないけど、とりあえず何も頭にのせなくて済む今を有難く過ごそうと思います。

 

ふたつめは、少しだけ仕事を始めたこと。たまにしか稼働はしてないのですが、初めての分野なので自分にとっては挑戦だし、無職療養期間が長かったので、ちょっとだけでも仕事的な何かをしてるだけで自分的には相当すごいです。仕事がある時は余裕がなく、全てが後回しになるので、ブログはおととしよりも滞ってしまいましたが…(でも『シスターズ』の記事はどうしても書いてしまった笑)。

 

もう少し体調が上がったら、もっと安定的に仕事をしたいところ(稼ぎが欲しい)。でも、ほとんど寝たきり状態の時もあったので(2020年とか)、とりあえず、よくここまで来たもんだと思います。

 

今年も地道にやります!

 

☆odekake的2022年ドラマ10選(順不同)

『シスターズ』

『ベター・コール・ソウル』

『私の解放日誌』

『鎌倉殿の13人』

『セヴェランス』

『パチンコ』

『今、私たちの学校は…』

『石子と羽男』

『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』

『PICU』

『エルピス』