お出かけ手帳

誤字脱字病。書いては直す人生。

『麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~』 第6話を見たよ①

☆ネタバレしています☆

 

6話です!結構カットされたシーンが多かったよ…ね。まぁ、時間の関係とかもろもろあるでしょうから、超残念だけど仕方ないかな。

 

<第6話のあらすじ>

第8皇子ウクの妻、ヘ夫人が亡くなった。葬儀では涙ひとつ見せなかったウクだが、ヘスの前では号泣。失って初めて、自分もまた夫人を恋慕していたことに気づき、その想いを伝えなかったことを激しく後悔する。慰めるヘス。

ヘスもまた、気落ちした日々を送っていた。今後の展望もわからない。

第10皇子ウンをはじめ、皇子たちに励まされ元気を取り戻しつつあったある日、突然ヘスは婚姻するよう言い渡される。相手は還暦過ぎでわんさか子供がいるという噂で、へ一族による、ほとんど身売りのような結婚であった。

ウクを中心に、ヘスを松岳から逃がそうとする皇子たちだったが、婚姻相手が皇帝・太祖であることが発覚し、事態は一変。皇命に逆らえば死に処される。皇子たちの命を守るため、ヘスは皇宮へ行くことに決める。

ヘスは皇族の心身を整える茶美院へ連行。婚姻の準備が進む中、ひとり逃亡を試みるも捕まり、ウクやソの皇帝への説得も通じない。しかし、間一髪のところで、ヘスが自分の手首を切り、婚姻はなしに。体に傷があると、皇帝に嫁ぐことはできない、と聞いていたからだった。血を流し気絶するヘス。

生死をさまよい生還した後、国婚に逆らったため、ヘスは茶美院の女官になるように命じられる。

皇子たちに見送られながら、ヘスの新たな生活が始まる。

 

今回は物語の転換期。夫人が亡くなった悲しみもそこそこに、どんどん話が進んでいきます。悲しいからこそ、あえてこのテンポなんでしょうね。

ヘスの人生が大きく動くと同時に、皇帝の存在がいかに絶対であるか、皇子たちがいかに不自由かっていうことが描かれていて、本格的に政治面にも物語がフォーカスし始めた回でした。

以前ヘスは首に傷がつき、ウクに薬を塗ってもらいましたが、あの薬をぬってなければ手首まで切らずに済んだのだろうか…。「傷が残ったら大変だろう」とかウク様言ってたけど、傷がないせいで大変なことになったよ!

 

第5話のあらすじ&感想エントリがちょっと偏ってるので、前回の補足しつつ第6回を見ていきたいと思います。

 

とりあえず大事そうなので、先に書き残しておきたいのが、第5話で夫人がヘスに残した言葉。ウクに「きれいな姿で覚えていてほしい」と、ヘスにお化粧をしてもらいながら夫人ので言葉がナレーションで入ります。遺言ですね。(このシーンめっちゃ泣ける)

 

1 あなたは体に熱が多くよく風邪をひくので、しょうがのはちみつ漬けを飲みなさい。

2 皇族のそばにいるので、言動にはくれぐれも気をつけなさい。

3 皇子様の枕はお前が作ってほしい。心配の多い方なので、眠る時は安心してほしいから。 

4 あなたに皇子様を託す。

 

 2~4はこれから出てくるし、わかるんですが、案外1が気になります。ヘスがウクを好きだということを知ってもなお、ヘスの心配をする夫人の優しさを表現しているのは当然なんですが、これ別の伏線ってことはないよね…。気になる。

 

 

自分の気持ちなんて、わからない

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ウク:「なぜ言えなかったのだろう…。聞きたがってると知りながら、恋慕してると言えなかった。違うと思ったから…。だがスや、あの気持ちも恋慕だった。感謝だと思っていたが恋慕だった。安らぎだと思っていたが恋慕だった。どうすればいい?…言うべきだったのに。待っていただろうに。なぜ今になって…なぜ…あんなに気持ちを受け取ったのに…なぜ…なぜなのだ…」

 

「なぜ、恋慕してると言わなかったんだろう」っていう後悔は予測していたんですが、ウクが心の底では夫人を恋慕していて、死後にはっきり自覚するという流れには驚きました。あぁここまで掘り下げるのか、と。しかもそれをヘスに言うっていう。

でも、だからこそ、あの号泣は理解できます。後悔がいくつも重なっている。ウクは夫人のためだけに泣いてるんじゃない。自分の決定的な愚かさ、未熟さ、不甲斐なさに泣いているわけです。はぁ、この取り返しのつかなさ。夫人もウクも気の毒だよ…。

 

ウクは政略結婚自体がすごく嫌だったと思うんですよね。相手がどうとかではなく。「一族の都合で自分は犠牲になった」っていう思いがあったんじゃないかね。だから夫人にはどうしても心を開けなかった。自分の心を守るために。だって夫人と本当に仲良くなっちゃったら、なんか「向こうの思うツボ」感ありますもの。「本当は嫌だけど結婚しなければならない」っていう、当時の自分を裏切ることになってしまう。

しかも夫人のおかげで社会的地位を回復しているので、ウクにとっては借りがとにかく大きい。自然で対等な人間関係を結ぶのは難しいです。ウク様、真面目だし。

色々な意味で、ウクが素直な気持ちで夫人に恋慕するのは無理だったのだよ。もっと時間があれば、別の話だったかもしれないけれど…。愛と贈与の問題って、複雑。

 

夫人はウクに惚れて嫁いできてるから、そのあたりが一番キツかったでしょうね。自分の一族に力があったからこそ、ウクと結婚できたけれど、そのせいで人間的な親密さを結ぶことができないっていう。

ウクは亡くなる直前の夫人に「夫人の気持ちはわかっています」って言ってて、それは真実だと思うんですが(だからこそ「恋慕してない問題」を最後に持ち出す)、自分の気持ちの深いところはよくわかっていなかった。夫人と向き合うと、自分の中の矛盾にぶつかってしまうから。

 

夫人という「重荷」をなくして初めて、やっとウクは夫人に対する自分の気持ちを知る。皮肉過ぎるね(でもよくある話)。だって「好きじゃない」って思ってたんだよ。

それだけウクは自分の心の深いところまで降りていったんだとも思いますけれどね。彼が夫人を恋慕してたっていうのは、さっきも言ったように自己矛盾が起きるので、それを認めるのは大変な作業なはず。「感謝」とか「安らぎ」っていう言葉で、自分の気持ちをごまかしていたわけですから。しかし、特に死が迫っていた夫人に対しては、取り返しのつかないごまかしでした。

 

もうウク様は、めちゃくちゃ泣いてね。いつもはシュッと高貴な彼が、子供みたいに大泣きする。

これはヘスと二人っきりだから号泣できたのだよなぁ。唯一安心して心を開いてる相手だから。あと、ちゃちな下心があったら「自分は夫人を恋慕してた」って、わざわざヘスに言わないですよね。全部さらけ出してるのがいい。

そもそもウクは、立場上の重圧と苦労で心に蓋をしてきたから、恋慕が何かもよくわかってなかった可能性大なんですよね。ヘス(現代から来たハジン)という、全く違う価値観を持つ女性に心を動かされていなければ、ウクは自分の気持ちに気づかずに夫人を見送っていたかもしれない。どうだろうね。

人間、自分の見たくないものは見ないものだから、自分の本心なんて実は早々わからないっていうことなんだと思います。ウクに限った話じゃない。

 

ヘスも子供みたいに泣いてウクにすがったことがあったので(第3話)、その関係が反転したのも興味深かったです。

 

「なくして初めてわかる大切さ」は様々な物語の中で描かれていますが、 それを本気でやるとこうなる、っていうのを見た気がしました(笑)。このカン・ハヌルは本当によかった。5分くらいのシーンですが、冒頭からいきなりの見せ場でした。(ハヌルファンなので、この字数は許してくれ)

 

この、自分の気持ちにも、夫人にも向き合わなかった後悔が、ウクの新たな「重荷」になっていきます。

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続きます。