<ネタバレ少々あります>
あけましておめでとうございます!
昨年は3か月に一度は投稿するつもりが、またも時間が空くどころか年が明けてしまいました…。
今回は半年分なので記憶もいつも以上に記憶もおぼろげですが、さくさく振り返っていきます!
(さくさく振り返っているつもりですが、作品数がめちゃくちゃ多いので気になるやつだけでも見てってください!笑)
全てざっくばらんな感想です。
韓国ドラマ&バラエティー
『白と黒のスプーン』
めちゃくちゃ面白かったです!!!
今年一番、次の配信が楽しみだった番組かもしれない。
魅力的なシェフ揃いですが、私はやはり審査員のアンシェフのプロフェッショナリズムに心を射抜かれたといいますか。韓国で現在唯一の三ツ星シェフのアン氏が一番大事にしているのが「食材の火の通り具合」というのがまず衝撃で、いや当たり前なんだろうけど、「味つけ以上にそこなんだ!!」みたいな驚きがあって、もちろん味に関しても厳密な基準をもっているし、「プロってすごい…」と釘付けにさせられました。MOS(アンシェフの店)に行ってみたいものだ…。
日本では今「オモウマい店」とかチェーン系飲食店や食品加工会社の商品を有名料理人にジャッジしてもらう番組とかが人気を得ていますが、かつて、というかそもそもは 『料理の鉄人』のような頂点を競うような番組があったわけで、時代や文化の変化を感じます。
『誰もいない森の奥で気は音もなく倒れる』
フィクションでは今年の中でもかなり印象に残った作品。全貌が全くわからないところから始まり、核心を強烈に見せていく過程に心乱されました。
もうね、話が進むにつれ、殺人を犯したと思われる女にどんどん追い込まれるキム・ユンソクさんに対して「早く警察に通報してよ!頼むから!!」という気持ちが抑えられなくなるんですよ。警察まで行ったのに、やっぱ通報やめるとかもあるし。
でも、とあるYouTube番組で逃走中の福田和子に遭遇した方が話をしていて、殺人者を通報するのは思った以上に難しいということを思い知らされました(人を殺めたことがある人と対峙すると、相手がすでに一線を越えているだけに報復などが頭をよぎり怖すぎて何もできなくなるらしい)。ドラマでもユンソクさんは一番それを恐れていたよね。わたしゃ何もわかってなかったよ。ユンソクさんに無理な要求をして申し訳なかった…。
コ・ミンシさん演じる問題がありすぎる人物は『調査官ク・ギョンイ』の犯人に通じるような疎外された人物で、孤独度でいえばこっちの方が更に高い感じですね。孤独が利己心を高めさらに孤独に陥るスパイラル。究極的に利己的で、究極的に孤独な人物が、一線を越えずに社会のなかで周囲の人たちと共存するにはどのような方法があるのか…。
『LOST 人間失格』
<ネタバレ多め>
小説を読んでいるような細やかな描写で、最後までしみじみと堪能しました。面白かったです。
個人的に一番気になったのは主人公の夫。
妻をひどく傷つけたらしい夫は妙に優しくてフラフラしてるんですけど、見ていくと夫は孤独な人に引き寄せられてしまう性分なんだなっていうのがわかってくるんですよ。お母さんが一人で苦労して育てた息子だった、っていうのがその源流で(このお母さんというか、主人公にとっての義母がまた強烈なんだよ)。
で、最後の最後で夫の何が妻を傷つけたかっていうのがわかるんだけど、それは夫が浮気したことを自ら妻に言ったってことだったんです。しかも最悪のタイミングで。夫は友達もいないし、でも誰かに気持ちの高ぶりを聞いてほしかったみたいで。つまり彼は秘密を自分で抱えることもできない男だったんですよ。しかも浮気相手も孤独だから引き寄せられてるだけで、本気で惚れてるわけでもない。普段の優しさに実は芯はなく、ただ空虚な男でしかなかった。これが何よりもリアルで胸が痛かったです…。
『地獄が読んでいる シーズン2』
おもしろかったです。あのデカいゴリラみたいな地獄の使者が相変わらず怖いんですが、告知→死っていう現象に対して、心の隙間(@笑ゥせぇるすまん)がある者は、告知されようがされまいが崩壊してしまう、っていうのにはすごく納得でした。心の隙間を埋めようとしてくる思想や集団が個人や社会をめちゃくちゃにしてくる。作中でも言われていたように、みんな地獄に行くのなら、今を精いっぱい生きたいものです。
『照明店の客人たち』
完成度は高いんですが、実は個人的にはあんまり好きではなかったのですよ。人の死を複線に使ってるみたいだし、生きていること自体が脆弱みたいに描いている一方で、死線をさまよう者には意思を求めすぎだし(これが一番合わなかった^^;)。
でも、この作品に強烈に癒される人はいるんだろうなって思いました。これはみんなのための作品っていうよりは、誰かのために必要な物語。
『ジョンニョン:スター誕生』
終盤まで面白かったのに最後がすごくあっけなかったのが残念に感じた(驚いてSNSで同じ感想探したけど見つけられなかった)。制作の過程で何かあったのでしょうか…。国劇自体が斜陽となる流れだったのでそこに合わせたのかもだけど、もっとカタルシスというかグランドフィナーレが見たかったです(ただの個人の欲望です)。キャスティングの妙を含め、役者さんたちの演技、歌はずっと素晴らしかった。キム・テリさんはもちろん、シン・イェウンさんの歌のうまさに度肝を抜かれました(あのグローリーの極悪女子高生を演じてたなんて信じられない)。チョン・ウンチェさんもめちゃくちゃかっこよかった!
『パチンコ シーズン1・2』
おもしろい。
でもね、私原作読んでしまってるので、こう感じるのかもしれないんですが、この物語は時系列通りに描いたほうがいいと思うんですよ。家族の大河ドラマだから。家族と時代の積み重ねの物語だから。めっちゃよくできてるんだけども、よくできているだけに「時系列で見たかった…!」と思ってしまうんですよね。
アメリカドラマだと『This is us』が家族の物語でかつ時間を行ったり来たりで見せててヒットしてて、あれはお父さんの死がミステリーとしてあったから成立したけれど、『パチンコ』の場合はなにか違う気がするんだよなぁ。長い物語で時系列だと脱落者が多くなってしまったりするのかな…。
『Mrプランクトン』
これも面白かった。
だけど、お金についての描写が薄いのが少し気になってしまった。主人公があのようにある種の自己実現をしていくのに、絶対に必要なのがお金だと思うんですが、この作品の中だとそこをあまり描いていないので(お金持ちが多く出てきて、お金に困る状況があんまりない)、ちょっときれいごとに見えてしまうんですよね。
とか言いながら、最後は号泣してきっちり胸は打たれました笑。
『イカゲーム シーズン2』
賛否両論あるみたいですが、私はめちゃくちゃ面白かったですよ!!
だれるところもあるっちゃあるけど、概ね良くできていると思いました。
あれ?この人出てるの…?っていうのは確かにあった。
(↓ネタバレ)
資本主義、競争主義、民主主義に対する問題提議が強くあり、かなり考えさせられる内容でした。シーズン1とは話の目的を変え、前作の繰り返しも避けるよう工夫してるなと思いました(と思ったんですよね私は^^;)。
参加者は投票により何度も分断され、シーズン最後は大義のための正面突破するも制圧され犠牲は多数。何より主人公自身が「目的を果たすためなら多少の犠牲はしょうがない」と言ってしまうような闇落ち状態に陥り、親友を失うという厳しい因果応報を突き付けられました。
じゃあゲームをつぶすには(世の中を根本的に良くするためには)どうしたらいいのか?という宿題が視聴者に出され、シーズン2は終わります。
まさに今の話だな、と思いました。
私たちは〇か×かで対立しがちなんですが(最近加速してるよね)、そもそも〇か×以外にも選択肢はあるかもしれないのに、視野狭窄的に〇か×だけを見続けて争っている。しかも、その〇と×は特権や利権を持つ人たちにとってはどっちにしたってうま味があり、対立自体にもうま味があり、結局私たちは踊らされているだけなのかもしれない。そんなことを考えましたね…。
あと、シーズン1の時はこの言葉はなかったけど、ピンク人たちって究極の闇バイトですよね。今回コンユさんがピンクの人からのし上がってリクルーターになったことが明かされますが、組織とルールの成れの果てがどうなるのか強烈に見せられて声も出なかったです。闇バイト闇仕事やっていいことなんて何もない。
カンハヌルさんがどのハヌルでくるか楽しみでしたが、なるほどこっちのハヌルですね。了解です笑。
日本ドラマ
『地面師たち』
面白かった!…けど尼さんが何故あんなにも頑なに土地を売らないのか、その理由は知りたかった。尼さんが好色っていうのもなんか古い男の妄想っぽくて好きではなかったですね。
でも面白くて一気に見ました笑。
『終りに見た街』
とてもよかったです。
今年原作をたまたま読んでいたのですが、もともとの「終戦時に子供だった主人公が大人になって戦時中にタイムスリップする」という設定が、令和からのタイムスリップにうまく置き換えられていて、かつ相当完成度の高いドラマになっていました。
このお話で描かれる怖いことの一つは「子供たちがあっという間に軍国主義に染まる」ということなんですが、このドラマでもかなりリアルに描かれていました。「兵隊さんたちはあんなに命をかけているのに」「お父さんお母さんは戦争の文句ばっかり」「多様性より分かりやすい一つの指標がいい」みたいな感じで。
ただ、もし令和の人々が戦争に遭遇したら親世代以上も結構染まってしまうのでは…と思ったりもしましたね。もはやおじいちゃんおばあちゃん世代も戦争を経験してない人が多いですし。SNSがあることで、昔とは違う勢いであっという間にみんな染まってしまうのかもしれない。SNSって見るものの脳内に色んな考えや思想や噂話を直接流し込まれているので、個人で考える力を奪う装置って感じがすごいしませんか。先日の兵庫県知事選とか戒厳令に関する韓国でのデモとか見ていると怖さを感じます。何が起きたのかわからないとか(基本みんな何が本当に起きたのかはわからない)、時間の制約やリミットとかがあると、余計に加速するのでしょう。そうは言っても、一人ひとりが一刻の猶予なく訴えなければいけない時もあるし。私自身も悪い流れに加担する可能性はいつだってあるし、もうしてきたのかもしれない。
『寅に翼』
前半は物語としてかなり面白かったですが、途中からはアジェンダというか、言わなきゃいけないことを言わなきゃっていう感じが少し前に出てしまっていたかもしれません。でも、こういう朝ドラがあっていいと思うし、意義のある作品でした。何より、多くの人を励まし、勇気づけようとしてたところがよかった。
現状何もかもがうまくいっているわけではないので、「物事は少しずつよくなるし、最後はいいほうに流れる」という物語からのメッセージはあまりに楽観的なようにも思えるけれど、実際にそうだったりもするんですよね。一歩一歩ですね。
『宙わたる教室』
今秋の日本のドラマで一番好きでした。完成度もかなり高かったです。
単に定時制高校の青春を描いただけでなく、学問の平等性がテーマになっているのがよかった。特に前半一人ひとりの生徒の描き方が誠実で、涙しながら見ました。素晴らしいので、ただただ見てほしい作品。
『全領域以上解決室』
なんとなく見始めて、なんだか物足りなさを感じていたのですが、途中から急におもしろかったです(物足りない理由が明かされるとおもしろくなる)。
老人に見えても子供に見えても、それぞれが最大限に尊重される世界観がとても令和的です。
『海に眠るダイヤモンド』
端島をいい場所として描きすぎていることにモヤモヤしていましたが、最後に主人公が極端に不憫な終わりを迎えたことに驚きつつも、なるほど…となりました。
というのも主人公(鉄平)は端島の象徴的人物なので、端島のいいところだけでなく、朝鮮人や中国人の強制労働など負の歴史も背負っているはずで、さらには兄の罪(やくざの手下だけでなく、元軍人で明らかにその前にも人を殺めている)も背負ったことを考えると、物語上では宿命的にもう幸せにはなれないんです。
無意識下のレベルでは戦時中の罪を物語は内包しているんだけれども(強制労働に関して一瞬の匂わせはあったし、野木さんなら意識してるはず)、なぜ無意識の中でしかその罪を描けないのか。また、うまいことに、そういった物語上のメタファーを全く無視しても、このドラマは物語としての強度が充分に高いんですよね。
そもそも端島のことをよく知らない人が多い中で、まずは端島を知らなきゃ始まらないのはわかるけど、他の炭鉱もたくさんあったわけで、美しい悲恋とノスタルジーの下に眠るもっともっとシビアな事柄をいつ日本のドラマで描けるようになるのだろう。
おまけ
『七夕の国』あんまり話題にならなかった気がするけど結構面白いよ。
『ライオンの隠れ家』 前半すごく面白かったけど後半が何故かスロー展開だった(何かあったの?)
アメリカドラマ / イギリスドラマ
『一流シェフのファミリーレストラン シーズン1~3』
これもかなり面白かった!
『白と黒のスプーン』の更新を待つ間に、前に挫折したけど今なら見れるのでは…?と思って見始めたら、まんまとハマりました。作中のキッチンはみんなが怒鳴りあうカオスなんですが、前述のアンシェフのレストランのキッチンの様子をYouTubeで見たら怖いくらいに静かでした…笑。
どのエピソードもいいけれど、シーズン2第7話『フォークス』が特に心に残りました。レストランきっての粗野な問題男が研修先の最高級レストランで受けた啓示。人は変わることができる。
『ディスクレーマー 夏の沈黙』
物語の怖さを描いた物語。私たちは物語を物語だと認識できているでしょうか。自分含め、かなり不安な昨今です。
映画(感想短め)
『破墓/パミョ』
面白かった!(あの亡霊(のモデル)は誰?)
日本では加害の歴史を無意識下に押し込めた『海に眠るダイヤモンド』がヒットする一方、韓国では侵略のトラウマを無意識の奥まで掘り起こして対峙する今作がヒットしていて、この違いになんとも重い気持ちになります。
『ホールドオーバーズ』
もともと監督のファンですが、とにかく好きでした。好きな本は毎日読まなくても本棚の中にあるだけで励まされたりするけど、この映画もそんなふうに思える。
『ソウルの春』
おもしろいとかつまらないとか言えないレベルで圧倒的。もちろん映画としてのクオリティーは高いんだけど、楽しむための映画というより、目撃するための映画という感じです。
…という感想が現実に押しつぶされて、今はもう何が何だかわからない…。
『密輸 1970』
みんなが言うほどいいかなぁ…って思いながら見ましたが(ごめんね)、後半はやっぱりいい。あぁこの映画は女たちのこの顔を撮りたかったのか!と、しみじみと映画館を後にしました。
『ツイスターズ』
映画らしい映画でよい。映画が体験であることを思い出させてくれる。
『シビル・ウォー』
内戦を舞台にしたメディアやジャーナリストのお話。彼らもまた消費され入れ替わり続ける存在でしかないのか。
『夜明けのすべて』
泣きました。実は作品が示す病気に対する考え方にそこまで賛同できないんですが(当事者に対して、病気が治らないということを受け入れないと、前に進めないと言っている気がして…人によっては真理なのかもだけど…私は必ずしもそう思わないので…)、ままならない病気を抱えて生きる困難がリアルに描かれていたと思います。もしかしたら、これは当事者でない人を啓蒙するための作品なのかもしれない。作中でも現実の社会でも、病を抱える者は従順さを求められますが(そうでなければ薬さえもらえない)、個人的にはもっと主体的になっていいと思う。特に作中の二人の場合は、それこそ薬が根本的に病気を治すわけではないですし。症状とうまく付き合いながら無理せず穏やかにずっといてくださいっていうのは残酷でしかないです。
『オマージュ』
行き詰った中年の女性映画監督が、韓国初の女性映画監督の作品と人生を追う。テーマは決して軽くないのに励まされた。限界を迎えたとしても、それは終わりではない。寅に翼にも通づる世界感です。
『素晴らしき世界』
職場の愚痴トーク、という何気ない日常シーンが、あんなにも(主人公にとってのみ)緊張感と危機を感じさせる瞬間になるとは。見ていて辛いシーンが多いんですが、終盤の展開に凄まじい気迫を感じました。あれはほんとすごかった。
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本当は9月の時点で記事を出そうを思っていたのですが、体調悪化で無理になり、こんなに宿題をためてしまいました汗(今は結構元気です。ブログ更新が元気のバロメーター笑)。今年こそもっと元気になってブログ毎月更新する!(言霊)
昨年は年始から年末までショッキングな出来事が多かったので、今年は少しでも平穏で平和な一年になりますように。
というわけで、長々と失礼しました。
今年もよろしくお願いいたします!