お出かけ手帳

誤字脱字病。書いては直す人生。

『魔法少女まどか☆マギカ』

☆ネタバレはちょとだけしています☆

 

震えました。ホラーだよ。でも超おもしろかった。

基本的には少女が戦う、ていうお話なんですがね、とにかくよくできていてね…。
 
だいたい少女はなぜ戦うことになったか、ていうのが「願いを叶えてもらった見返り」なんですね。借金を返し続けてる感じ。魔法少女の候補者の前に、スカウトとしてぬいぐるみみたいなキャラクターが出てきて、こう言うんです。「願いを叶えてあげるから、ボクと契約して、魔法少女になってよ〜」
契約だよ!契約!契約って言葉がもう悪魔的で怖すぎた。
 

で、主人公のまどかはなかなか願い事が思いつきません。健康で、経済的にも恵まれてるようですし。あとは彼女の両親、特にバリキャリとして働く母親からの影響も大きいようです。

彼女の母親は頑張りたいから頑張る、という性格で、深夜まで働くのも、ただ達成感が欲しいだけなのだと。子供にも「あんたたちの為に働いてる」みたいなことは決して言いません。主夫の父も、そんな母親を尊敬していて、やりたくて主夫をしているようです。つまり、欲しいものの為に何かを犠牲にするっていう考え方をしない家なんですね。過程が大事なんだと。

事実、まどかは願いとか別にどうでもいいから魔法少女になりたい、みたいなこと言ってた。で、戦いは命がけっていうことが途中で判明し、いよいよ命がけのお願いって何?ってなるわけです。

お願いがないからなかなか魔法少女になれない、っていうのは戦ってナンボなはずの美少女戦士ものからするとアレレなんですが、これはよくよく考えると良きことなんですよ。
 
 
一方で、他の魔法少女たちはどうなのか。
自分や周りの人のために願いを叶えた結果、彼女達は幸せになったとはいえません。
 
命をかけるほど誰かのために頑張っても、決して救われない、ってなんて残酷なんだろう。
でもこれは現実でも起こっていますね。悲しいけれど。
 
だからね、こういう理不尽に対抗するには、自分を含めた誰かの期待に応えたり、満足させる為じゃなくて、ただ目の前にあるやるべきことをやる、っていうまどかママみたいに生きていくことだと感じたんですよね。報われるために頑張るってのは危険だよ。
 
そりゃ夢や希望を持つことも素敵ですけどね、そのためにアレを我慢したとか、わざわざナニをしてやったとか、もうどんどんエゴがこんがらがって、生きるのが苦しくなるのはよくない。何かを得るには、何かを失わなきゃいけない、っていうけど、何かを代償に生きるのはやっぱつらいよ。
 
まあ、百歩譲って代償があったとしても、少なくともその選択がちゃんと自分で決められる、ていうのが大切だと思いました。
(なぜなら、作中のまどか以外は、魔法少女になることを望むようなのっぴきならない状況にいる少女を巧妙に選抜し、自ら契約するように仕向けられているようにもとれたから)
 
あぁでも自分に自信がなくて、というかたいていの人は自信がなくて、誰かの役に立てたら超うれしいですよね。そうやって自己承認欲しさに行動をおこすことを責めることなんてできないし。かといって自己承認を得るための行動ばかりしているとロクなことないし。実際にはこのバランスは本当にむずかしいよ。あーどうしたらいいんだ。

単なる選ばれし者としてのヒロインから一歩進んでいたのが、大変に興味深かったです。
 
「選択」とエゴの折り合いの付け方とか、魔女化の意味とか(魔女の正体えぐすぎる)、それぞれのキャラ設定のうまさとか(特にダークサイドに落ちるさやかは見事でありました。女の子をなんだと思ってるんだ!)、様々な伏線と謎解きだとか、ほむらちゃん!!とか、これは本当に色々語りたくなる、嫌な話だけど、噂通りの素晴らしいアニメでした。
(このお話を1エントリーにまとめるのは難しいですね。色々書きたかったけど、力がなくていつも以上に全然まとめられなかったw。またいつか書けるかな。)
 
これが男性に人気なのか(劇場版は男性客多数だったのこと)。残酷な世の中だよ。
 
少女の在り方にとどまらない、女の人の生き方をすごく色々考えさせられるお話なので、女性こそ見るべきだと思いました。いや、女子ファンもいるでしょがね。
 
最後にもう一度書くけど、女の子をなんだと思ってるんだ!