お出かけ手帳

誤字脱字病。書いては直す人生。

2021年11月・12月 印象に残った作品

☆ややネタバレあります☆

 

2022年が始まり早一か月が過ぎましたが…

今年もよろしくお願いいたします!

 

昨年も色々とありましたね…本当に色々と…。

様々な出来事を記憶に焼き付けつつも、今年はもう少し世も落ち着いてほしいと願わずにいられない…。

 

昨年の韓国ドラマという点でいうと、個人的には沢山は見られませんでしたが、それでも面白い作品にいくつも出会えて大満足でした。

おととしまでは体調が悪すぎてドラマもロクに見られない状態でしたが、昨年は徐々に体調が良くなってきたのも、ドラマを楽しめた理由だと思います。ある程度元気じゃないと趣味活動も全くできないということを、本当に身をもって知りましたね…。2020年に髪の毛が全て抜けた私ですが、こちらもゆっくりと増えていき、今は耳まわり以外はだいぶ生えそろってきました。脱毛症は再発も多いので、今年も養生しつつマイペースに楽しみを見つけたいと思います^^

 

もう2月になってしまいましたが、まずは去年分をまとめておきたいと思います汗。

 

 

 

ドラマ『調査官ク・ギョンイ』

mikanmikan00.hatenablog.com

とても面白かった!かなり細かく仕込みがある作品なので、久しぶりに単独の記事も書いてみました(完全ネタバレ記事です)。万人受けはしないかもしれないけれど、ハマる人はハマると思うので、未見の方はぜひお試しください。シーズン2希望!

 

ドラマ『地獄が呼んでいる』

Netflixドラマ「地獄が呼んでいる」公開からわずか1日にして世界24ヶ国で1位を獲得!「イカゲーム」よりも早い記録(Kstyle) -  Yahoo!ニュース

とても面白かったです!

 

突然現れる「天使」に「何月何日何時にお前は死ぬ」と言われて、その日時になると3体のデカいゴリラみたいな死者がやって来てボコボコにされた後に焼かれて殺される…という謎の理不尽が世界各地で起きてしまい世界が混乱する…というお話(ざっくり)。なぜその人なのか。なぜその日なのか。なぜいったんボコボコにしてから殺すのか(これが本当にいやだ)。何もわからないまま、人間たちが様々な反応と行動を起こしていきます。

先が見えないジェットコースター的な面白さと、同時代の鋭い社会批判を兼ね備えた、ハイレベルなエンタメ作品です。

 

謎の生命体にボコボコにされた上で殺される現象が何故起こるのか、まるで分らないからこそ、人間が勝手に意味を与えて信じていく過程が本当に怖くてね。信じなくても、その解釈で人を操ったり富を得ようとしたり。で、それは現実でも同じで、混沌とした世界をどう捉えるかで世界はしょっちゅう対立しているんですよね。実際に何が起きているかは分からないままに、解釈して、それが正義だと信じ込み、暴力も厭わない。メディアも動かす。煽動される人々が増える。

 

昨今の感染症の混乱はもちろんのこと、アメリカの議会襲撃だとか、北朝鮮とか、色々なことを思い起こさせました。この作品を見ていると、対立している間はまだ「マシ」で、力関係が暴力の側に完全に偏り、対立すらしなくなった時が最悪…と感じましたね。

 

あと思い起こしたのは。昨年ある女性が結婚して夫とニューヨークに行くことになった際に起きた、一部の人々の反対の仕方です。誰と結婚してどこに住んでもいいのが当たり前のはずなのに、ネット上での「反対」してる人達の「正しさ」はあまりに強固でした(あれは毎日苛烈に報道するメディアも悪い)。

私は婚約発表直前のあの方と夕方の山手線で遭遇したことがあって(普段着だけどイヤホンつけて明らかにSPみたいな人が複数いたので本物と思います)、ご本人が本当に質素な雰囲気で普通に友達とつり革につかまって静かにおしゃべりしてて驚いたけど、別にまわりが騒ぐことはなかったし、むしろこの「特別な時間」を守ろうとしてる感じが車両の人々全体にあったんですよ、その時は。だから余計にあの「正しさ」で怒ってる人達が怖かったです。ネットで中傷してた人達も、電車で遭遇したらほとんどがやっぱり何も言わないとは思いますが…。だからこそ怖い。

ちょっと話ズレちゃったかもだけど、でもやっぱり通ずるところあるよな、と思いました。

 

作品の話に戻ると、そういった社会のあり様を描く一方で、信じられないような理不尽が自分や家族を襲ってきたらどうするか、という個人のあり様も描いているのも印象的でした。特に子を持つ親はどうするか。子を持つ親が死を宣告されれば、残される子供のために奔走するし、子が宣告されてしまったら、親は子を守るために最後まで抗い続ける。理不尽によって子を亡くした親も戦い続けます。ヨン・サンホ監督は『新感染』や『半島』父性や母性を描いていたので、今作の終盤ではその集大成のようなものを感じました。

 

 

ドラマ『静かなる海』

静かなる海 | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

好きなタイプのドラマでした!圧倒的に面白いか?って聞かれたら違うかもしれないんですが、落ち着いた感じでよかった。宇宙モノも好きだし。キャストの大方みんなかっこいいんだけど、医師役のキム・ソニョンさんがさり気ないかっこよさで素敵でした。

 

けれども、あえて気になったところを言うと(以降ネタバレ)、感染の危険性が高まるなかで誰も常時マスクも眼鏡も手袋もしないのはおかしいと思ってしまった(リアルに感染症の世界で生きているので気になった笑)。服装が皆同じなので、顔まで隠したら、誰が誰だか本当にわからなくなりそうだけれども…。サンプルを素手で持つとかも、妙にこっちがヒヤヒヤしてしまいました笑。

 

あと、宇宙に行くときは寄せ集めチームは絶対ダメですね。今宇宙ステーションに行ってる人たちは基本的に何年も同じチームで厳しい訓練をして、信頼関係を高めてから行ってると思うけど(確かそうだったはず)、その理由がよくわかります。

 

映画『tick, tick...BOOM! チック、チック…ブーン!』

tick, tick... BOOM! : チック、チック…ブーン!」 | じんのブログ

とても良かった!2021年で見た中で一番好きな映画かも。映画館で見たかった!

ミュージカル『レント』の作者であるジョナサン・ラーソンが、『レント』以前にどのように生き、葛藤していたかを描いた自伝的ミュージカルが『tick, tick...BOOM!』。

 

私は『レント』を映画版が公開された時に初めて知ったんですけれども(けっこう昔)、もう衝撃的なほどに感動しました。80年代後半、エイズが蔓延して治療法も確立されてなかった頃のニューヨークで生きる若者たちのお話なんですけど、何がいいって、苦境にあるキャラクター達が皆、今という瞬間を必死に楽しんでいるところ。どんな人も今を楽しんでいいんだよっていうメッセージがあまりにも鮮烈でした。楽曲も素晴らしい。見てるあいだずっと号泣して、そのあと何度も映画館に見に行きました。ミュージカルもアメリカ版、日本版、両方見ています。

 

その『レント』の作者がジョナサン・ラーソンなんですが、彼は大成功を収める『レント』がいよいよ開幕って時に(初日前夜)、35歳という若さで病気で亡くなってしまってるんですよね。この事実がまた衝撃でした。貧乏して苦労しながら「あるのは今日と言う日だけ」と命を見つめた作品を作った本人が、シビアな命のリミットに見舞われてしまった。

 

で『tick, tick...BOOM!』はどういうお話かっていうと、彼が『レント』を作る前に作ったミュージカルで、もうすぐ30歳のジョナサンがバイトしながらミュージカルを何年も書いてるけど中々完成しなくて、このまま売れるかもわからない、どうしよう…っていう自分のことをそのまま描いた内容なんです。オリジナル舞台では、ジョナサン役は本人が演じていました。それを映画化して、曲の間には当時の彼の様子が振り返る形で描かれています(時系列がやや複雑ですが、編集が上手いのですぐ慣れます。tick, tick..~を作る前の時間軸と、その後完成したtick, tick..~という作品が上演されている時間軸、そしてそれを見つめる現在の時間軸が交差します)。

 

売れないまま年をとっていく自分。一方でエイズにかかり当時は死が待つしかない友人たちがいる。様々な形で時間が残酷に流れていきます。実は時限爆弾は誰もが抱えているけれども、夢を追う人、病を抱える人にはそれが、音を立てて聞こえてくる。しかもジョナサンは実際に早世してしまったわけで、その焦りというのは、今見るとまた別の意味で胸がいっぱいになってしまいます。

 

ジョナサン役をアンドリュー・ガーフィールドが演じているんですが、もう一目で「完全にジョナサンやん」って涙が出ましたね。私はジョナサンをリアルタイムで知ってたわけではないけれども、当時のジョナサンの様子ってビデオで沢山残ってるんですよね。顔は似てないのに笑い方とかそっくりでした。バイト先とかも本当にああいう感じ。

 

しかも、『tick, tick...BOOM!』の中のジョナサンはアンドリュー・ガーフィールドの方がより表現されていると思いました。これ変な話なのかもしれないけれど、ジョナサン・ラーソンが自分役をするのはもちろんいいんだけども、他者が演じるほうがより客観的に「夢を追うけれども叶うかもわからない」という立場や焦りが伝わってくる気がしました。クリエイターのエゴも。俳優さんの伝える技術ってすごいな。

 

あとは曲がやっぱりよくて、特に『Louder Than Words』という曲がいいんですね。これは「Actions speak louder than words」のことで、「行いは言葉より雄弁」ということ。サビの「鳥かごか翼か どっちがいい? 鳥に聞いてみる 答えは言わなくていい 行いは言葉より雄弁だから」っていうのが凄く心に響いて、本当に好き。

 

社会に出て揉まれれば、「鳥かごか翼か」なんて言ってられないし、どっちも色々あるよなーって思わずにはいられない。ジョナサンだってそれは分かってたと思うんですよね。優しくて賢い人だったし。いつも葛藤だってしてたし。だから、彼はそれを鳥に聞いている。鳥は空を飛んでいて、やっぱそうだよな、飛ぶよな、行いは言葉より雄弁だから、と。孤独とプレッシャーのなか、自分を励ますための切実な歌だったのだと思います。メロディーも美しくて、こんなに名曲なのにこれを書いてた時点で全く売れてないってのが、本当に切ないよ。でも、もし売れていたらこんな風に真っ直ぐ素直には書けなかったかもしれませんね。

 

この曲は政治的だ、って見方もあって、特にAメロで「どうして革命は起こらない?」とか「どうしたら俺たちの世代は目覚めるんだ!」とか言ってるから本当にそうなんだけれども、一方でサビを聞くとそれもひっくるめて、あなたは自分のやりたいことをしてますか?っていうストレートな自己実現の歌でもあると思います。迷っている気持ちを解放してくれるような、素晴らしい応援歌だなぁと改めて感じました。

 

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昨年は、久々に定期的にブログを書いてみようと思い、月単位で記事をアップしてみました。本当は月1でやるつもりが、後半は数か月ごとになってしまいましたが汗。

ただ、複数作品をまとめた記事だと、あとから自分で振り返りづらいので(記事のタイトルで探せないので)、今年はなるべく1作品1記事にしようかなぁと考えています。考えているだけで、本当にできるかわかりませんが…^^;Twitterでも軽く感想を書いたりしてますが、あれも後から振り返ろうとしたら探すのが大変なんですよね。あんまり長くない記事で楽しめたらいいな(いつも長くなっちゃうから…^^;)。

 

引き続きマイペースな更新になるかと思いますが、本年もよろしくお願いいたします。

 

☆私的2021年韓国ドラマ5選

『D.P.』

『調査官ク・ギョンイ』

『地獄が呼んでいる』

『ナビレラ』

イカゲーム』